#6 僕は後輩、君は先輩
50分間の授業が4回終わり、昼休みになった。授業の内容は分かりやすく説明され、すんなりと頭に入ってきた。とまぁ、昼休みになったとてやることは無い。教室は何となく居心地が悪かったから別の場所に移動しようと思い、手探りで場所を探し始めた。
そして、ひとつの場所を見つけた。
「……ここならいいか」
一言呟いて、そこの場所に座った。
周りは静かすぎるほど誰もいなかった。と、思っていたのに……
「こんな場所で何してるんだ?」
後ろから、話しかけられた。見てみると、多分先輩のような人だった。
「いや、ここに人がいるのが珍しくてな」
「普段、誰もいないんですか?」
「まぁな、俺だけの秘密スポット的な感じだったんだが……」
階段をおりて、僕の隣に座る。
「隣いいか?」
「いや、もう座ってるでしょ」
「あはは、そうだったな」
ふぅ、と、一息ついてから改めて僕を見る。
「俺は島田勇気、2年生だ。お前は?」
「僕は、天月空、1年生」
「そうか、空、よろしくな」
「……うん」
「なんかお前、変わってるな」
「え? どこが?」
「いや、なんて言うんだろうな、見ている世界が違うというか」
……鋭いな。けれど、これを答える義理はない。
「さぁな……気のせいじゃないか?」
適当に僕は話をはぐらかす。
「そういう所も変わってるよなぁ、大体、先輩には敬語じゃないか?」
「なんでそうしなきゃいけないのかが疑問だな。そうしたところで何か変わるのか?」
「……お前、ひねくれてるな」
そう、なのだろうか?僕は世間を知らないのでよく分からない。
「面接とかどうしたんだよ」
「適当にしてた……かな」
「…………」
少し引かれたようだ。
「ま、これからもよろしくな、空」
「僕は……」
「まぁ、いいじゃねぇかよ」
パンパンと、背中を叩かれる。友達ってこういうことされるのだろうか?僕は痛みになれてるからいいけど。
「そういや、この学校は楽しめそうか?」
「どこも変わらないよ」
「話が噛み合わねぇ……」
こいつはダメだみたいに頭を抑える。
「おっと、そろそろ授業かな、また話そうぜ」
じゃあなと、手を振って戻る島田。
「敬語って、そんなに必要なのかなぁ……」
僕は島田を見て、そう思ったのだった。




