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ファルシオン学園の闘争記  作者: 玄野志向
第1章 入学編
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Battle.5 VS第1試験

 1月が流れた。

 結局、俺は特殊能力を得る事は適わなかった。


 そして、俺は魔法系の授業にはついていけず、特殊能力解放授業も相変わらずな感じだった。



 そんな退屈な日々の中に、ある1つの行事が現れた。

 だがその行事は決して楽しいものではなく、むしろ苦しみを増すものだった……。





 ★☆★☆★☆





「第1試験!?」


 耳を疑った。何で行事として試験が入っている?

 試験は誰でもいつでも自由に受けられるものと聞いてたんだが……。



「だが第1試験は特別でな。

 試験を受ける弾みとするため、行事に混ぜ込んであるのさ。

 毎年5月には遠足がある。


 ―――その遠足に第1試験を織り交ぜてある」


 さ、最悪だ……!


「……ところで空也」


「何だよ……」


 ハウエルが話しかけてくる。

 ハウエルはあの一件以来誰にも絡まなくなり、ぱっと見勤勉だ。

 そしてなんと、今やクラスでは一番親しかったりする。……とはいえ、悪友といった感じなのだが。


「お前、怪我してんだろ? 遠足いけるのか?」


「ああ、問題ない。もう治ったからな。……多分」


「多分!?」


「……傷口を直視したわけじゃないからな。でも、体感的には治ってると思う……」



「そこ。俺の話を聞け。

 ……第1試験の内容を説明するぞ」




 ――――ダイアモンドクラス――――



「……第1試験には、1次試験と2次試験があります。

 1次試験が筆記テスト。2次試験は実技テストとなっています。


 1次試験はこの場で行い、2次試験を遠足当日に行う事になっています」



(空也さん、大丈夫かな……)


 黎は空也の心配をしていた。

 空也が大怪我を短時間で治療できたのは黎のおかげなのだ。

 黎は既に治癒魔法をマスターしており、それにより空也の怪我はだいたい完治。

 しかし……


(実技テストなんかで動き回ったら傷口が開いちゃうかも……)



 黎は1次試験の内容を知っている。

 何故ならもうすでにクリアしているからだ。


 1次試験を2分程度、2次の実技テストを3分程度でという驚異的なスピードで。



「……ちなみに、黎さんとキャロンさんは受ける必要はありません。

 2人は既に第1試験をクリアしています。ので、普通の遠足ですね」


(空也さん、大丈夫かな……。どうせ魔法は使えないだろうし……)





 ――――トパーズクラス――――



「12点」


「はっはっはっはっはっはっはっははははははは」


「黙ろうか。

 ……まだ2次試験がある。俺にはまだ希望がある!」


 高らかに叫ぶが、勝機などこれっぽっちもなかったのはここだけの秘密だ。





 ★☆★☆★☆




 2次試験の舞台。

 学園から徒歩20分程度の場所にあるアヴァリオン・マウンテン。

 そこに放されている竜の幼生を捕まえる、というのが試験内容だ。



 1グループ3人、11グループでの行動となる。

 竜を捕まえるに至るそのアイデアや魔法の使い方などで点数がつく。


「おう、空也。俺と組もうぜ!」


「ええ~……」


「なっ!? 何だそのリアクションは!?」


「冗談だ。んで、3人目はどうしようか……」



「失礼。2人揃っているようですので……僕を加えていただけませんか?」



 声の聞こえたほうを振り返ると、黒髪に眼鏡といういかにも優等生風の男が居た。

 短めの七三分けの髪型と小脇に抱えた本は勉強熱心的なイメージを加速させる。


「僕の名はルシフェル。トパーズクラスのクラス委員をさせていただいております。

 これでも多少の魔法を扱う事はできます。

 もし宜しければ、なのですが貴方方のグループに加えてはいただけませんか?」


「あぁ。別に拒む理由も無いしな。

 ……にしても、同級生に対してそこまで謙った敬語を使う事ないんじゃないか?」



「……、失礼しました。これは私の性分ですので、どうにも治せないのです」



「そ、そうか」



 ……なんだ、この違和感は。

 このルシフェルという男……どこか不自然な気がする……。何と言うか、あれだ。えーっと、まぁ……言葉で説明できるんだったらとっくにしている。


「どうかしましたか?」


「あぁいや! 何でも無い!」


 いかんいかん。俺の適当な直感でじろじろ見たら失礼だよな……。

 ともかく、これでグループは揃った!


「しゃー! じゃぁ竜を捕まえに行くぞ空也ぁ、優等生!」

「ルシフェルです」





「で、作戦はどうする?

 バカ正直にジャンプして届くようなら苦労はしない。

 飛行魔法か補助魔法……或いは手荒だが竜の幼生に攻撃魔法を当てて打ち落とすって手もある」


「……最後の案は却下ですね。

 そのような手荒な真似をすれば竜の幼生が傷つきかねない。

 それでは減点対象になりますからね」


「へぇ~、そうなのか。

 んじゃ、作戦は……」


「ハイハイハイハイ! 俺、思いついた!」


 ハウエルが大げさに手を挙げる。

 嫌々だが、一応聞いて置いてあげようじゃないか。


「何だよ」


「ふっふっふ、聞いて驚くなよ!

 幸い、このアヴァリオン・マウンテンには植物が大量に自生している。

 それを利用してパチンコを作る」


「……植物のつるを利用して、ですか?

 で、何を射出するんですか?」


「え? そりゃ……石とかじゃねぇ?」


「それじゃ減点だっていってんだろ。

 そんなんだったら魔法使ったほうが楽だし、魔法使ったほうが加点だ」


 こいつはきっと話を聞いていなかったのだろう。耳から脳へと情報を伝える回路がイカれてるんだろうか。



「僕に考えがあります」




 ★☆★☆★☆





「……作戦を確認するぞ。

 まず、竜は竜でも幼生なので、あまり長時間飛び続けることはできない。

 故に時々地上に降り立つ必要がある。そこを狙って捕獲する……。実行は1次の得点がやばかった俺で」


 2人は無言で頷く。と、視界の端で竜の幼生が1匹、降り立った。


(今だ、空也!)


「うおおおっ!」



『我が呼びかけにて現れよ……リッチ!』

「へ?」


 俺が竜を捕まえようと飛び出すと、横から黒いローブに大鎌を持った死神……らしき魔物が飛び出してきた。

 俺が邪魔だったのか、死神はその鎌で俺を吹き飛ばした。



「ギャーーーーっ!」



 先ほどの死神を見ると、竜の幼生を鷲掴みにして捕獲していた。

 そして死神はUターンして竜を誰かに届けようとしている……。


 その方向を見ると……白いローブを着ている、金髪の童顔の男……




 俺の知り合い、ソルがそこに居た。





挿絵(By みてみん)

次回予告


第1試験の最中に現れた空也の知り合い、ソル=フラバー。

だが2人は再会を喜ぶような間柄でもなく…

しかもソルの召喚魔法によって呼び出された魔人リッチによって、

空也の傷口が開いてしまう!!


このような状態で第1試験をクリアできるのか!?


次回 Battle.6 VSソル=フラバー



「腹いせ♪」

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