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プロローグ

 3年間連れ添った彼女と別れる気持ちって……分かる?


 僕、音無鳴おとなしなるは中学の3年間ずっと一緒だった幼馴染みの彼女、和田愛夏わだあいかにフラれた。


 目の前が真っ暗になった。


 嘘だと言って欲しかった。


 でも、愛夏の口から出てきた言葉は……。




『他に好きな人ができた……もう、気持ちが戻る事はない』だった。




 通行人が沢山居るのに、声を上げて泣いてしまった。


 この悲しみの前では、恥ずかしさなんてどうでもいい事だった。


 僕は今まで友達が失恋しても『時間が解決してくれるよ』なんて、当事者意識のない無責任な言葉を掛けてきたけど……。



 

 そんなの最低だ。





 もう……消えてしまいたい。






 ——そして、気持ちの整理も出来ないままに、高校生活がはじまった。


 入学式の祝辞の言葉も、ただうざったいだけだった。






 何もかもがどうでもよかった。






 ——そんな僕を救ってくれたのは……新たな出会いだった。


 初対面では、春一番のいたずらで彼女のパンモロ姿を目撃してしまい、視姦野郎扱いの挙句、ビンタまでくらった僕だけど……。





 それが僕の運命を大きく変える出会いだった。





 次に彼女と会ったのは、軽音部の部室。


 彼女の名前は窪田衣織くぼたいおり



 僕のひとつ年上、2年生で、我が学園のアイドルと言われる存在だった。



 衣織はアコギ1本の弾き語りスタイルで活動していたが、僕のギターが彼女に見染められ、衣織と僕はユニットを組むことになった。





 ……そして2人は。




 

 恋に落ちた。






 告白は衣織からだった。


 衣織に告白されてから、灰色だった僕の学園生活は一変した。




 そして紆余曲折を経て……。


 僕と衣織は付き合うことになった。





 彼女ができた喜びを噛み締めるのも束の間、僕に衝撃の真実が知らされる。





 愛夏が今も変わらず、僕の事を好きだと言うのだ。





 青天の霹靂だった。


 ……愛夏に依存するあまり、自分の人生を歩もうとしない僕。

 

 愛夏はそんな僕に『気付き』を与えるため。


  大人になった僕が後悔しないため。


 ……自分の気持ちを殺した。





 正直に話してくれればと思ったが、あの頃の僕は聞く耳をもっていなかったと思う。


 愛夏のことを大切に思う気持ちは今も変わらない。


 ……これからもきっと。




 でも、それは恋愛感情ではない。


 愛夏の気持ちには応えられない。それが僕の出した答えだった。

 



 衣織と出会っていなければ、愛夏とやり直す事も出来たかも知れない。


 でも、衣織と出会っていたから、今の僕があるのだ。


 衣織がくれたものは愛だけじゃない。


 衣織は僕に夢を与えてくれた。


 諦めてしまった夢……ギター。


 衣織の歌で僕はそれを取り戻した。


 そして、メジャーデビューという夢を託された。





 まさかこの僕が……。




 幼馴染にフラれた僕が学園のアイドルと付き合ってメジャーデビューを目指す事になるとは、夢にも思ってみなかった。



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