7話 報酬、交渉、裏の話。
「私はレティ。このパーティ、『最適解』のリーダーを努めさせていただいています。こっちの大きいのがガストン。小さいのがシエラ。私の大切なパーティメンバーです」
「あ、えと、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします、ギルドマスター」
「うん、よろしくお願いしますね」
挨拶を済ませ、本題へ。
ちなみにガストンとシエラには、あまり喋らなくていいよ、と伝えている。
ガストンは畏まりすぎるし、シエラは別に話したいと思ってないだろうし。
まずは今回の経緯を。
このシャドウリーパーは、ガストンの元いたパーティを浅層で全滅させたこと。
今回討伐したのは、銀月茸の採取中。つまり中層手前であることを説明した。
「まずは、このシャドウリーパーについてですね。コレは高位の冒険者パーティにだけ伝えられていた、魔の森深層の要注意モンスターなんです。いままで結構な犠牲が出ていてね、それこそ、高位の冒険者たちに。それを…… 低ランクで、最近ウチに来たような三人が、討伐してしまった。……わかりますか、私の気持ち」
ギルマスは、困ったような顔でこちらを見ている。これは、本当に困ってるわけではなく、自分ならどうとでもできるがそれはそれとして面倒臭いな、と思ってる人間の顔だ。何故わかるか? 私もその顔をするからだ。ふん。
「ランクが低いからと言って、実力が低いわけではありません。言っているあなたがわかっているのでしょうが、元々実力のある者が最近ようやく冒険者をはじめただけ、ですよ。そして、面倒臭い事もわかります。元々いる他の高位冒険者たちにどう説明しようか、浅層にいた理由の捜査をどうしようか、というところでしょう」
「話が早くてたすかります、レティさん。……ものは相談なんですが、この事は、表に出さない方向で進めてもいいですか? 当然、他の面で融通はしますよ?」
悪びれもなく、面倒臭くない方へと進めようとしてくるギルマス。……強かで柔らかな仕草から、コイツは心理学というものを理解しているのだろうな、と感じる。
表に出さない、という事については、概ね賛成だ。
表沙汰にして得られる街での名声と、裏で貴族でもあるギルマスに軽くとも恩を売れる利を比較すると、後者のほうが私の目的の為になる。
この世界の貴族は、横の繋がりがとても強いのだ。それこそ、一万の平民からの人気より、一人の貴族、第四子からの信用のほうが、今の私には価値が高い。
それに、表沙汰にして得られるのが名声だけとも限らないし。ほんとに、人間の感情はめんどくさい。
「では、そうですね……。私たちのランクを、違和感の無い程度に早く上げるように操作してください。それと、私たちが何か要望を出したとき、極力優先して対応していただきたいです」
「そんな事でいいんですか? その程度なら、私の権限でどうとでもできます。ありがとう、助かりますよ」
いい笑顔だ。後半のお願いは、極力、という曖昧な言葉でお願いした。ちゃんと伝わったようでよかったが。
「では、早速ですが。 薬師から依頼された、この銀月茸。コレの交渉の場を、あなたと、薬師と、薬師への依頼主である貴族様と、私。この四人で設定してもらえますか?」
「……そのくらいでしたら、もちろん協力しますよ。では、私は薬師の方にお話に行ってきます。そのキノコは、まだあなた方が持っていてください。ああ、シャドウリーパーの討伐報酬についても、次回、私が直接渡しますね」
「ありがとうございます。助かります」
まためんどくさいと思ったな、この人。
銀月茸の依頼の裏も、ギルマスなら読み取れるだろう。貴族だし、余計に。
礼をして、退室。
ふう。こんなものでいいだろう。
しかし、やはり精神操作の効きは普通の人間より悪かったな。
魔法使いとして高めた肉体と精神、それと……
「めんどくさいという感情が、一番めんどくさいかもしれませんね」
「……ギルドマスターにも、なにかしたんですか?」
「あのギルマス、わたしは苦手かも」
まあ、操作しなくても上手くいくなら、それに超したことはないが。
ここまで読んで頂き有難うございます。
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