Battle.15 VS言語の壁
朝。
いつものように学校に登校した。
そう、いつもの朝のはずだった。
「Ohh,Good Morning Kuya.」(おー、おはよう空也)
「…へ?」
「What happened, Kuya?」(どうした、空也?)
「えーっと…ハウエル?何言ってるんだ?日本語で喋ってくれ。」
「In Japanese ...?(日本語で…?)
What I'm saying for quite a while Kuya?(さっきから何言ってるんだ?)
Hey, Lucifer!(おい、ルシフェル!!)」
ハウエルが手を挙げてルシフェルを呼ぶ。
ルシフェルが歩いてくる。
「Τι συμβαίνει;(どうしたのですか)
、κ. Howell, ο κ. Kuya.(ハウエルさん、空也さん)」
「Oh, I'm just saying it for quite a while but Kuya something strange.
(ああ、空也がさっきから何か変な事ばっかり言ってるんだよ)」
「Χμμ ... τι είναι λάθος με
σας κ. Kuya.」(ふむ…どうしたのですか?空也さん)
ちょ、ちょっと待て。
なんだ、何なんだ。一体どうしたというんだ!?
何かのドッキリか?ドッキリなんだよな!?
「Κιτ Kuya,
ακριβώς ...(もしや空也さん…)
Αυτό που ακούμε
τις λέξεις;(生徒手帳を忘れたのですか?) 」
「何言ってるかわかんねぇ!!日本語で喋れよ!?」
「Η πιο ... εγώ ακόμα.(なるほど…やはりそうですか。)
, Kuya το έχω ξεχάσει
το εγχειρίδιο φοιτητή;
(生徒手帳を忘れたのですね。)」
だ、ダメだ。
何言ってるかまったくわからねぇ…。
そ、そうだ!!黎が…黎がいた!!
黎なら普通に言葉が通じる。
★☆★☆★☆
「言葉が通じない…?えっと、どういうことですか?」
「そのまんま。全員、何言ってるかわからない。」
よかった。黎には話が通じるようだ。
しかし一体なんで…?
「むー…もしかして空也さん。
生徒手帳を忘れたんですか?」
「え?生徒手帳…?
って、ああ。確かに無いな。でもそれがどうかしたのか?」
「まったく、いいですか空也さん。
ファルシオン学園は世界でたった1つの魔法学園です。」
ああ、そうらしいな。
そもそも魔法というものを人間に教えるのは極最近の事らしい。
そのため、将来ファルシオン学園の分校ができる事は
期待されているが、今のところは無い。
でもそれが一体なんだというのだろう。
「世界の言葉は共通ではありません。
だから、普通に考えてハウエルさんやルシフェルさんに対して、
普通に会話が通じるはずもありません。
つまり、その言語の壁をどうやって除くか。
その答えが生徒手帳なのですっ!!」
「いやいや、プロローグはいいよ。
直球でどうぞ。」
「むぅ~!!酷いですっ!
要するに…生徒手帳には翻訳魔法がかかってるんです。
生徒手帳を忘れてしまっては翻訳魔法が解けるのは当然です。」
……!?
まさか…そういう事か!!
「じゃあ…あいつらは俺の言ってる事は分かるけど、
俺はあいつらの言ってる事は分からないってことか!?」
「そういう事ですね。ハウエルさんたちは外国の方ですから。
当然、日本語が通じるはずありません。」
★☆★☆★☆
「Hey Kuya. Where were you going?
(よう空也。今まで何処行ってたんだ?)
Classes will begin.(もう授業始まるぞ)」
「あー、はいはいわかった。」
とりあえず勘で返事をして茶を濁す。
でもハウエルがなんていっているかは分からない…!!
授業が始まった。
当然教師の言っていることも分からない。
「If you use this emblem of magic going on?
(この魔法を使う場合の紋章はなんでしょう?)
Well ... please answer Kuya.
(えー…空也さん、答えてください。)」
えー…い、いふ…If?you use this…
もしもあなたがこれを使う…
もしも貴方がこれを使うならどうする?
えーっと、これって何だ。
魔法…か?
ダメだ、黒板に書いてある事まで翻訳されてない。
もしも貴方が魔法を使うとき。
この後に繋がる質問は…!?
…注意すべき事は何ですか…とかか?
「えー…ゴホン。
魔法を…すばやくデュマで移動させる事…です。」
「I have heard is what the coat of arms?
(私は紋章がどんなものなのかと聞いたのですが?)
Did you mean Kuya. You're not have a student handbook?
(もしや空也さん。生徒手帳を持っていないのですか?)」
「あー、ハイ、わかりました。」
こんなに長い文章を俺が翻訳できるわけがない!
やはり適当に返すしかないか。
「The student handbook is
there a translation function.
(生徒手帳には翻訳機能があるのです。)
Student handbook, please always carry.
(生徒手帳は常に携帯してください。)
please sit down(座ってください。)」
「そうなんですか。ありがとうございます。」
ダメだ、噛み合ってない気がする…。
くそう…何故だ…何故俺がこんな目に…こんなの間違ってる!!
★☆★☆★☆
「ん?」
廊下に生徒手帳らしきものが落ちている。
なになに…ソル=フラバー…ソルのか。
…まぁいい。今日一日利用させていただこう!!
「貴様ぁっ!!」
「ごぼぁ!!?」
立ち上がった瞬間に俺の首に衝撃が走り、
そのまま俺は廊下に倒れ…俺の意識は闇に沈んだ。
「まったく…失くしたと思ったら空也が盗んでいたとはな。
なんて野郎だ…ブツブツ…」
その誤解を解く術を、今の空也は持ち合わせていなかった。
次回予告
ハウエル、ルシフェルとともに第3試験に挑む空也。
試験内容は小型悪魔『アルナス』の討伐。
簡単なように思えたアルナスの討伐は、意外にも難しく――――!?
次回 Battle.16 VSアルナス《前編》
「破壊の象徴たる力よ、今此処に我らに宿らん!」