#3 僕は落とし、彼女は拾う
不良らしき人に絡まれた(?)あと、僕は再び帰路をたどる。ちなみに、学校から家までは1時間くらいだ。
「今日はまだ大丈夫かな」
めちゃくちゃにお腹が空いたというわけではないので、何も買って帰らずに家に帰った。
僕は家につき、鍵を開けようとバッグの中を見る。
「あれ……」
家の鍵がない。どこかに落としてきたのだろうか。
「はぁ、どうしよ」
非常にまずいことになった。家族がいないので、鍵をなくすと出禁になる。つまり、詰み状態だ。
「めんどくさいけど探そ」
僕は今まで通った道と、再会することとなった。
「学校まで来てしまった……」
道中、鍵という鍵はなかった。なんなら落とし物もほぼなかった。あれ、僕終わった?
今までで一番の危機だと実感する。例えるなら……というかみんなも経験したことはあるのではなかろうか。
「ほんとにどうしよ」
まぁ、死ねるなら別にいいかと、そんな考えがよぎる。
むしろ、今死ななきゃいつ死ぬ!みたいな、そんな感じ。
「相変わらず景色は同じ……」
僕がそんなことを思っていると、ぐいぐいと、誰かに引っ張られる。
「これ、お兄さんの?」
見たところ中学生だろうか。なんだか、この顔を最近何処かで見たような……
「ねぇ、聞いてる?」
「ん、あぁ、僕になんのよう?」
「これ!!」
チャリン、と、音を立てるものが渡される。
僕はそれを少し眺め……
「な、なによ」
どうやら、この子の胸を見ていると勘違いされたらしい。
「ごめん、僕色が見えなくてね、よく見ないとそれが何なのかわからないんだ。それにしても、どうして君が僕の鍵を?」
「お兄さんが学校を出るときに、何かが落ちてさ〜。何だろって近づいたら鍵だったってわけ」
「……もしかして、そのためにずっと待ってた?」
「まぁね」
「それは、ごめん」
深々と頭を下げる。それに対し彼女は
「いいよいいよ、ていうか、拾ってあげたんだからありがとうでしょ?」
常識ないなこいつ、みたいな目で見られる。実際そうだから何も言えない。
「……ありがとう」
「どういたしまして!」
先程の顔とは違い、天使かのような笑みを向けてくる。……女性って不思議だ。
「お兄さんお兄さん、よければLINE交換しない?」
「僕スマホないんだ」
「え、嘘!? 今の時代にそんな人いるんだ」
「やっぱり、おかしい?」
「うーん、おかしくはないだろうけど、ありえないよね」
それどっちも同じ意味じゃ……
「あまり魅力を感じないんだよね、連絡する人もいないし」
「そっかぁ、あやばっ、そろそろ塾だ! それじゃあね!」
「あ、あぁ」
僕はその子の背中を見届けて、再々帰路を辿る。
本当に不思議な日だったな。
「これがいいことなのかは、わからないけど」




