Battle.27 VSハウエル・ソル・黎・キャロン
あいつってそんなにゲーム得意だったのか」
「ま、俺には関係ないな。さぁ空也!!入るぞ!!俺の相手はお前だけだ!」
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中に入ると、雰囲気溢れるカウボーイのいそうな景色が広がっていた。
おそらくエルフの魔法等で作ったんだろう。
隣にハウエルの姿はなく、どうやら別々な所に飛ばされたようだ。
辺りには銃声が響く。流れ弾が建物に当たると建物が一部壊れる。
決闘フィールドみたいなものなのか?
俺の腰にはホルダーが巻かれており、その中に銃が2丁入っている。
俺はそれを抜き構える。
『新たに4人のプレイヤーが入場しました。』
やってる最中にも入ってこられるのか。それで記録を伸ばすわけだな…
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「念を押しておきますが…わたくしは決してこのゲームが目当てな訳ではありませんわよ。
まったく、何でわたくしがこんな…(ワクワク)」
「わかってますよキャロン様。」
話しているのはキャロンとそのお付き、フォルス。
キャロンはゲームをやったことがないのだが、ふとしたことから興味を持ち
アルカ・フォルス・黎とともにゲームセンターまで来たのだった。
「さて…ここではわたくし達は敵なのですし、先ずは別れますわよ。
では、幸運を祈るわ。」
『新たに1人のプレイヤーが入場しました。』
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「フフフッ、新記録を樹立してやる…!!」
新たなプレイヤーはソル。
すでに相当な記録を保持するソルの賞金額は圧倒的。
それを知り、多くのプレイヤーがソルに近寄ってくる。
「甘いわ…!!」
ソルは2丁拳銃を抜くと、回転しながら周囲の敵を撃つ。
寸分狂わず周囲のプレイヤーの頭部を撃ち抜く。
そのうち2人は既に4発喰らっていたようで、ゲームオーバーで会場から消える。
「ふふん、実際の銃じゃ反動があってこうはいかない。そこが良い!」
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「とりゃ―――!!」
「きゃあ!?」
黎は突然の襲撃を間一髪回避した。
その主を見ると、キャロンのお付き、アルカだった。
(最近、キャロン様のお付きとしてお側できないのは…
この子がキャロン様とやたら一緒にいるから!お仕置きよ…!!)
アルカは黎の頭部めがけて引き金を引いた。
ピーーーーーーー…
被弾を告げる警告音が響く。だが、被弾は黎ではない。
「なっ、貴方は…!?」
「空也さん!!」
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俺が大分ゲームのやり方を覚え3人ほど倒したところで、
驚くべき事に黎の姿を見つけた。
銃を向けられていたので、つい反射的に庇ってしまい、一撃被弾。
すかさず俺は2丁拳銃で1発ずつ頭部に撃ち込む。
黎を狙った女子生徒は2発被弾。不利と判断した女子は俺から逃げる。
逃げる女子に更に2発撃ち込む。残り1発だが、撃ち漏らした。
「空也さん、何でここに?」
「遊びに来た。黎こそ、何でここに?」
「キャロンさんに誘われてきたんです。このゲームを選んだのは私ですけど…。」
パァン!!
黎のセンサーが反応する。誰だ!?
「れ、黎さん!?」
「キャロンさん…?」
「そ、その話は他言無用といったでしょう!?」
「あれ、そうでしたっけ…」
キャロンは引き金を引く。同時に、俺も引き金を引く。
キャロン、黎のセンサーが鳴るが、キャロンの標的は今は俺だな。
「…そういえば、貴方と力比べしたことはなかったわね。」
「そういえばそうだな。ま、この場での戦いが正確な力の差にはならないがな…。」
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「まったく…黎の兄だっけ?過保護すぎるわ…」
残りライフ残量1のアルカが呟く。
今は建物の裏に来ていて、誰にも見つかっていない。
…今は、の話だが。
ザッ
「!」
「よくライフが少ないプレイヤーがここに隠れるんだよなぁ…」
(ヤバ…)
パァン
アルカはゲームオーバーとなり、会場から消えた。
『ソル=フラバー $ 3685436
↓
ソル=フラバー $ 3687439』
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「く…完敗ですわ…」
キャロンはゲームオーバーになり会場から消える。
「おや珍しい。空也に黎様。こんなところで会うとは…」
「お、へっぽこソル君じゃないか。…何てカオスな顔ぶれなんだ!」
「ちゅーわけで、さいなら空也。その記録も俺が貰うよ。」
パァン
しかし被弾の警告音は聞こえない。俺が弾丸を避けたからだ。
「弾丸避けだと…!?」
「ぬおおお!!」
俺は一気に距離を詰め、ソルの頭に銃口を当てる。
だがさすがは記録保持者か、ソルも俺の動きと同時に俺の頭に銃口を当てる。
「ふっ、俺はまだ一撃も被弾していない。ところが空也。お前は一発喰らっている。
俺が四発撃ち込む早さと、お前が五発撃ち込む早さ。
どっちが早いかやってみるか?」
「望むところだ…!」
パァンパァンパァンパァン!!
パァンパァンパァンパァンパァン!!
「やっぱソルのが早かったか…」
俺は四発被弾して消える筈だった。が、消えたのは目の前のソルだった。
どういう事だ…?俺は四発しか撃てていないはず…
消えたソルの代わりに立っていたのは…ハウエルだった。
「フッフッ…今度こそ俺の勝ちだな!!」
「あー…それっぽいな…」
パァン!!
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「あーあ…欲張るからだよ。あそこで切り上げておけば最高記録だったのに…」
結局ハウエルは欲張って記録増加を目指すうちに他のプレイヤーに撃破され、一気に記録が0になったのだ。
「いんだよ。お前に勝つのが目的だったんだから。」
あくまで目的がぶれなかったハウエルの面持ちは清々しかった。
「さぁ!敗者は学食を一食奢る掟だ!!」
「うぇ!?んなルールいつ定めた!?」
「今だ!」
ハウエルは走り出す。夕陽をバッグに、ハウエルの姿が影になっている。
俺は同じく走り出した。
「いいのか?そのルール、お前にも適用されるぞ?」
「うげ!じゃ、じゃあそのルール廃止で!」
俺たちは寮に走った。
次回予告
デス・レーベル解散と共に停学になった久城。
久城が帰ってくるまでは風紀委員がいないことになる。
そこで臨時風紀委員として選ばれたのは空也だった!?
次回 Battle.28 VS揉め事
「冗談じゃない、俺は嫌ですよ」