表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

とある一般人のVR

説明回。。。


 ピリリリリッ!!!


 電子世界の自室ルームの大型スクリーンでマンガを読んでいた俺は、設定していたアラームでマンガを読むのを終える。


「コマンド『しおり』『電源オフ』」

 数瞬遅れて、俺の発声に応じたシステムが、言葉通り大型スクリーンの電源を切る。

 『コマンド』とは、この電子世界の自室ルームに設定できるシステム入力の命令であり、『しおり』は、大型スクリーンで読んでいたマンガのページを次回同じページから読めるように保存する機能であり、『電源オフ』とは、大型スクリーンの電源を切る機能である。


 俺は、大型スクリーンの電源が切れたことを確認して、続けて『コマンド』を実行する。


「コマンド『ルーム1に移動』」


 呟いたあと、数瞬遅れて俺の視界は、先程の大型スクリーンのあるシアター風の部屋ではなく、ソファーやベッドのある一般的な部屋へと切り替わっていた。


 電子世界における俺の安らぎの空間とも言えるこの部屋は、俺が電子世界にログインした際に最初に起きる部屋でもある。アバターを契約した時に、セットで必ず付いてくる部屋だが、少々課金することで内装を簡単に変えることが出来るので、今は俺好みな茶色をベースとした落ち着いた雰囲気の部屋となっている。


「よし、そろそろだな」

 俺は少しの間、壁に勝手に表示されるバナー広告やCMを眺めたあと呟く。


 現在の時刻は、土曜日の朝7時57分。


 呟いた言葉とは裏腹に、俺の胸は期待と興奮でドキドキと高鳴っていた。

 何故なら、今日は朝8時から先日ダウンロードして購入したVRゲームのサービス開始日であるからだ。


 待ちに待った1日なのだ。


 というのも、今回俺がダウンロードしたこのVRゲームの開発元は、大人気VRゲームシリーズである通称『土曜シリーズ』を生み出した開発元の会社と同じであるからだ。この会社は、毎回毎回一定期間ごとに新作のVRゲームを作ってはリリースするのだが、そのどれもがハズレのない大ヒットVRゲームである。

 今回は、その会社が自ら最高傑作と豪語するVRゲームということで注目度も高く、初回の事前ダウンロード数が僅か30分で歴代の記録を更新したとしても話題となった。


 歴代の『土曜シリーズ』を何本かプレイしたことのある俺としては、是が非でも今回のVRゲーム『shining stars story ~女神と13の星たち☆彡~』はプレイしたかった。


 俺が最初にやった『土曜シリーズ』は、前々回のゲームだった。電子世界の自室ルームに映し出されたバナー広告に釣られて始めたのがきっかけだった。それまで、色々なVRゲームもちょくちょくとやってはいたのだが、如何せん平日は会社があるので、大して強くもなれず、課金するのにしても、それはそれで強くなるには、それなりの金額は掛かるので、ダウンロードしても、プレイしては辞めプレイしては辞めを繰り返していた。そんな時に出会ったのが、この『土曜シリーズ』だ。


 『特別なスペシャル土曜日をサタデー』という合言葉をもとに、法律で定められている思考加速時における電子世界の滞在時間を目一杯使い、毎週土曜日は丸1日ゲームをしようぜ! というコンセプトであるそれは、つまるところ、土曜日だけにしかサービスを提供しないというものだった。


 土曜日だけしか運営しないゲームというのは、最初聞いた時に、ゲーム会社としてどうなのかとも思ったが、そんな考えはゲームをプレイした後の今となっては、どこかに吹き飛んでいた。


 この『特別なスペシャル土曜日をサタデー』というシステムの魅力は沢山あるのだが、まず何と言っても俺の生活スタイルに合っていた。月曜日から金曜日までは仕事をして、休日の初日はゲームをする。そして、休日の最終日は買い物したり、ゆっくりと休んだりと自由に時間を使い、また月曜日からの仕事へと戻る。ゲームを始めてからはそんな生活サイクルがいつの間にか出来上がっていた。日曜日ではなく土曜日。これは俺が思っている以上にとても良い日程だった。土曜日は1日中ゲームをするわけだが、次の日も日曜日で休みという事で心置きなく遊べるし、何より日曜日は空いていることで、月曜日からの仕事の準備も出来、平日の仕事に影響が出ないのがいいのだ。おそらく、これは俺に限ったことではないだろう。現に平日仕事のある会社員や学校のある学生などに、この『特別なスペシャル土曜日をサタデー』は、とても受け入れられているのだ。現実リアルにあまり影響を残さず遊ぶことが出来る。これが1番の魅力なのだ。


 また『特別なスペシャル土曜日をサタデー』の魅力はこれだけではない。このゲームは、自分次第でゲーム内でトッププレイヤーになることも可能なのだ。この要因も『土曜シリーズ』が人気の秘訣だと俺は考えている。その理由は主に2つ。1つはただ単純に、初回購入以外では課金要素が一切無いことである。ゲーム開始時点でのプレイヤーの強さは、ほぼみんな同じ…フラットなのだ。まぁ一部、プレイヤースキルがあることはあるのだが、それはすべてのゲームにおいて多少あるものだと俺は思っているのでそれは仕方のないことだ。とにかく、俺が言いたいことは、課金要素が無いことでプレイヤーはみんな最初平等にゲームを始められるという事だ。そして、2つ目の理由は、このゲーム、土曜日の1日を目一杯使ってプレイをするということは既に伝えたと思うのだが、それは言い換えると、1日でプレイできる時間もみんな平等であるということなのだ。それは現実の時間で朝の8時から昼の3時までの7時間。ゲーム内の時間では、思考加速技術を使っていることもあっておよそ2週間。プレイヤーは、この決められた時間内でゲームをプレイすることになる。つまり、従来のゲームのように、平日は仕事や学校があってプレイできない。だから、他のプレイヤーと強さに差が出てしまった。ということが起こらないのだ。初期の強さは同じ、プレイする時間も同じともあれば、あとは、自分の工夫次第で強くなっていくしかない。よって、最初に述べたように、この『土曜シリーズ』は、自分次第でどこまでも強くなれる。こういうところも俺がこの会社のゲームにハマったところである。



「コマンド『アプリ表示』」

 俺がそう発生すると同時に、視界にホログラムのウィンドウが現れる。


 沢山のアプリのアイコンが表示されている中から、俺は目的のアプリを見つけそれに触れる。


 一瞬、指先に微小な振動が伝わると、直後、視界に新しいウィンドウが開かれる。



――――『shining stars story ~女神と13の星たち☆彡~』を起動します。

――――よろしいですか? はい(YES) /  いいえ(NO)



 俺は迷うことなく、はい(YES)のボタンを押す。



――――こちらのアプリは、一度起動すると次にログアウト出来るのは7時間後となります。

――――よろしいですか? はい(YES) /  いいえ(NO)



 この質問にも迷わず、はい|(YES)を押す。

 こういうことは、最初から承知している。無論、何か問題が起きた時は、常に電子世界の安全を監視している公的機関により、即座にログアウト出来るようになっているので問題もない。



――――お待たせいたしました。では、『shining stars story ~女神と13の星たち☆彡~』をお楽しみください。


 数秒間の待ちよみこみ時間のあと、表示されたそれを見ながら、俺の視界は徐々にぼやけていった。



 一瞬だけ意識が途切れたあと目を開くと、そこは綺麗な星が無数に輝く何とも神秘的な空間だった。いわゆる宇宙空間である。3年前の社員旅行で行った、今はもう観光施設となっている国際宇宙ステーションから見た景色を思い出した。あそこに行ったときは、ほとんどの時間を青く美しい地球を見て過ごしたのものだったが、ここの空間は、そんな間近に地球どころか惑星すらなく、ただ漆黒に広がる闇の中に星たちが無数に輝く空間となっていた。これはこれで美しくもあるが。


 でも、何故こんなところに? 


 という疑問は、風情も趣きもない俺のゲーマーな脳が既に答えを出していた。

 おそらくここは、ゲームで最初に行われる説明の場所かチュートリアルの空間なのだろう。事前のCM映像を見た限り、冒険の舞台は剣や魔法の世界だったし。純粋に綺麗な景色を楽しめない自分には呆れるしかない。

 さて、そろそろ説明のためのNPCでも出てくるだろう。

 と思っていると、案の定、俺の目の前の空間が渦を巻いて光り出した。


 そうやって、下から上に向かって輝いていくその光から、ワンピースのような古代の白い服、名前は知らないが、とにかくゲームやマンガとかで女神が着ている服を身にまとった女の人が現れた。というか、まんま女神の見た目である。裸足で白いワンピースっぽい服、腰に紐みたいなのを巻いて、金色の髪に草冠をしている。誰が見ても女神だという格好だ。


「私はユニス。貴方が今訪れようとしている星の神です」

 透き通るような声で、ユニスと名乗ったその女性は、やはり女神であるらしい。


「貴方の『星渡り』の最中に、身勝手ながら干渉させて頂きました。よろしければ貴方のお名前を教えて貰えますか?」

 とユニスが言った直後に、俺の視界にキーボードとウィンドウが現れた。


 ふむ。これはゲーム内で使う名前の設定だな。ちょっと気になる単語はあったが、とりあえず、名前を先に入力だな。


 俺はゲーム用にいつも使っているハンドルネームを入力する。



 〇 JINジン 〇


 ありふれた名前だが、本名の 市半いちはん じん から取っているので、馴染み深いし、ネーム決めで長く考えないで済むので、俺的には問題ない。



「JIN様ですね。他の『星渡りの旅人』様に同じ名前の人がいらっしゃるようですが問題ありませんか?」

 俺が入力して決定ボタンを押すとユニスがそう言ってきた。


「『星渡りの旅人』とは、俺たちプレイヤーのことか?」

 質問に質問で返すようだが、俺は先程も気になっていたことを聞き返す。


「はい。こちらの世界では貴方たちのような『星』を移動してくる方々をそのように呼びます」


 ふむ。ということは、先程の質問は、プレイヤーの中に同じ名前の奴がいるけど変更しますか、ということだろうな。だが、先程の言い方を察するに、決して同じ名前がダメという訳でもないのだろう。


「先程の質問の答えだが、名前はそのままで問題ない」


「かしこまりました。では、JIN様。改めて私からのお願いがございます」


 ふむ。名前のあとは、このゲームのストーリーといったところか。

 ちなみに話は少々ズレるが、名前決めのあとにありがちなキャラクタークリエイトなどは無い。というのも、電子世界が浸透している今のこのご時勢、ゲーム内アバターのキャラクタークリエイトがあるゲームなど、もうほとんど存在しない。なにせ、みんながみんな電子世界にアバターを持っているのだ。キャラクタークリエイトなど時間の無駄である。まぁ、凝っている人はゲーム用に専用アバターを持っているらしいが、それも極少数の人たちだ。普段使っているアバターで十分に事足りるのだ。それに、電子世界の公的な場、この場合不特定多数が出入りする電子世界の大規模マーケットやこういうVRゲームなどは、どういう訳か、例えアバターが使用者本人そのままの姿でも、現実で身バレしないようになっているらしいので、キャラクタークリエイトなど使用者の自己満足でしかないと俺は思っている。


「今、JIN様が向かっている私達の『星』は、2週間後に災害『メテオラ』が予言されているのです」


 おっと。今はユニスの話の途中だったな。


「災害『メテオラ』とは、次元の狭間から大量の魔物『ゾディアック』が溢れ出す現象のことを言います」


 ふむ。討伐イベントと言ったところだろうな。


「この災害『メテオラ』では、数多くの犠牲が予想されます。私達の『星』では今、みんな一丸となって、一般的に強者と呼ばれる方々を中心に、この災害『メテオラ』を乗り越えようという動きがありますが、ハッキリ言って災害『メテオラ』を対処出来るか分かりません」


 ふむふむ。大体話が読めてきたぞ。要するに、災害を乗り越えるために、俺たちの力を借りたいということだろう。


「そこで、『星渡りの旅人』様、全員にお願いしている事なのですが、私達と一緒に災害『メテオラ』に挑んではくれませんか?」


 ほらきた。まぁありがちな内容ではあるな。ここは無難に肯定しとくか。


「分かった」


「あ、ありがとうございます。『星渡りの旅人』様が力を貸してくれるなら災害『メテオラ』も十分に対処できるかと思います」


「それで、俺たちは具体的にどんなことをしればいいんだ?」

 とりあえず、ストーリー設定を早く聞き出すために俺はそう質問する。


「はい。と言っても、JIN様たち『星渡りの旅人』様は、基本はこの『星』で自由に行動してもらって構いません」


 あれ? 話がおかしな方向に行きそうだぞ? 自由に行動って災害に挑むことと関係なくないか?


「こちらは無理を承知でお願いしている身、『星渡りの旅人』様は、災害『メテオラ』起きた時だけ力を貸して頂くということで構いません」


 あーそう言う事ね。基本は自由行動で災害時だけに応戦するのか。まぁCMでも「遊び方は人それぞれ!」「貴方の赴くままに楽しもう!」って言ってたしな。

 ん? だとしても、これって。災害時に活躍するのは、戦闘職の奴らだけってことにならないか? CMでは「戦闘も生産も何でも楽しめる!」とか言ってた気がするが。なお前回と前々回の俺がプレイした『土曜シリーズ』では、生産要素は無くバトルよりだったので、今回、生産要素があるということでも注目されていたんだが。


「なぁ。これって、災害時には生産職の奴らはどうなるんだ?」

 俺は思った疑問をユニスにぶつけてみた。


「その質問をされるということは、JIN様は生産職をご希望なのですね」


「い、いや。それはまだ決めていないが……ただ気になっただけだ」

 俺は、ユニスの言葉を慌てて訂正し告げる。

 危ない危ない。まだ、どんなゲームシステムがあるかは分からないのだ。勝手に生産職だと思われてしまっては大変だ。例えば、この後職業を選ぶ項目があったとすると、今の発言で生産職しか選択肢が無かったら困るのだ。


「そうなのですね。失礼しました。では、質問にお答えします。災害『メテオラ』時には、なにも魔物『ゾディアック』と戦うだけが、災害『メテオラ』の対処の方法ではありません。『回復薬』を作って戦っている人たちの力になることも『回復薬』を作る材料を調達することなども、災害『メテオラ』に対処している立派な方法かと思います。例え、微々たる力でも、私たちの『星』の人や『星渡りの旅人』様たち皆が力を合わせることが出来れば、大きな力となり、災害『メテオラ』にも打ち勝つことが出来るでしょう」


 なるほどね。生産職でも活躍の場はあるということか。


「ご理解頂けたでしょうか?」


「あぁ、理解した」

 俺は組んでいた腕を組み直しながら頷く。


「では次に、『星渡りの旅人』様たちの居た『星』にはない、この『星』独自のシステムをお教えしたいと思います」


 ふむ。ストーリーのあとは、ゲームシステムだな。


「まずは『テレスコープ』についてです。『テレスコープ』とは、自身のステータスを閲覧することが出来るシステムです。自身の今の状態を確認したり、【スキル】を確認したりと便利な機能となっております」


 このゲームならではのステータス閲覧というところか。


「ご使用方法は、『テレスコープ』と発声していただくか、視界の隅にある『メニュー』から意識して選択することも可能です」


 ユニスがそう説明し終えると、俺の視界の右上に『メニュー』のアイコンが現れた。

 ふむ。これは実際にやってみろということだな。使用方法自体は、電子世界のシステムと大差はないので、俺は手早く実行する。



☆----☆----☆----☆----☆----☆----☆


☆名前:JIN 


☆ステータス☆

・体力:1

・魔力:1

・筋力:1

・知力:1

・魅力:1

・器用:1

・運 :1


☆スキル:なし


☆----☆----☆----☆----☆----☆----☆



「どうやら実行できたようですね。では、次にステータス欄の説明に移りたいと思います」

 俺がステータスを開いたことを確認して、ユニスは説明を続ける。


「ステータスとは、今JIN様の画面に映し出されているように、7つの能力があります。それぞれ簡単に説明いたしますと――――」


・体力は、HPやスタミナなどに関係する能力。

・魔力は、MPや魔法などに関係する能力。

・筋力は、攻撃力や防御力、装備重量などに関係する能力。

・知力は、集中力や記憶力などに関係する能力。

・魅力は、人やモンスターなどに与える自身の印象に関係する能力。

・器用は、生産や命中率などに関係する能力。

・運は、ドロップ率やクリティカル率などに関係する能力。


 ユニスの話をまとめると大体こんな感じとなった。


「ここで注意して欲しいことは、単純に、筋力値=攻撃力とはならない事です。攻撃力を決める要素というのは、筋力値の他にも敵の防御力や急所など様々なことを含めて決まってくるのです」


 ふむ。必ずしも筋力値が高いからといって攻撃力が高くなるとは限らないという訳か。言い換えるならば、例え筋力値が低くても、筋力値が高い人と同じ、もしくは、それ以上の攻撃力を出せるということだな。

「筋力値で上がるのは、あくまでも最低のダメージ数が高くなるという解釈でいいのか?」

 と、俺は考えをまとめてから確認を取る。


「はい。概ね、その解釈で問題ありません。付け加えるなら、筋力値が高くても力加減で低いダメージを出すことも可能です。あくまでも同じ敵、同じ武器を使用などの全く同じ状況化で、高い筋力値と低い筋力値を比べるなら、攻撃力が高い方は筋力値が高い方となるだけです」


 とユニスは言ったが、そんな全く同じ状況になることなんて絶対にないしな。そもそも敵の個体だって同じ奴はいないだろうし、同じ敵に攻撃するとしても初撃と2撃目じゃ、敵がダメージを負っている分2撃目が有利になるしな。


「次に能力値の上げ方についてです。能力値を上げるには、それぞれに関係する行動をしていると上がることがあります。ですが、『星渡りの旅人』様たちは、その能力値を上げることが出来る場合に、任意で能力値を上げるかを決められるそうです」


 ん? 任意で上げるということは、上げたくない能力は、上げなくても良いということか。でも、大抵の場合、能力値を上げれるなら上げたいと思うのだがな。


「そして、これは重要なことなのですが、能力値には、全体とそれぞれで上限がございます。今のところ能力値全体で50、それぞれのステータスの上限が15となっております。言い換えるならば、各能力値は15までしか上げることが出来ず、全体の能力値は合わせて50までしか上げることが出来ないということです」


 あぁ。なるほど。それで、任意のステータス割り振り機能か。ステータスに上限があるから、何かの拍子に割り振りたくない能力値が上がったら迷惑だもんな。


「例えば、今のJIN様のステータスを参考に説明致しますと、初期の能力値の時点で、合計7の能力値が使われておりますので、各能力値は、あとそれぞれ14まで鍛えることができ、全体では残り43鍛えることができます」


 ふむ。まぁそう言う事になるな。このシステムは、意外とよく出来ているのではないだろうか。例えば、俺が何かのステータスに極振りしたとしても、3つのステータスだけしか上限まで鍛えることが出来ないということだ。その場合使うステータスの合計は、15×3=45。ステータスは残り4つで、それぞれに1は振られているから45+4=49で余りは1になる。残りの4つのうちのどれかに振ったとしても、合計で2にしかならない。各ステータスを並べるなら、15、15、15、2、1、1、1。余りにもバランスの悪い構成だな。運営的にも極振り者対策のために、この低ステータスによる対策もあるだろうし、ここは、1つか2つを極振りにしてバランスよくステータスを上げた方が良いのかも知れないな。


「ここまでは、大丈夫でしょうか?」


「あぁ問題ない……あ、ちょっと待て、ステータスに走力の項目が無いのはなんでだ?」

 ユニスの言葉に頷こうとして、俺は咄嗟に気になったことを尋ねる。そう、このステータスには、普通のゲームにあるはずの走力…素早さの項目が無いのだ。さっきから何か引っかかっていたんだよな。その正体はおそらくこれだったのだろう。何かずっと違和感があったんだよ。


「はい。その質問でしたらお答え可能です。走力については、体力や筋力の能力値とある程度関係してくるのですが、走力系統の技術は、このステータスの能力値ほぼ関係なく取得出来る技術となっておりますので能力値に反映しておりません。長時間走る、速く走るなどといったことについては、体力や筋力が関係してはきますが、基本的に能力値は関係ありません」


 なるほどね。ステータス関係なく誰でも取得できる分野だということか。


「他に質問はございますか?」


「いや、問題ない。説明を再開してくれ」


「かしこまりました。続いては、スキルについての説明とステータスの能力値との関係のお話です」


 おっ! スキルの説明か。確かにステータスにもスキルの欄があるからな。


「【スキル】とは、この『星』における戦闘や生産などの技術の総称のことを言います。この『星』の人々には、先天的、後天的と種類を問わず、数々の【スキル】を取得、保有しています。戦闘系の【スキル】を持っていれば、戦闘を有利に進めることができ、生産系の【スキル】を持っていれば、生産に関しての補正がかかります」


 うん。大体思っていた通りだな。


「【スキル】には、Ⅰ~Ⅴまでレベルがあり、熟練度によりレベルが違います。同じ【スキル】のⅠとⅤなら、生産ならⅠよりもⅤの方がより良い生産物が出来るということです。戦闘では、一概にⅤが強いとは言えませんが、Ⅴの方が有利であることは確かです」


 ふむ。スキルはレベル制っと。生産では差が顕著に出るらしいが、戦闘では何が起こるか分からない分、有利になるとしか言えないのだろうな。戦闘の勝ち負けなんてその時々の状況でかなり変わるもんだしな。


「次に、能力値と【スキル】との関係ですが、ほとんどの【スキル】は、それに応じた能力値が一定以上ないと取得が出来ません。例えば、【剣術】のスキルを取得するには、剣を持てる筋力値、この場合は最低3以上の筋力値が無いと【剣術】のスキルは取得できません」


 ふむ。ここでも能力値が関係してくるのか。このゲームは能力値のステ振りがかなり重要になってくるな。


「ですから【スキル】の取得方法については、その【スキル】に対応した能力値があることが前提条件であり、そこから自力で覚えたり、人から教えて貰ったり、特殊な道具を使って覚えたりすることが出来ます。以上で【スキル】の説明は終了です。この『星』には、様々な【スキル】があるので、JIN様も色々と探してみてください。では、何か質問はございますか?」


「大丈夫だ。続けてくれ」

 俺は腕を組みながら先を促す。


「はい。これで、この『星』のシステムの説明は以上になります。もう一度、説明を確認したい時は、『メニュー』項目の中に『ヘルプ』の項目を追加致しましたので、そちらをご確認ください。また、この『星』には、今説明したシステムだけではなく、様々な独自のシステムがございますので、どうぞそちらの方も、この『星』での生活にお役立てください」


 おっ。システム説明が終わったか。もう他に説明することも無さそうだし、これでやっと自由に行動することが出来るな。


「では、最後にJIN様がこの『星』に降り立つ最初の場所を決めたいと思います」

 ユニスがそういった直後、ユニスの隣に巨大な地図が現れる。

 大小と☆のマークが各地にあるが、その中で☆マークが輝いている場所が8つある。


「お選びいただく前にJIN様にお伺いします。JIN様は、この『星』でやりたいことや目標などはございますか? 具体的、抽象的、どのように答えても構いません。そのお答えによって降り立つ場所のアドバイスが出来るでしょう」


 なるほど。やりたいことがある中で、降り立つ場所を適当に決めても、そこの場所にやりたいことが無かったら無駄になるだけだもんな。


 ふむ。やりたいことか……。


「とりあえず、戦闘はしたいな。魔法も使いたい。あとは冒険だな。この世界を見て回りたいな」

 俺は少しの間考えてから、ユニスにそう告げる。かなりアバウトな答えだがこれで良いだろう。


「はい。承りました。戦闘や魔法の技術が磨けて、冒険の準備の出来る場所はここになります」

 とユニスが指さした場所は、輝いている☆マークの中で真ん中にある他の☆より一回り大きい☆マークだ。


「JIN様には、こちら。騎士の都『ペルセウス』がオススメとなります。この『星』で一番の都であり、冒険者ギルド本部があることで、戦闘技術はもちろん魔法についても幅広く学ぶことが出来るでしょう。この『星』一番の都ということもあり、売っている品物も豊富です。いかがでしょうか?」


 ふむ。説明を聞いた限りでは、不便は無さそうだな。もうここに決めても良いと思うが、ここは、他の選択肢を聞いておいて損はないだろう。見たところ輝いている☆マークが初期地点らしいし、残り7つも聞いておこう。


「一番の都はとても魅力的なんだが、初期地点は別の場所にして、都を目指すのも良いのかと思ってな。他の候補も説明して貰っていいか?」


「はい。かしこまりました。では、それぞれ説明しますと――――」


 騎士の都『ペルセウス』を中心に。


 東側の漁業が盛んな街『アカシヤ』。

 南側の商業が盛んな街『イカリヤ』。

 西側の農業が盛んな街『トウチャ』。


 東側、『アカシヤ』へと続く途中にある『エクレウス』村。

 南側、『イカリヤ』へと続く途中にある『コルンバ』村。

 西側、『トウチャ』へと続く途中にある『ボーテス』村。

 北側の林業が盛んな『トゥカナ』村。


 ユニスの説明を簡単にまとめるとこうなった。規模としては、都>街>村 といったところだろう。3つの街については、それぞれの特色は、騎士の都よりは優れているものの総合ではやはり都の方が優れているというところだろうか。他、騎士の都から東西南北、四方向にある村については、都から街に行くための旅路で休息する村と言った感じだな。


 ふむ。まぁ聞きたいことは、聞けたからもう良いかな。結局のところ、騎士の都を初期地点にした方が良さそうだ。それから、南か西のルートで、初期地点には設定されていない、地図で表示されている場所…騎士の都と同じ大きさの☆マークがある場所へと向かったら良いだろう。

 よし。これで大体の序盤チャートは頭の中で出来たな。


「やっぱり、最初の騎士の都を選ぶよ」

 俺は考えを終えてユニスに告げる。


「はい。かしこまりました。では、JIN様の降り立つ場所を騎士の都『ペルセウス』に設定します」


「あぁ。よろしく」


「では、この星『アストラ』を自由に謳歌、お楽しみください。そして、願わくば、この星『アストラ』をお救い下さい。JIN様の旅に祝福があらんことを」


 ユニスが最後にそう言い終えると、俺の身体は光に包まれた。


 ここから俺の旅が始まる。



※始まりません(笑)序盤からモブさんのお話でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ