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ノクサ視点・一幕
自分の思い描いた通りに事が進む。
何度やっても、楽しい。
ほんの一瞬の躊躇。
それから、観念したような手の動き。
――ああ、楽しい。
ノクサは扉の向こうで、笑いをこらえようともしなかった。
だって、ここまで来た時点で、もう勝負はついている。
連は選んだのだ。
「入れない」という選択肢を捨てることを。
異世界か、日常か。
そんなものは、最初から本質じゃない。
本当に欲しかったのは――
自分で鍵を開けさせること。
無理やり入るのは簡単だ。
でもそれじゃ、つまらない。
自分の意思で扉を開けさせる。
そうすれば、私の勝ち。
「それは同意と取っていいのかい?」
そう言いながら、ノクサはもう分かっていた。
答えなんて、もう聞く必要はない。
すでに勝敗は決まっているのだから。
「……ああ」
やっぱり。
ノクサは、心から楽しんでいた。
暇つぶしの材料は整った。




