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「いやいや!陰魔探してるってどういうことだよ!?陰魔って危ないの知ってるよね!?」
僕は思わず机を叩いて大声を上げてしまう。
でも、馨って子が子供なら……いや大人であろうがどう考えても危険な行為だ。
だって、陰魔をどうにか出来るのは祓い手だけなのだから。
「危ない?馨なら大丈夫だろ」
「まあ、馨さんなら大丈夫そうですね」
だ、大丈夫!?その自信はいったい何処から!?
「まさかとは思うけど、馨さんって祓い手だったりするの!?」
それならば陰魔を探す行動も頷ける。陰魔を祓うことが、祓い手の仕事なのだから。
しかし2人は首を横に振った。
「クク……アイツが祓い手って……有り得ねえよなァ」
神々廻さんは笑いを噛み殺したかのような反応を見せる。
祓い手じゃない?だったら、やっぱり危険じゃないか……!
「わ、笑ってる場合じゃないよね!?今陰魔が大量発生してるんだよ!?」
「……あァ?」
僕の言葉に明らかに不機嫌になった彼の声が返って来る。
馬鹿にしたと思われたのだろうか。いや、若干はしたけど。
「はいはい、黎一郎さん。ストップです。何も知らない方からすれば、危険な行為だと思ってしまうのも仕方ありませんから……」
「……チッ」
純子さんが間に入ってくれたお陰で事なきを得たが……場がだいぶ気まずくなってしまった。
この場に3人しか居ないこともあって、誰も口を開かない。
……ガラッ。
そんな静寂を終わらせるかのごとく、店の扉が開いた。
「黎一郎、やっぱりここに居た。いっぱい探した。だから、私にもお団子……ちょうだい」
扉の向こうから現れたのは、髪や肌が真っ白でとても小さい少女だった。