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ミキはご飯を食べながら気になっていたのかアリスの方を見ながら首をかしげる。
「アリスさんって冒険者なんですか?」
「うん、そうよー。一応この国の中ではトップクラスなんだから」
「ほへー、そのトップクラスってどうやって決まるんですか?」
「えっとねー、まず冒険者の中でもランクがあるんだけど。SからEまでね。上から順にS、A、B、C、D、Eって順番になるの。一応Fランクもあるけどね。Fランクは冒険者の見習いって感じかな。最低限の実力があるってことが分かればすぐに外れるから皆Eが最低ランクだと思ってるね」
アリスはちょっと誇らしげに胸を張りながら説明を始めた。ソラたちも気になるのか食事の手を止めて話に入ってくる。
「えっと、ランクはどうやったら上がるんですか?」
「あら、ソラ君も興味あるの? 冒険者に」
「まぁ、これから先学校に通うことになるので、お金を稼ぐ方法は知っておきたいです」
「なるほどねー、その様子だと登録もまだみたいね」
「そういえば登録するの忘れてたね……、まぁまた今度でいいかな」
「もう、ダイチ? 早めに登録しておかないとダメじゃない。明日辺り行っておきなさい。学校が始まるのはもう少し先だし。今のうちに受付の仕方とか覚えてた方がいいし」
「それはそうだね。うん、じゃあ明日は冒険者の登録にいこうか。登録はそこまで難しいことではないから。お金がちょっとだけかかるけどね」
「なんなら、私たちのクランが預かろうか? 一人前になるぐらいまで。あ、ちなみに冒険者の一人前はCランクだからね。それ以上のランクからは、ちょっと審査がめんどくさいから頑張ってね」
「うーん、まぁ、他の変なところに預けるよりはいいのかな。それじゃあよろしく」
「えっと、俺たち学校があるんだけど……」
「学校も週の最後の二日間は休みだから大丈夫。そのうちの一日を冒険者として暮らす感じかな。ちなみに魔物を倒したことはある?」
「えっと、近くの森の魔物ならダイチさんと一緒に狩りにいきましたが」
「ダイチ? ちなみになんの魔物?」
「僕は戦わずに二人だけで戦わせたのは、ビッグボアとフォレストウルフかな。あ、ゴブリンも倒させたよ。最初の魔物で有名だからね」
「あら、それじゃあDランクはありそうね。ビッグボアは一人で倒せる?」
「問題なく倒せると思うよ。僕の見立てではもうそろそろ小型のドラゴン辺りならギリギリ倒せると思う」
ダイチの言葉に少し頬をひくつかせたアリスが声を荒げないようになのか深く呼吸をしてから話し出す。
「えっと、英雄でも作ろうとしているの? というかそれは二人で戦った場合の話よね?」
「なにをいってるんだ、二人でならワイバーン辺りまでいけるよ」
「あなたは本当にこの二人をどこまで強くしようとしてるのよ。というか、その話が本当ならCどころか実力的にはAランクまでいってるじゃないの」
「え? なにをいってるんだ。前はそのぐらいでようやくBだったろ?」
「昔と違って今はワイバーンをパーティーで倒せればAランクになるのよ。パーティーの評価と個人の評価はまた違うんだけど」
「そうなの? まぁでも弱いよりかはいいだろう。あ、それと空、海。明日から一週間森にこもってサバイバル練習するから。野宿の経験はしとかないと冒険者の必須スキルだからね。先に冒険者の登録をしてからだけど」
ダイチはそこまで二人の強さに関して気にしていないのか、それともまだ足りないと思ってるのか日程を話し出す。
「ダイチお兄ちゃん。私はまたお留守番?」
「いや、今回は来てもらおうかな。野宿の練習だからそこまで危険なことはないし。美樹も慣れてた方がいいと思うし」
「ホント!? わーい。久しぶりに皆でお出掛けだね」
「一応森の中だから危ないんだけど」
「のうのう。ワシはその間どうすればいいのじゃ? 一人でここで待っておけばよいのか?」
「あ、ミラを一人にするわけにはいかないからな……。うん。ミラも一緒に連れていこうかな。野宿は大丈夫だよね?」
「うむ、食べられる物も食べられぬものも分かるぞ。自分のお腹で試したからの」
「ミラちゃん。おかわりいる?」
「う、うむ。もらえるなら欲しいのじゃが。なんというか落ち着かんからその眼差しはやめるのじゃ」
ミラは慈愛の眼差しで見てくるミキに困惑しながらもおかわりをもらっていた。貰ったあとは美味しそうに食べている。その様子を見てミキは嬉しそうに笑みを浮かべた。