12/20
・・・●
・・・●
……。
……。
金切り声は、止んだようだ。
テレビを見ると、そこには無意味な雑情報の黒い砂嵐が吹きすさんでいて、ノイズ音を立てていた。
それから、わたしは友達の友達を見た。
「なんで、手を押さえてるの?」
「ん……」
友達の友達は、特に理由も見当たらないのに押さえていた自分の手を少し見つめてから、手を離し、ひらひらと動かした。
「……そう、戻っちゃったか。
……。
ねえ、この手を見て、どう思う?」
?
わたしは首をかしげ、彼女の手を見つめた。特に何かを思ったりは、しない。彼女の、手は、傷一つ、無く、無、な、無、な、
無く。
……。
傷一つ無い手なので、何かを思う理由も無い。
友達の友達は、そんなわたしの反応を良くは思わなかったようだ。だが、ため息をつくだけで済ました。
「まあ、いいや。
どこをつつけばいいかは分かったから。
さあ。
今夜はまだあと一時間以上ある。
むらさき鏡を、まだ今年のアナタは忘れてないんだし、もう少し話をしましょ」