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ルーム 1
その日は、風が強かった。
男は今日最後の電車に揺られていた。電車の椅子はすべて埋まっているが電車の中での会話は一切ない。殺風景。だが、男だけはその場に似合わない笑みを浮かべている。
『次は〇〇駅。お降りの際はお忘れ物のないよう…』
その声を聞いた瞬間、男は手の内に隠していた刃物を近くの人になんの躊躇も無くさした。そして、次々と刺し殺していく。全て急所を突いていて、一撃で相手を仕留める。乗客は、突然のことに声が出なく、せまりくる殺人鬼に抵抗出来ずに次々と殺されていった。そして、残るのは一人となってしまった。
「いっいやだっ・・・!助けて!パパッママぁ・・・・・・」
男の子は泣きながら男に悲願するが、今の男の目は何も映していない。
唯一映しているものといえば、ある女のことのみ。
「美和子…今お前の願いを叶えるよ…」
そういい、男は目の前の男の子めがけて刃物を突き刺した。
その後男は着いた駅から降りて姿を消した。
電車内は血の海と化していた。