ことの起こり
なんかふいに書きたくなって書いてしまった。
ぼくは本当につまらなくて、くだらないやつだと思う。例え陰口が話されてようと止めることはしないし、まして無視されている人に手を差しのべることもしない。ぼくがするのは本当にぼくのことだけで、他人のため何て言う感情は端からない。精々ぼくにめぐってきそうなことを回避出来るよう祈るくらいだ。
例え災害が起きたところでテレビで見るだけ別にボランティアや募金なんてしない。ただ、起こったことを知っているだけのぼくだ。でもそんなぼくにも友達……そう呼べるかもしれない人もいたんだ。
「ねぇゆーき、あいつに拘わるの辞めたら?」
窓辺の机で本を読んでいるとそんな声が聞こえた。
本人は至って小声で話しているみたいだけれど残念ながらぼくは耳が良いので丸聞こえだ。自慢ではないが、教室くらいの広さであれば話し声は全て聞こえてる。
「どうして?結構面白いのに……」
「いや、そういうのゆーきだけだから。だってあいつ話しかけても無視するし、もごもごしてて何言ってるのかも分かんないし」
「何でそんなこと言うの?」
「いや、そうじゃなくて……もう良いや、ゆーき次理科、移動だし、準備しよ」
「あっ、そうだったね。じゃあ行こう。」
そして、ゆーきは準備して教室を出ていこうとした。
「さくも一緒にいこうよ。」
ぼくは無言で首を横にふった。
「そっか。じゃあ先いってるね。」
そう言ってゆーきは教室を出ていった。ごめーん、まあ良いってそういう声が廊下から聞こえていた。
次の移動教室ぼくはチャイムと同時に理科室に入った。遅いぞ、と教師から声が飛び多少の笑い声が聞こえた。ぼくは一礼して、空いている席に座った。
「さく、遅いじゃん。一緒に来れば良かったのに」
ゆーきがそういった。ぼくはごめん、と呟きゆーきの方は見なかった。
「じゃあ、授業始めるぞ教科書の……」
そして、始まった授業はとても寝る気分には慣れなくて必死で教科書を読んでいるふりを続けていた。それとは対照的にゆーきは真面目に受けているようで時おり質問をしていた。
そして、チャイムが鳴り、授業がおわった。ゆーきは人に囲まれていて、楽しそうに話している。ただ、ぼくが理科室を出ようとすると、手をふっていた。ぼくはそれに会釈し、出ていった。
教室に戻ってきたときまだちらほらとしか戻ってきていなかった。ぼくは本を広げてその世界にはいっていった。廊下から笑い声の混じった話し声が聞こえてきた。多分ゆーきかな。ドアを開ける
したくらいに一瞬だけドアに目をやって確認した。ゆーきだった。
ぼくは変わらずに本を読んでいた。
そして、ホームルームの時間になる。起立、礼。その声と同時にわぁ、と話し声が溢れた。放課後どこそこ集合、ごめん、塾があって……とか、色んな約束があるのだろうか、そこかしこで話し合っている人たちがいる。
ぼくはそれを横目に教室を出ようとすると、
「さく、掃除は……あっ、なかった。ごめんじゃあね」
そう言ってゆーきは友達と話し合っていた。正直すごいなって思う。ぼくにはそんな社交性はないから羨ましいけれど大変そうだな、とも思った。
最初の頃は一緒に帰ろうと誘ってくれていたけれど、方向がすぐに別れるし、ぼくがあまり乗り気には、見えなかったせいか最近は一緒に帰ろうとは言われなくなった。
ぼくは帰り道で周りの景色を楽しみながら帰って、ふと、ゆーきのことを考えていた。
ゆーきは一年くらい前にぼくの転校してきた。最初の頃は馴れないせいもあったのか、おどおどしていて、うまく馴染めていなかった。1ヶ月ほどたった頃にいじめ紛いのことを受けていた。よく上履きが紛失していて困っていたようだった。無視とかもよくされていたように思う。ただ、ゆーきのすごいところはそれでめげなかったところだ。上履きに関しては毎回持ち帰り、無視に対しては主犯……というかグループでの会話に入らず、グループのメンバーと個別に話して仲をふかめていた。そして気付いたらゆーきへのいじめ紛いは終わっていて、その興味は別のやつに移っていった。そこからゆーきは何気に成績も良かったのでクラスメイトから頼りにされるようになっていった。そして、そんなゆーきと、いじめ紛いが始まった頃、上履きを無くして困っていたゆーきに上履きの場所を指で指した程度だ。ゆーきはありがと、そう言って上履きをとり、そのままそれを履いて去っていった。すれ違い様にぼくは持ちかえれば?そう呟いた。
それくらいしか接点はなかったのにそれからゆーきはことあるごとにぼくに構ってきた。
いじめ紛いが終わる頃迄は毎回のように話しかけてきて、何でもないような話をしていた。ぼくは精々相づちをうつくらいで何も話していなかった。ただ、一頻り話すとすっきりしたようにまた今度ね。そう言って離れていった。
いじめ紛いが終わった頃にはあまり話さなくなったけど時おり話しかけて来てくれていた。
「ただいま。」
誰もいない玄関に向かっていってからぼくはすぐに風呂にはいる。そうこうしているうちに家族が帰ってきて、一緒にご飯を食べる。会話らしい会話はないけどこの時間がぼくの一番落ち着ける時間だ。
その後ゲームをしたりテレビを見たりして過ごしてそのまま就寝する。
そんな感じの日々が続いて、ゆーきとも結構話すようにはなった。
そんな日々が続くのかな、とも思ったけれど、そうはならなかった。
ピピピビ、ピピピビ
目覚ましがなっている。起きようとしたけれど体の節々に言い寄れない違和感があった。なんとか起き出して、居間にいき、熱を測った。……38.4℃と表示されていた。
「お母さん、38.4あった。学校休んで良い?」
「そう。病院行く?」
「一応行きたいかもなんか体に違和感あるし……」
「準備するから待ってなさい」
はーいと返事をして、居間にあるソファーに布団を持ってきて横になった。
病院でインフルエンザと診断された。その為熱が下がっても二日は学校を休まないと行けなくなった。本当に残念だった。
「ねぇ、学校行きたい。宿泊研修あるし」
「そう、残念ね。寝てなさい。」
「えー、行きたい行きたい行きたい……ゴホッ」
「うるさい、仕方ないでしょ寝てなさい」
家ではこんな会話が繰り返されていた。その間ぼくは本当に暇をもて余していた。
そしてその三日後ぼくは普段とは違う喧騒で目が覚めた。家の周りが騒がしい。
おはよう、寝ぼけながら居間に行くと見覚えのあるのがテレビに写っていた。右上にライブとかかれていた。土砂崩れの現場だ。横には複数台のバスが横転していて、一つは完全に土砂に埋もれているようだった。
「ねえ、これ……何?」
これ以上言葉が出なかった。事故現場なのはわかる。それに、死傷者、行方不明者の表示もあった。だけどその被害にあった。学校名がどうしても信じられなかった。
すいませんここで力尽きました。続きはまた次回でお願いいたします。一応あまり長くならない予定です。