対立
扉の向こうは精密機器が置いてある部屋だった。
「ここからがめんどくさいんだよなー」
ノクサはそう言いながら、ため息混じりに肩をすくめた。
連は一歩遅れて中に入る。
白を基調とした室内は、研究室のような雰囲気で、壁際には見慣れない装置がずらりと並んでいた。
「……何、ここ」
「検査室だよ」
ノクサは軽い調子で言いながら、金属探知ゲートのようなものを通りぬける。
「検査室、って……」
「入国審査みたいなもんだよ」
「通れなかったら?」
「まあ、なんとかするよ。」
笑ってはいるが、目は笑っていない。
冗談なのか本気なのか、判断がつかない。
「さ、早く通りなよ。」
「通っただけじゃなんにもなんないよ。」
「その言い方、信用できないんだけど」
「えー、私はわりと親切な人だよ?」
そう言いながら、ノクサは連に手招きした。
「ほら、早く。」
連がゲートを通るとビー、という音と共に、赤いランプがついた。
「すごいね。ほぼ全部に引っかかってる。」
「それ絶対大丈夫じゃないよね?」
「少しくらいは私を信用してくれたっていいじゃないか。」
「信用できる行動をしてくれ。」
「じゃあ行こうか。」
「ランプ赤く光ってるけどいいのか?」
「ダメじゃないかな、常識的に考えて。」
まるでなんでもないようなことのようにノクサは話していた。
「じゃあ……。」
「私だよ?大丈夫に決まってるじゃないか。」
「さ、こんなつまらないとこはさっさと出よう。」
ノクサが部屋のドアを開けながら言う。
「本当に大丈夫なんだよな……」
しばらく進んだところで連とノクサは、職員に止められていた。
「止まってください。」
「嫌だね。」
「地球人を入れるのは規則違反です。」
「それで?」
「地球に帰してきてください。」
「やだよ、せっかく連れてきたんだし。」
「そうですか。」
職員は、杖のようなものを取り出しながら言った。
「強制退場してもらいます。」
「ブレスレット付けといて。」
「え……?」
「無理やり押し通る。」
「それ以上私の暇つぶしを邪魔しないでくれない?」
「ヴェールシアに行くおつもりでしょう?」
「まあそうだね。」
「なおさら通すわけには行きません。」
「しつこいなぁ、殺すよ?」
ノクサの初めての脅迫だった。
その一言を放ったとき空気が重くなった。
「あなたと本気でやり合ったら私に勝ち目はないでしょう。」
「そうだろうね。」
「時間を稼がせてもらいます。」
「仕方ないさ、こうなるだろうなとは思ってた。」
「連れ込んだ建前は聞くかい?」
「ヴェールシアに行くと答えた時点で無駄でしょう。」
「それもそうか。」
ノクサは楽しそうに笑った。
「じゃあ、通らせてもらうよ。」




