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Ragnarok Ⅰウロボロスの刻印  作者: alto
Noctuelles
1/2

inganno

altoと申します。元は葉月という名前で連載をしていましたが、設定など不十分だった

ため、もう一度書き直して一から連載をスタートさせます。前回の連載を読んでくださっていた方、今回は細かいところは大分違いますが、大筋のストーリーは変わりません。

登場人物の名前も前回連載していた部分と変わっていません。

安心してお読みください。

最後に注意を。この作品はパクリ小説ではありませんのでご了承ください。

それに対する苦情等は受け付けておりません。


OKな方はどうぞ。



闇の中を青い光が駆けていく。甲高い金属音が数回繰り返された後、辺りは不気味なほどまでに静かになった。この場を支配するのは得体の知れない殺気。常人がもしこの場にいたとするならば、確実に狂っていただろう。それはつまりこの場に対峙している者たちは、明らかに常人とはかけ離れているということを証明していた。


鎌鼬のように鋭い風が吹きぬけると、それが合図だったかのように両者が瞬時に動き出す。目でも追うことが出来ない剣の交わりは、やはり只者ではない洗練された動きだった。赤く揺らめく刀身が青く光る剣をとらえ、弾こうとする。しかしその試みは失敗に終わり、逆に押される形となってしまった。


まさに一瞬でも気を抜いたら比喩ではなく、首が落ちるであろう戦い。


再び両者は間合いをとり、お互いを警戒するように剣を構えた。


荒々しい息の音が両者から聞こえてくる。


先程まで雲に隠れていた満月が、黒い空に姿を現した。その光は闇を掻き消していった。


闇が消えたことによって、対峙していた両者の姿もはっきりと見えてくる。


赤く揺らめく剣を構える、白い髪をした赤い瞳の人物。そして青く光る剣を構える、漆黒の髪に海のような青い右目の人物が。後者の方は確実に男だろうが、前者の方は中性的な…男とも女とも思える。

外見で判断するならば、二人とも同じ年の頃。


後者の方はシリウス・クラインと言った。彼は弱冠15歳で帝国軍の師団長にまで上り詰めたまさに天才で

あり、剣と魔術の腕は帝国一とまで言われる。そんな彼を相手にする、赤く揺らめく剣を構える者も

充分実力があると言っていいだろう。


シリウスに対峙する人物は、悪戯っぽい…しかし禍々しい笑みを浮かべ、静かに目を閉じた。


「常闇に落ちし愚者…」


足元に黒い円…魔術陣が展開される。


「我が振るうは汝を断罪する悪魔の鎌!」


その瞬間魔術陣が消えた。


「エクスキュージョン!」


シリウスの足元から黒い大鎌サイズが出現し、彼を薙ぎ払うように物凄い速さで向かってくる。

しかしシリウスはそれを容易く避け、自身も目を閉じた。


「燃え盛れ紅き焔、其は悪魂をも滅却せし深淵への誘い」


彼の足元に赤い魔術陣が瞬時に出現し、そして瞬く間に消えていく。


「インシネレート!」


巨大な紅い炎の球体が相手に襲い掛かる。即座のことで相手は反応できなかったようで、かなりのダメージを

負っただろう。


(…やったか?)


煙が立ちこむ中、冷静に相手のほうを見据えるシリウス。しかし、言いようの無い違和感がよぎる。


「…ッ!!」


背後から僅かな殺気が感じられ、咄嗟に振り返り剣を構えた。


「流石、黒騎士様。よく気配が分かったね。」


ニコニコと無邪気な笑みを浮かべるのは、自分がダメージを負わせた筈の人物だった。赤い瞳が獰猛な獣の

ような、獲物を狙う目つきに瞬時に切り替わる。


「化け物か…」


「お褒めの言葉有難う。…まあ同類の君には言われたくないんだけど…ね」


「貴様と俺が…同類?」


シリウスの口調は何処か何かを確かめるようだった。


「そうだよ、同じでしょ?君も飼いなされていただけ…世界を救うための生贄としてね…」


「黙れ…ルキフェル!」


シリウスは青く光る剣を未だ表情を崩さないルキフェルの心臓目掛けて突き刺した。

…しかし、普通なら出てくる筈の血も流れず、慣れた人の肉を貫く感覚もない。


神の記憶アカシック・レコードに書いてあったはずだよ?ボクは永遠の光アイン・ソフ・アウルのみでしか殺せない…化け物だって」


なら、そうすればいいじゃないと続けるルキフェルに少し違和感を覚えた。一瞬思考をめぐらせていた

だけなのに、ルキフェルの体の刀傷は既に消え、自身の剣も手元に戻っている。


「ボクを殺したら、キミも死ねるんだよ?愛しい愛しいあのお姫様のところに逝けるんだ…幸せだろう?」


一瞬その言葉に動揺の色を青い瞳に映したシリウスだったが、すぐに我に返る。


「だったら俺が殺してやる!!」


いきり立った狼のように再び彼は剣を構えた…。




そう。シリウス・クラインにとって”死”というものは恐怖の対象でも、忌々しいと遠ざける対象でも

なかった。寧ろ彼にとってそれは、好ましく焦がれていたと言っても過言ではない。


最初からそうだったわけではない。彼も死に怯え、逃げる時期はあった。


…しかしそれが変わったのは愛しい存在が亡くなってしまったからだろう。


だから今回の任務は好都合だった。何せ、”世界を救う”という大義名分のもと死ぬことが出来るのだから。




「邪となりし悪しきを浄化するは聖なる女神の十字架…ホーリークロス!」


「巻き起これ旋風、其は激しき竜神の舞!…ヴォーテクス!」


息もつかせぬ激しい戦いだった。両者ともこれまでの戦いで疲労が溜まっている筈だが、動きを止めようとは

しない。


(魔力がそろそろ限界…だな…)


常人より桁外れに高い自分の魔力(=魔術を使うための精神エネルギー)もそろそろ底を尽きそうだ。


(あの術に賭けるか…)


シリウスは意識を集中させ、自身のまわりに透明な青いドームを形成させる。


結界術シールドなんかでボクの術を防ぐつもり?」


ルキフェルは嘲るように鼻で笑い、目を閉じた。


「怨念纏う魔より生まれし獣、汝の爪で彼の者を葬れ!…ベリアルクロー!」


ルキフェルの放った術はシリウスを包み込む結界シールドに直撃する。術の威力に耐えられなかったのか、

結界は音も無く崩れ去っていった。


「キミの負けだよ…シリウ…!?」


ルキフェルの言葉はそこで止まり、地に伏してしまった。


「油断したな。おしゃべりの間に仕掛けさせてもらった。」


「…あの短い間にキミの結界術と同じ構築式コードをボクにしかけてダメージを負わすなんて…流石だね」



ルキフェルの顔は穏やかな、死を受け入れた者の表情だった。





満月が雲に隠れ、冷たい一陣の風が枯れ果てた草花を揺らした。シリウスの漆黒の前髪に隠れていた左目には

黒い眼帯がついている。その右横の青い瞳は静かに一点を見つめていた。




――― これでやっと死ぬことができる…


虫の息の状態のルキフェルを見ながら、シリウスは自分のなかで高鳴る鼓動の音を感じていた。

それはまるで”死”の瞬間を今か今かと待ち侘びているようで。


しかし、自分のどこかでその瞬間を拒否しているような気もする。


…なんて曖昧なのだろうか。


歓喜と悲哀が自分の中でせめぎ合う感覚は酷く気持ちが悪い。



喉は渇き、目が霞んで立っているのが精一杯。もう体力も、自分の中の何もかもが疾うに限界を超えている。

つまり満身創痍の状態だったわけだが、シリウスは今、倒れるわけにはいかなかった。


(殿下、全ては貴女のために…)


無条件で自分を愛してくれた人。親というものがいなかった自分にとって愛の種類は

家族とは違えど、大切な人だ。彼女が愛したモノを守って死ぬことが出来るなんて

自分は幸せ者だと思う。


(せめて…もう一度…)


脳裏に次々と自分よりも先に逝ってしまった人たちの顔が浮かんでくる。


(師匠、教官・・・・今、行きます・・・・)


冷たい風がシリウスを現実へと引き戻させた。



――― やらなければならない。



意を決して、目を閉じた。高鳴り続ける鼓動は、自分のあと僅かな時間を終えたら止まって

しまうからか、これでもかというほど速さが増していく。


「ルキフェル、俺もオマエもここで死ぬ…」


そう言っても、先刻まで殺し合いをしていた相手は穏やかな表情を崩さない。


…まるで壊れた人形のようだった。


シリウスは、もしかしたら自分と同じなのかもしれないと一瞬思考をめぐらせたが、すぐに我に返り再び

目を閉じ、意識を集中させる。


暖かなモノが自分のなかに吸収されていく感覚。…きっとこれが最後だろう。


死を望むわりには生を惜しむ自分がいてなんだか酷く可笑しい。



「深遠より生まれし絶対不変なる光、万物なる其は全てをはじまりへと還す聖断とならん…」


これですべてが終わる。もう何も考えてなどいなかった。


「アイン・ソフ・アウル!!」


次の瞬間溢れんばかりの光の渦がシリウスとルキフェルを包み込む。


「これでやっと…」


死への歓喜を感じながら、そっと目を閉じた。光はとても暖かく、自然と眠気が襲ってくる。


薄れいく意識のなかで浮かんでくるのは彼女の笑顔。今、どうしているのだろうか…?


「殿…下…」


そう呼ばれるのを彼女は嫌がっていたなと、思い出が浮かんでくる。


(貴女の生きたこの世界を守れただけで俺は…充分です…)


「あり…がとう・・ございます…」


死ぬということはこんなにも心地良いことだったのか。



シリウスは襲ってくる眠気に身を任せ、思考を停止させた。



何かと何かがぶつかる音がする。



…そして光に包まれるように意識は消えていった…―――












何やら私のオリジナルの単語が出てきまくって困惑されている方もいると思いますが、連載で説明していきます。次回更新は来週と

なります。こんな駄文ですが、読んでいただけたら幸いです。

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