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「恋に落ちたら、さ」


 アレクは風に吹かれながら、唐突に語り始めた。


「誰だって愚かになるって言うだろ?」

「言うな」

「じゃ、元から愚かで馬鹿な俺は、どうなるんだ?」


 サムは隣に立っている友人を見上げた。彼は百獣の王のように堂々とした立ち姿で、不敵な笑みを浮かべて、眼前を見下ろしていた。


「きっと、かえって賢明になれるんじゃないかって思うんだ。どう?」

「……そうかもな」


 お前は元々愚かな馬鹿なんかじゃなかったさ――サムはそう思ったが、何も言わなかった。




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