宇宙船サンダーバース号が征く ~雪だるま星雲を探せ!~
「船長、到達目標を発見しました!」
モニターを見ながらオペレーターが言う。
「うむ……座標は確かか?」
「はい。間違いないようです」
サンダーバース号はアンドロメダ連盟が開発した宇宙探査船である。かつての地球人たちが残した遺物を回収する目的で作られた。
その回収目標の一つが雪だるま星雲。
地球人たちは宇宙のあちこちから氷の塊を収集し、一か所に集めた。貴重な水資源を確保するため、連盟は長年その調査に労力を費やしてきたのだ。
「船長、来ました! 防衛システムです!」
「うむ……手筈通りに」
船長が指示を出すと、自動迎撃システムが作動。
小型の自爆ロボットが複数放出され、敵の攻撃に備える。
複数の人型ロボットが姿を現す。
地球人たちは兵士の役割をロボットに押し付けた。その結果、自律兵器が宇宙に跋扈し、無秩序に殺戮を繰り返す状況に陥る。
地球が消滅してはや1万年。
生き残った人々は殺戮ロボットとの戦いに明け暮れていた。
どーん! どーん!
放出された迎撃システムが特攻を仕掛ける。
破壊力だけを重視した球体のロボだが、人型よりもずっと役に立つ。
「どうやら敵は全滅したようです。でも……」
「このまま回収を行うのは、ちと無理そうだの」
船長が険しい顔で言う。
雪だるま星雲の中央には、大きな鉄の塊の惑星。
内部では人型ロボットが大量に生産され、敵を生み出し続けている。
「あれがある限り、回収は難しいな。
少しばかり氷を持ち帰って戦利品としよう。
攻略は今度ゆっくりりりりりりり」
「え? 船長」
「りりりりりりり」
「あーダメだ、再起動しても無理そうだな、これ。
気に入ってたのになぁ……」
船員は肩をすくめる。
彼は船長の首筋にあるボタンを押して、機能を停止させた。
「おーい、これ倉庫にしまっといて。
代わりの船長をお願い」
「了解しました」
オペ―レーターの爆乳ロリ美少女ロボが、船長を担いで指令室を後にする。
「はぁ……ようやく任務完了か。
さっさと帰ろ」
力なく艦長席に腰かける船員。
この船に乗っている人間は彼一人。
AIが発達した遠い未来。
全ての労働を機械が代行するようになった。
しかしながら、AIを放置した結果、人類は最悪の敵を生み出してしまった。
その苦い経験から、必ず人間のオペレーターを一人搭乗させる規則を設けた。
「早く帰って、皆に会いたいなぁ」
ぼんやりとつぶやく船員。
彼の言葉に応えるものは、この船には一人もいない。
返って来るのは鉄の軋む音ばかりである。




