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ファルシオン学園の闘争記  作者: 玄野志向
第4章 古の魔神編
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Battle.53 VSゼラ

最近、黎の萌えキャラ化が半端無いけどまぁいっか

「にゃー!(くらえ!インディグレード!)」



 黎の頭上に魔法の雷が落ちる。

 が、雷は黎に当たる直前で弾かれた。



(ほぅ、障壁か。やるな、この小娘が……)


「あなたは誰ですか?ねこさんの中に宿っているんですか……?」



 黎は無詠唱で翻訳魔法を発動させた。

 黎の魔力ならば生徒手帳の翻訳魔法を上回る魔法が使える。

 つまり、猫の言葉も翻訳できるのだ。



「見抜いたか……我は憑依魔神ゼラ!恐れ戦くが良い、人間め!」


「ゼラ……!?壺の中から解放された、ゼラ……?」


「ようやく言葉が通じたな。もっと早く翻訳魔法を使っておけっ!」


「あ、はい、ごめんなさい……。」


「わかればよろしい。…………って、違う!くらえ、フェリルグレード!」



 ゼラは身体中から強烈な吹雪を飛ばす。

 吹雪の中には尖った雹も含まれていて極めて危険だ。

 が、黎の障壁は雹を軽々と跳ね返した。



「ふ……甘いな小娘め。」


「……!?さ、寒……っ」


「障壁は全てを遮断するわけではない。それでは息ができなくなるからな。

 気温を極限まで下げれば当然貴様は……死ぬ。」



 ゼラの魔法により辺りは銀世界となっている。

 普通の制服しか着ていない黎にとっては耐えがたい寒さだ。



「でも、炎を使えば……!」



 黎は自分の周囲に炎を出現させた。

 吹雪の寒さはこれで緩和できる……が……。



「――――掛かったな。」


「え…………?」


「凍てつけ。フェリルバースト!」



 ゼラは黎の展開した炎めがけて氷の結晶を投げつけた。

 ゼラの狙いは反属性の反発による大爆発で黎を手っ取り早く殺すこと。

 氷が炎に迫る…………。



 しかし、そんな狙いに気付かない黎ではなかった。



「イプサイアス!」


「何!?」



 黎は魔法を駆使して一瞬で2箇所に魔法陣を書き上げ、その位置を入れ換えた。

 入れ替えたのは……黎の立ち位置とゼラの立ち位置。

 入れ替わったゼラの周りには炎。その炎と、ゼラ自信が飛ばした氷が――



 ―――――接触・反発し、灰色の大爆発を起こした。



「う……。」



 十分に離れた黎のところにも爆風が来るほどだ。

 中心にいたゼラへのダメージは計り知れない。

 しかし、爆風の中から黒い翼を生やした黒猫が飛び出した。


 ゼラは大分傷を負っている。

 空中で大量の魔力を解放し…………



「消え失せろ小娘!禁術……メテオ!」



 ぽてっ、と落下した。

 見たところ、猫の体から出ていったようだ。

 しかし、魔法は発動した。

 空から大量の隕石が黎めがけて降り注ぐ。

 しかし黎はあくまで冷静だ。



「アポカリプス!」



 黎は禁術を除く魔法の中で最強の魔法、アポカリプスを発動させた。

 灰色の大爆発が空を覆い、ゼラの放った禁術メテオを全て消し飛ばした。



「ふぅ……。あ、ねこさん、大丈夫!?」



 黎はゼラに宿られていた猫に駆け寄った。

 大分弱ってはいるが、幸いまだ息はあるようだ。



「ごめんね、今治してあげるから……。」



 黎は治癒魔法で猫を治療する。

 猫は暫く大人しく治療を受けていたが……



「にゃー!」



 怪我が治ると、すぐに走り去ってしまった。

 黎はスカートの裾を直して立ち上がり、気付いた。



「ここ……どこ……?」



 ゼラを追ってきたはいいものの、ここがどこだかわからない。

 先程のゼラとの戦いで魔力を消耗してしまい、イプシリアスも使えない。

 辺りは鬱蒼と木の繁る森。西も東もわからない。


 ……わかったところで意味はないのだが。



 こうなれば仕方ない。魔力が回復するまでここで休むしかない。

 とはいえ、



「冷たい……。」



 先程ゼラが辺りに雪を降らせたせいで地面はとても冷たい。



「うぅ~……。肝心なときに魔力切れなんてぇ……。」



 冷たい雪が徐々に、しかし確実に黎の体力を奪っていた。





 ★☆★☆★☆





「っくちゅっ」


「ほい、お粥できたぞ。」


「いいです……食欲ないです……っくちゅっ」



 黎が帰ってこないので心配して草の根を分けて学園敷地内を探したところ、

 森の中に突如出現した雪原で遭難していた。

 急いで家に連れ帰ったところ、40度近い高熱が出ていた。



「ちゃんと食べなきゃ駄目だぞ。」


「やだ……いらないよぅ……」



 珍しい。黎が駄々っ子みたいだ。めっちゃ可愛い。

 とはいえ、お粥が冷めてしまうので一口分すくって黎の口に近づける。

 黎は口を固く閉じ、顔を背ける。

 仕方がない、実力行使で食わせよう。無理矢理口に入れてやる。



「やだ、やめてよぅ」


「ダ~メ。食え。」


「…………ん…………。」



 ようやく一口食べてくれた。

 こういう食欲の無いときは一口食べればたくさん食べてくれる。



「にしても、何であんな所にいたんだ?」


「……ゼラを追ってたんです」



 口調がもとに戻ってしまった。せっかくめっちゃ可愛かったのに。

 しかし、ゼラだと? まさかあのジジイ、黎まで巻き込むつもりじゃないだろうな。





 ゼラとの戦闘の経緯を聞いた。

 ゼラは今は猫から出ていきどこにいるかわからないという。

 にしても……ゼラめ。黎を傷つけるとは許せん。

 ……あんな所で休んでいた黎も大概だが……奴は許さない。

 必ずしや見つけ出してこの壺に納めてやる……!



 壺はセロテープで修復したから大丈夫……だよな?





 ★☆★☆★☆





【ほう、ゼラが解放されたか】


「えぇ……しかし、ゼラは学園に狙いを定めたようです。これでは……」


【ふむ……面倒だな。

 しかし、紅き力が動いているようだ。今回は奴に任せ……魂だけ回収しろ。】


「わかりました。全ては邪神の御言葉のままに……。」


【…………ふっ。ぬかるなよ。】



 ルシフェルは暫く謎の声と話していた。

 一体どこから、誰が、どのような事をルシフェルに話しているのか……。

 明らかとなるのは、まだまだ先の事だ。




挿絵(By みてみん)

次回予告


ゼラは次なる行動を起こす。

ゼラは学園の生徒に憑依し、何やら企んでいる様子……。

そんなある日、学園に謎の魔物が次々に現れ……!?



次回 Battle.54 VS魔傀儡兵(前編)



「全ての生命は朽ちる…!」

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