授業
『戦争は悪いことです』
当たり前だ。
疑う理由なんて一つもない。
その悲しみを忘れないようにすることには、とても大きな意義がある。
『映像があるので、それを見ます』
だが。
それを知って、どうなると言うんだ。
誰がそれを望んだ?
民か?
僕は歴史をあまり知らない。
だから、なにも言えない。
誰が悪かったとか、そんなことは別にどうでもいいらしい。
あんまり教えられないし。
もう起こらないように。
そうすることが、それを経験した人への報いだと言うのに。
そういえば、最初の授業で歴史を学ぶ意味を教えられた。
過去の教訓と言うらしい。
過去を知ることで、これからを改めるんだとか。
…僕たちは、これを知って、なにを改めればいいんだ?
悲しみだけを教えられて。
本当に学ぶべきは、誰なんだろうか。
……なんだ?このビデオ。
当時の様子を再現した映像を、実際に被災した方に見せている。
…………………は?
何がしたいんだ?
は?わざわざ再現して?辛いことを思い出させて?それに何の意義があるんだ?
別に、再現なんかしなくっても、映像は残ってるだろ?
というか、必要すらないだろ?
なにがしたくて、こんな残酷なことするんだ。
こんなに、人の心がないことが出来るんだ。
……クソが!
学んだって!知ったって!僕らには何も出来ない!戦争を決めたのは誰だ!
私たちが出来ることは、正しい情報を知り、周囲に伝えること?
何馬鹿なこと言ってんだ!
戦争が起こる理由なんてシンプルだろ!
上が決めるんだ!
これじゃまるで、僕らが責められてるみたいじゃないか!
『 くん』
『はい』
『ちゃんと聞きなさい。実際に体験した人のお話は、何よりも大事ですよ』
とても、優しい声だった。穏やかだった。
『…分かりました』
これを見て、みんなは何を思うんだろ。一応、読解力がない人向けに言っておくけど、戦争を肯定なんて全くしてないし、どんなものだったか学ばせることを否定してるわけでもないからね。
戦争は存在してはいけないよ。それは間違いない。
さて。
この子は冷静でも、正解でもない。
ただ、誰が学ぶ側で、誰のために語られているのか。
それを言えるように、私も考えたいと思ったよ。
読んでくれてありがとう。
お疲れ様。




