4話 ステップアップ、薬師の依頼、夜の森へ。
「もうゴブリン程度ではなにも得られるものがありませんね」
「レティの言う通りね。ガストンどころか、魔法を使わないわたしでも討伐できる程度だし……」
「となると、もう少し高難度のクエストですか? 俺の冒険者ランクで受けられるものだと…… もう少し深いところの、植物素材採取とかですかね……?」
数日ほど、ゴブリン退治などで二人の『調整』を重ねてきたが、もはやあの程度の雑魚ではこれ以上の最適化のデータはとれない、というところまで来た。
ガストンは肉体強制健全化を脳が受け入れてきているし、知覚強化も常人の3倍程度には適応した。
闘争心のブーストは、本来の性格のせいかあまり効果が乗らないが、それでも敵前で心を乱す事は全くなくなった。
以前はゴブリン程度でも少しビビってたのに。
シエラに至っては、本当に今はこれ以上やれることが無い。
五感の知覚強化は魔法を使う集中力の妨げになるので付与せず。
魔法を練る時間短縮のための集中力強化。
魔法を自在に構成するための想像力強化、具体化。
魔法を確実に相手に届けるための空間把握力強化。
あと当然だが傷を負わないための肉体強制健全化。
これら全てを、その脳は元からあったかのように、完全に受け入れている。
狂信者、恐るべし、といったところか。
今のところ、狂信的であることのデメリットはないが、これだけ強い感情は注視しておくべきであろう。
肉体強制健全化のかかったシエラの、反動を全く気にしない杖での滅多打ちですら、ゴブリンは倒せる。
つまりガストンの肉体も剣も、ゴブリン退治では過剰なのだ。
「この、薬師の依頼。これを受けましょうか」
「詳しい内容は薬師本人から聞くように……ですか。一応、こういう依頼は美味しくない事が多いとだけ伝えておきますが……」
「レティが決めたんだから、間違ってるわけないでしょ? 報酬より惹かれるものがあったんじゃない?」
シエラは鋭い。
この薬師は、最近街にやってきた、この街の領主様ではないお貴族様からの依頼を受けている、という情報を得ている。
つまり、今朝貼られたこの依頼は、そのお貴族様から薬師への依頼、に関する事だろうと推測。
貴族の助けになれたのなら、私たちの名も売れる、かもしれない…… ということだ。
どうやってそんな情報を得たのかって?
ふふ、便利でしょ、私の属性。
さて、薬師からの話によると。
簡単に言うと、特殊な薬に使う素材が足りないからとってきてくれ、だ。
その素材とは、今まで行動していた森の浅層よりも少し中層寄り、木々の密集する地帯に、夜にのみ生えるらしいキノコ、銀月茸。
……主に、男性の夜のあれこれのための薬に必要になるものだ。薬師から無理やり…… いや、少し詳しく聞き出した話だと、隣の領の領主には娘しかおらず、次代をどうするかで頭が薄くなるほど困っている、らしい。
その辺の政治的な話はともかく、これは我がパーティ、『最適解』の名もその領主様に売れそうだ。
「というわけで、初の夜間依頼。楽しみですね」
「夜の森ってはじめてね。そのうち、野宿とかするのかしら」
「夜、怖いんだよなあ…… あ、いや、大丈夫ですよ、頑張ります……!」
夜間なら、暗視か? 目を弄ったら暗視は搭載できるか……?
いや、猫みたいに瞳孔を弄るのがいいか。オンオフより、可変のほうが便利だろう。
なににせよ、今夜から次のステップだ。
「ああそうだ、今夜は寝ない訓練も兼ねますか」
「ね、寝ない? そんなことできるんですか??」
「寝ない事に慣れれば、寝てたはずの時間を全部鍛錬にあてられる。さすがレティ、やっぱり効率的で素敵ね」
ここまで読んで頂き有難うございます。
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