世界に始まりを告げる少女
「世界に終わりを告げる少女」の続編となっています。
先にそちらを読んでみてもよろしいかと。
原生地、あるいは原生林とでも言うべきか。
広がるのは手つかずの大地、山、森、川―――目に映るもの全てが自然体。手入れなどされていない。何にも邪魔されず、何にも逆らわず、何にも侵されない。
これが世界の、本来の姿。
「―――うん、大分戻ってきたかなぁ」
その自然に似合わない、1人の少女がつぶやく。世界を終わらせた、その張本人。
この世界は一度終わっている。終わって、また始まったのだ。
始まれば終わるように。終われば、また、始まる。
「10万年もあれば充分だと思ったんだけど……意外とかかるものね」
それは人の過ちを、自然へ返す為の歳月。
鉄の山も、石油を喰う獣も、コンクリートの大地も、真昼のような夜も、もう存在しない。
そして、人も。
「でもまだ早い気がするんだよなー。どうしよっかなー」
世界は始まっているが、正確には始まっていない。言うなれば今は準備中。完全な始まりは、少女によって告げられる。
「でもまぁ、早く会いたいし」
終わらせる時は絶望しかなかった。
今は希望と不安が50:50。
願わくば、希望が絶望に変わらぬ事を。
願わくば、不安が安堵に変わる事を。
「それじゃあ、2順目をはじめよう」
引き継ぐものは、過ちか。教訓か。
お久しぶりです、と言った所で解る方がいらっしゃるのか(苦笑
もう1作ほど続きますので、詳しくは、また。
09/12/10 アキヒト