プロローグ
プロローグ
ごきげんよう、初めまして。
一 一だ。
多分、きっと分からないだろうから、もう一度言う。
にのまえ はじめだ。
ただの一度も、初回で正解の名を当てられた事が無い、不遇の氏名持ちだ。
そんな私だが、一般的日本人の標準装備、曖昧表現と協調性を増加傾向で所持している。
だから、氏名を間違えられても気にはしない。何時もの事すぎるしな。訂正もおてのものだ。
と、ここまで現実逃避をしてきたが…。氏名なぞより、大事な事がある。
……。
ここ、は…。
何処だ?
説明をしよう。
ここは、深い森の中だ。
ここは、朽ちた祭壇の上だ。
ここは、神秘的な湖の上だ。
ここは、湖に在る島だ。
ここは、ネッシーがいる。
ここは、太陽が三つある。
…ここは、日本では、ない…
わたしは…どう、すればいい……。
と、分かりやすく錯乱し、途方に暮れる事およそ二時間。やっと正気づいて、祭壇から降りる。祭壇と、かっこよく言ってみたが、ただの石の台だ。
だが、地味に熱い。三つの太陽は絶好調である。石は熱を溜め込みまくっていた。着ている服が厚手でよかったと、しみじみと思う。
壊れた柱の作った日陰で確認した、懷に所持したネジ巻き式の懐中時計による、現在時刻は午後三時。食休みの後、始業時間を知らせるチャイムと同時に開けたドアの向こうは、既に『ここ』だった。
訳が分からない。
『これ』が、かの有名な『異世界拉致』として、『加害者』たる『召喚者』は『どこ』にいる?
何がしたかったのか!意味が分からない。
私にどうしろと言うのか。主旨は明確に、分かりやすくシンプルであるべきだ。そうすればモチベーションは上がるし、やりがいがある。
『拉致』するなら『拉致』する『被害者』に対して最低限の保障をしとくべきだ。
私は『生きる』事が出来るんだろうか?
島の中心、朽ちた祭壇の上から見る景色は、日本人…嫌『人間』には、とても凶悪だ。
得たいの知れない生物、見たこともない植物。おまけに脆弱な身体と、能力。
切実に『特典』が欲しい。
死んでないし。
神様に会ってないし。
王様も王子も。
姫君も聖女も。
全部『ない』けど…。
……いって、みようかなぁ。厨二くさいけど。
そして、私は言ってみた。
テンプレを。
「ステータス!」