#7 僕は食べない、君の弁当を
今日という今日が終わり、また明日が始まる。それは誰にも変えられない。変えようとも思わない、そんな摂理。
「ねぇ、班決まった〜?」
朝の教室に行くやいなや、神崎雫は僕に話しかけてきた。
「決まってないよ、どちらかというと君の方が誘われてるんじゃない?」
僕がそういうと神崎はうーんと頭を悩ませた。
「そうなんだけどねぇ〜、でも私が楽しめそうなのは空かなぁって!」
笑顔で、そんなことを言ってくる。僕なんかと楽しめるわけないだろと、心の中で突っ込んでおく。流石にそこは自重してるよ? いや、ほんとほんと、ウソジャナイッテバ
「そうか、まぁ誰でもいいから誘っておいてくれ」
「え? 空くんも楽しまなきゃ意味無いでしょ?」
楽しむ……か。そんな感情忘れてしまった。楽しむって何? 何がどう楽しいんだ? あーあ、僕も捻くれちゃったな。
「僕は……いいよ。最悪休むし」
「……それはダメ」
「なんでだよいいだろ別に」
「私が嫌なの!」
涙ぐんだ声ではきはきと言う神崎。どうしてそこまで僕を……
「なぁ、神崎はどうして僕にそんな話しかけたりするんだ?」
気になっていた質問を投げかける。すると神崎は……
「……私と、似ていたから」
「はぁ? 全く似てないだろ」
似てるってどこがだよ……似てないじゃないか、性格も多分真反対、そっちは感情はあるけど僕はない、どこが似てるんだよ。
「似てたから、それだけ」
なぜだか分からないが、神崎は少し辛そうな表情をした。……これって僕が悪いの?
「あ、そうだ! 今日空くんの弁当作ってきたんだ!」
「……は?」
思ってもいなかった言葉に僕は呆然とする。
「空くん、あんまり栄養とってないでしょ。だから私が作ってきたの」
「……いや。いいよ。余計なお世話だ」
「いいから食べなさい!!」
「お前は母さんかよ……」
つい自然と自虐ネタを入れてしまった。幸いにも神崎は気づいていないようだった。これはこれでよし、結果オーライと言うやつだ。そもそも始まってすらなかったが。
「わぁったよ、食べればいいんでしょ、食べれば」
その後も何度もしつこく食べろ食べろと言われ、僕はとうとう降参してしまった。
「うん! それでいいの♪」
なんだかすごい機嫌が良さそうだった。そのことに僕は、安堵のため息を零したのだった……




