第二話「うわあああ」
もう少し早めの投稿予定でしたがままならず。
第二話は残虐な戦闘になります。
苦手な方は飛ばしてください。
最後の一文でなんとなく次話が読めると思います。
追記、ネタ帳を見直したら、ネタの見落としが……。
すいません!かなり書き足しました。
内容が変わってます。
気付いたら友と異世界
第二話「うわあああ」
その時の俺は何も理解出来ていなかったと思う。
今思い出してみても、ただ単純に目に入る事に反応していて、居酒屋から森の中にいたのに、次に見た子供に意識を取られ、どこだ?ではなく誰だ?と思っていた。
そんな意識も叫び声で刈られ、反射的に振り向いた先の光景に自分も叫んでいた。
「うわあああああああ」
叫んだの俺だけじゃなかったと思う。
逃げる子供に襲いかかる茶色い小人。
そいつは立ち上がった犬の姿をしたやつで、真っ赤な長い舌を垂らし、そこら辺にウジャウジャいたのだ。
その一匹と目があった。
血走った目を異様に覚えている。
そいつは唸り声上げつつ前屈みで走り出すとすぐさま四つん這いになり、一直線に俺に向かって襲い掛かってきた。
その間も俺の口からは叫び声は続いている。
ポンッと間抜けな音。
無意識に動いた俺の体が噛みつきを掻い潜るようにして右ショートアッパー放ち、犬の下顎に突き刺さった。
俺の腕から犬もどきの体がぶらんと垂れ下がっている。
飛び出た眼球と目が合った気がした。
「うわああ、うわああ、うわああ」
うわ言のように繰り返し腕を振るが外れない。
幸いにも他の犬もどきは襲い掛かって来ず、唸り声を上げこちらを警戒している。
「うわああ、うわああ、うわああ」
すぐ近くで叫びがあがった。
驚いて振り向くと、右膝の辺りに犬もどきをぶら下げた全裸の子供がいた。
裸族?そんなこと思ったら自分も全裸であることが分かってしまった。
股間が涼しい。
そして彼が叫んでいる状態が分かってしまった。
俺が犬もどきを腕にぶら下げ驚き、彼は足にぶら下げ驚いている。
突き刺さるなんて誰が思うよ。
俺がそんなことを考えている間、彼は前蹴りの体勢から軸足を回すと同時に蹴り足をたたみ、飛び掛ってきた別の犬もどきに足刀を喉元に決めていた。
足刀を決められた犬もどきの首から上が宙を舞い、そっと地面に置かれるように落ちた。
その連続蹴りに見覚えがあった。
股間の物に覚えがないが。
犬もどきをぶら下げたままで不自然な繋ぎになっていたが、あの蹴りはカナメだ。
「カ、カナメか?」
子供の姿への違和感がそのまま声に出た。
けして股間の物のデカさにではない。
彼は犬もどきたちを見据える目を一瞬だけこっちに向けてきた。
すぐに驚いた顔で振り返った。
大きく見開いた目が俺の股間を見ていた。
似たこと考えているに違いない。
「前っ!」
慌てて股間を押さえるカナメ。
「違っ!」
俺は叫ぶと同時に駆け出した。
うう、なんて走りにくい。
カナメに向かって犬もどきが三匹走り出したのだ。
犬もどきに対処しようとしたカナメがよろめいた。
そりゃよろめきもするさ。
手は股間を押さえたまま、右足に犬もどきが突き刺さってたままなんだし。
俺は心の中で詫びつつ、一匹を受け持とうと犬もどきとカナメの間に体を割り込ませた。
勘で右手をフック気味に振り回す。
肩に衝撃が走り、肉の潰れる音が聞こえた。
フックは当らなかったが、右腕にぶら下がった死体が当ったようだ。
見ると首から下がなくなっている。
犬もどきの頭に手を掛けるとあっさり抜けた。
カナメといえば、俺が来たことで踏ん張ることやめ、倒れるように胴回しを二匹に決めていた。
一匹は踵で、もう一匹は俺のように犬もどきをぶつけて。
そして前転の要領で立ち上がると俺が捨てた頭を蹴った。
驚くべき早業である。
全裸でなければさぞかし格好良かったであろう。
そんな俺たちより間抜けな一匹にそれは直撃した。
そいつは爆散し周りをなぎ倒した。
群れの囲みに穴が開いた。
その先に暴れてる大男が見えた。
彼も全裸だった。
その後ろを犬もどきから逃げる三人が見えた。
彼らも全裸だった。
薄笑い浮かべたカナメと目があった。
俺も同じ顔をしているに違いない。
俺たちは頷き合うとその穴に向かって突進した。
「うわあああああああ」
この後はよく覚えてない。
気が付いたら地面に大の字で寝てた。
血の匂いにむせながら見ていた青空には太陽がなく、ここはやっぱり異世界なんだなと漠然と思っていた。
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