死ねない
どうして、生きないといけないんだろう。生きていても、楽しくないのに・・・。
人は、何故生きるのだろう?いずれは死ぬのに・・・。
生きていれば、良いこともあり、死んだら何もないと言う人もいるけど、人生嫌になって死にたくなるときもあるだろう。
僕も昔は、生きてて楽しいと思ってた。でも、今は違う。
今は、死にたい。でも、死ねないんだ。こんな事が、前にも一度だけあった。
僕が中学の時だ。僕は、よく周りからいじめられていた。
別に何かしたわけでもないのに、いじめられていた。当時は、気が弱くあまり友達も出来なかった。
それが原因なのか、僕の周りには気が弱い奴らが集まるようになった。
そんな友達ばかりだった僕は、いじめられていても誰かが助けてくれる事なく、いつも一人だった。
僕は力が強く、普通はいじめられても、逆に返り討ちにすることが出来た。
だが、それが出来なかった。自分よりも、弱い者を殴っても意味はないからだ。
その性格が原因で、ずっといじめられ続け、一度死にたいと思った事があった。
でも、それを小学校から中の良かった友達が止めた。友達は、僕がそんなに思い詰めていることは知らなかったのだが、いじめられてる事を聞いて、僕に言った。
「優しいだけじゃダメなんだ。そいつらの事を思うなら、今の状況を先生に言うか、そいつらに力の差を思い知らせてやるべきだ」 僕は、友達に言われ今までの自分を変えようと思った。
まず、一人一人に今までのお返しをしてから先生に言った。そうすると、いじめられなくなった。
いじめの主犯も、僕に一人で向かってくる事はなかった。たまに、ちょっかい程度でしてきたが、ずっと無視していると、何もされなくなった。
それ以来、気は強くなっていじめられる事はなくなったのだが、今回はいじめとは違い、もうどうする事も出来ないような気がする。
今回は恋が原因だ。僕は、昔から奥手でなかなか彼女が出来ないでいたのだが、そんな僕にも春が来た。
僕に彼女が出来た!自分でもびっくりだ。いつもは、言うのが遅くて相手に彼氏が出来ていて、断られるのだが、今回は違った。
今回は、彼氏はおらず告白したら一発オッケーだった。
でも、不安だ。前にも、告白は成功して四年間付き合ったが結局フラれてしまった。
だから、今回もフラれないか不安だった。 でも今回は違う。前とは、僕の気持ちが違うのだ。前は、あまり恋愛に興味がなかった。ただ、好きだから付き合えたらいいなと思って言ったのが、たまたま付き合えただけだった。 まぁ、今となっては負け惜しみにしかならないが。
でも、今回は本当に付き合いたいと思った。どんなに、時間がかかっても付き合いたいと。
もう、僕はその人の虜になっていたのだ。 そして、その願いが叶い。付き合う事になった。
その先に、闇しかないとは知らずに・・・。
もし知っていれば、こんなに思い詰める事はなかった。
彼女とは、かなりいい雰囲気で付き合っていた。周りからも、ベストカップルと言われるくらい。
彼女と付き合い始めて、半年がたった時。いつものように、二人でいると、彼女から思いもよらない事を言われた。
「ねぇ・・・。私達、別れましょう。」
僕は驚いた。彼女になんでと聞くが彼女は黙ったままだ。
さすがに、理由も聞かずに別れるのは出来ない。僕は、理由だけは聞かせてくれと言った。
彼女は僕の目を見て言った。
「本当に、今まで楽しかった。あなといると、とても楽しかった。でもね・・・。あなたは、私にはもったいない。あなたの、その優しさは私にはもったいないの。私よりいい人はいっぱいいるから。本当に、ごめんなさい。」
そんな事を言われたら、こっちも引き下がれない。
だが、彼女の涙を見た瞬間、僕は言えなかった。
僕は、彼女が泣いてまで言っている。自分といると彼女を泣かせてしまう。そんな気がしてしまい。最後にもう一度聞いた。
「本当に、別れたいんだね。」
彼女は首を縦にふった。僕は、そうかとため息まじりで言った。
でも、僕はこのまま他人でいるのは嫌と思いって、もう一言だけ言った。
「でも、これから友達としているのはダメかな?」
彼女は、涙をぬぐい。
「いいよ」と言ってくれた。
他の人から見れば、ただ忘れられないからだろと見られるかも知れない。
でも、その通りだ。彼女の事を諦める気はない。だが、彼女に彼氏が出来たら、それは諦めるつもりだ。
これを読んでる人は、この程度で死にたいと思っているのかと思うかもしれない。情けない奴だと。
確かに、これで死にたいとは情けない。それに、諦めてないなら死ぬ必要などない。
だが、この後僕は絶望したのだ。その数ヶ月後に、彼女は亡くなった。ガンだったらしい。かなり前から、だったらしく。ちょうど、別れる一週間前に、わかったらしい。
だから、彼女は別れようと言ったのだ。本来なら、付き合い続けていたのを、自分がガンであることを知り、余命一ヶ月と言われ。
このまま、僕と付き合っても僕が悲しい思いをするだけだと思ったのだろう。
だから、彼女は僕と別れて僕の気持ちを離そうとしたのだろう。 でも、僕の気持ちはずっと彼女に向いていた。僕は、今でも彼女の言葉を思い出す。
「私にはもったいない。あなたの、優しさは私にはもったいないの。」
僕は、涙が止まらなかった。優しいのは、僕なんかじゃない。彼女の方だった。
僕は、最初彼女が死んだと聞かされた時、すぐにでも死にたいと思った。そして、彼女の言葉を思い出す度に、自分が情けなく。死にたいと今でも思う。 でも、死ねない。彼女が生きれなかったぶん、自分が生きなくてはならない。彼女は、僕が自殺したら、また悲しむだろう。
彼女は、僕の幸せを願ってくれている。
だから、それがわかっているだけに、彼女を亡くしたばかりの僕には死ぬほど辛い。
死にたくても死ねない。