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一文無しの関所突破

ちょっと更新が遅れました。2日に1話は投稿したいと思っています。

街「ユノハナ・オアシス」での、身も心も(社会的にも)剥き出しになった本音バトルを経て、俺たちはようやく砂漠の出口へと辿り着いた。

二兆ゴールドの軍資金は、豪華な朝食とアリアの「特注・高級石鹸」にあっけなく消え、手元には再び、あの「20円(10円玉+領収書)」が虚しく転がっている。

「……見えた。あれが、中央大陸への唯一の入り口……『バベルの関所』か」

俺たちの目の前にそびえ立つのは、天を突くような巨大な石造りの門。

砂漠の黄土色と、中央大陸の瑞々しい新緑を隔てるその境界線には、フルプレートの鎧に身を包んだ、いかにも「真面目バグってない」そうな衛兵たちがズラリと並んでいた。

「カイ、あそこを通るには通行許可証が必要だと聞いていますわ。……まさか、また『20円』で押し通るつもりではありませんわよね?」

アリアが、洗い立てのメイド服の裾を気にしながら、ジト目で俺を睨む。温泉で「初期案ハイレグ設定」への殺意を爆発させた彼女だが、今は少しだけ、その瞳に俺への信頼(?)が混じっている。……本音ログの効果は絶大だ。

「ふん、名探偵の私にはわかるわ! あの衛兵たち、賄賂には目もくれないタイプよ。……あんたのその、怪しい『厨二病パワー』も、ここでは通用しないんじゃない?」

ルルが、少し赤らんだ頬を隠すように、首に巻いたストールを弄る。

「……甘いな、ルル。俺にはこれがある。……女王様からもらった、キンキンに冷えた『推薦状』だ」

俺は、氷で作られたその封筒を高く掲げた。

だが、関所の門に近づいた瞬間、周囲の温度が急激に下がり始めた。

門を守る衛兵の一人が、俺の手に持つ「氷」を見て、ガタガタと震えながら叫んだ。

「……ひっ!? そ、その冷気……まさか、貴様……『砂漠を凍らせた大悪魔』か!?」

「「……はい?」」

俺とアリアの声が重なった。

どうやら、ちょっと前に俺が座標バグを修正した際、「砂漠に氷の城が出現し、一瞬で消えた」という事象が、周辺の町では「恐ろしい悪魔の仕業」として噂になっていたらしい。

「ち、違う! 俺は悪魔じゃない! これは雪の女王からの……」

「問答無用! 全員、構えろ! この魔の氷を砕けぇ!!」

衛兵たちが一斉に槍を構え、突撃してくる。

だが、俺が慌てて「推薦状」を前に突き出した瞬間――。

パキパキパキッ!!

推薦状から溢れ出した絶対零度の冷気が、突進してきた衛兵たちの槍を、鎧を、そして地面さえも瞬時に凍りつかせた。

物理的なダメージはない。ただ、彼らは「かっこいいポーズのまま」氷漬けになり、彫像のように固まってしまった。

「……あ、……あちゃー。これ、女王様の『Q5:私の推薦状は、触れるものをすべて拒絶する』っていう、超ド級のツンデレ設定が発動してやがる……」

「……カイ。推薦状を出すだけで、関所を壊滅させてどうするのですの! これでは密入国者扱いですわ!」

「あんた、本当にやる事なす事バグだらけね! ほら、今のうちに逃げるわよ! 門が開いたまま凍ってるわ!」

俺たちは、氷漬けになった衛兵たちの間を「すみません、すみません」と謝りながら駆け抜けた。

背後からは「悪魔だー! 凍った悪魔が通るぞー!」という悲鳴が追いかけてくる。

砂漠の熱風が消え、心地よい草原の風が吹き抜ける。

目の前には、白亜の塔がそびえる学園都市の全景が広がっていた。

「……やっと着いた。……あそこが、俺の『設定(能力)』が認められるはずの、魔法学園……」

俺は、20円しか入っていない財布を握りしめ、新たな戦場(学校)を見つめた。

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