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【閑話】交渉

貧乏男爵家の一人娘、リュシエラは、自分の努力と才能で、名門、王立魔法学園に通うことが叶った。華やかな学園生活とは裏腹に、苦労も絶えない日々だが、その中でも良い友人達に恵まれて、ひとまずは平穏な日々を過ごしていたーー

 昨日はシスルと街へ出かけた。

 いきなりスリにあったりして大変だったけれど、案内したかったカフェも、雑貨屋も巡れたし、きっと満足させられたはず。


 なにより――ドレス選びまでできたんだから、役得よね。


 シスルは恥ずかしがるというより、あまり興味がないみたいで――なかなか選ぶのが大変だったわ!あの子、鏡の前でも全然はしゃがないのよ?

 

 でも最後には納得のいく仕上がりになったし、聖夜祭が今から楽しみで仕方ないわ!


 その前に――私も素敵なパートナーを見つけなくちゃ! さすがに一人はごめんだもの。


 そう思ってはみたものの、これがなかなか難しいのよね。

 

 今頃コナーはシャーリーズに申し込んだかしら?

 あいつ、肝心なところでトロいから、まだかもしれないわね。

 エラルドは何人もの女子生徒に誘われていたのは見たけれど……あれ、どうしたのかしら。


 めぼしい相手はもう大体相手が決まっているし、残っているのは――まぁ、色々と問題があったりするわけで。

 

「……最悪、自分で探しに行くしかないわね」

「何を探しに行くんだい?」

「ぅわっ 殿下」


いつの間にか背後に立っていたエルドリックが、にこにこと笑っている。


「ひどいなあ、その反応」

「聞いてたんですか?」

「途中からね」


 楽しそうに肩をすくめる。


「それで? 探し物っていうのは、もしかして――聖夜祭のパートナーかな」

「……ええ、そうですけど」


 リュシエラは観念したようにため息をついた。


「なかなか決まらなくて」

「なるほど」


 エルドリックは少し考える素振りを見せてから、くすりと笑った。


「それなら、僕が立候補しようか?」

「は?」


 一瞬、思考が止まる。


「冗談ですわよね?」

「さて、どうかな」


 エルドリックは楽しげに目を細めた。


「僕としては、ちょうどいい相手だと思うけれど」


 ――貴族階級にいながら、影響力はほとんどない。

 要するに、都合がいいというわけね。

 明らかな打算があるけれど――それを隠す気もないらしい。


「……ずいぶんと正直ですこと」

「君は賢い女性だからね」

「光栄ですわ。 でも見返りは?」


 王族相手に不敬だけれど、エルドリック様は気にしないだろう。


「華やかなパートナーが手に入るし、普段君を軽んじる輩に一泡吹かせられる」

「それだけ?」

 あえて強気に返す。


「――ギルフェルドは僕の側近だ」


 一拍置いて、エルドリックは続けた。


「間近で様子が見られるよ」

「……確かに、それは魅力的ですわ」


 小さく息をついて、顔を上げる。


「いいでしょう。そのお話、受けて差し上げます」


「交渉成立だね」


 エルドリックは満足げに微笑んだ。

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