34話 エリアボス、魔法の万能性。
「シエラ! どうにか出来ないか!?」
「石弾もだめ、岩砲弾もだめ、電気もだめ火もだめ水もだめ…… レティどうすればいい!?」
「ふむ、ここまで硬いとは…… さてシエラ、授業の時間ですね」
「れ、レティさん! 早めにお願いします!!」
古代ゴーレムを倒してコアを入手した後、時間に余裕もあるのでもうひとつかふたつほどエリア攻略をしようということで、ここまできたのだが。
クォーツゴーレムのパワーに、前衛四人が押されている。
先程出会った普通のクォーツゴーレムはシエラの岩砲弾で砕けたのだが、こいつはエリアボス、クォーツゴーレムの変異体。『魔導クォーツゴーレム』だ。なんでも魔導をつければいいと思っているのか?
「シエラ、風魔法に砂を混ぜた『サンドストーム』、はどういう攻撃ですか?」
「えと、砂で摩耗させる攻撃よ?」
「ふむ。では、水を高速で打ち付ける魔法はありますか?」
「え、ええ。ウォータービームよね? あれは非殺傷の制圧用よ?」
「ウォータービームを、古代ゴーレムのレーザービームのように細く鋭く撃つ事はできますか?」
「できるわ! さっき見たもの! でも、アレを倒せるほどの威力は……」
「その水に…… 細かく硬い砂を混ぜることは?」
「……!! ガストン!ちょっとだけ場所空けれるかしら!?」
「うお、やってみます! 『鉄壁』!『要塞化』!」
シエラの魔力が高まる。
水と砂の粒子が、周りに漂う。
「『ウォーターレーザー』!」
内部の細かな砂がキラキラと光る超高速の水が、魔導クォーツゴーレムの眉間に直撃し、ゆっくりと貫く。
コアはそこではない。が、有効打を与えられた。
「いけるわ! ガストン、皆、どいて!」
「了解!」
ガストンたちが魔導クォーツゴーレムから離れる。
よろめいていた巨体がとてつもない速度で向かってくる。
こちらを最大の驚異と認識したようだ。
「シエラ、一撃で仕留めないと、私たちの服が汚れてしまいますよ?」
「大丈夫よレティ!『ウォーターレーザー』!」
先程の技が、数十発一気に発射される。
魔導クォーツゴーレムの全身に着弾、突進の勢いを殺し、ゆっくりと貫通。コアも貫通したようで、前のめりに倒れ込んだ。
襲い来る土埃を、シエラが風魔法で退ける。
討伐完了だ。
「強かったですね?」
「さすがに焦りましたよ…… これは逃げかなと」
「さすがシエラ。また成長しましたね」
「えへへ、まだまだ強くなれるわ!」
古代ゴーレムは遠距離攻撃手段がある代わりに耐久がそれなり、魔導クォーツゴーレムは耐久に極振り、という感じだった。
他のゴーレムも気になるが…… ひとまず、第一ダンジョンのほうはこれでいいだろう、満足した。
魔導クォーツゴーレムの戦利品を漁る。
まず目を引くのは、シエラのふとももくらいのサイズの水晶。
水晶はどこでも採取できる物とはいえ、このサイズは凄い。玄関に飾りたい。
あとは、魔導クォーツゴーレムのコア、水晶の靴、それとギルドが買い取ってくれる素材がいくらか。
水晶の靴は、魔道具とかではなくただの靴だ。履けるわけもないので、これもインテリアか。
「さて、帰りますか。荷物も手押し車ひとつでギリギリでしたね」
「帰りはエンカウント少なめでいいですか?」
「そうですね…… 魔石だけちまちま集めるのも面倒ですし、高く売れる素材だけ討伐していきましょうか」
「外と違って倒しても倒しても湧いてくるし、まず倒してから考えてもいいんじゃない?」
「……シエラの言う通りかもしれませんね。最短で帰りつつ、エンカウントしたら都度仕留めて行きましょう」
外では、生きてたモノ共の素材は無駄にできないが、ここダンジョンではデータみたいなものだ。命の重みを気にする必要は無いな。
「その前に。そろそろ食事の時間では?」
私はなにもしていないが、お腹がすいてきた。
「ですね。丁度広いですし、ここで準備しましょうか」
「結構魔力つかったし、甘いものが食べたいわね!」
「それはいつもだろ…… 旬の甘い果物、幾つかもってきてるからな。後で切り分けるよ」
「やった! 魔法を撃つのも気持ちいいけど、その後の甘いものがとっても気持ちいいのよね……!」
たしかに。
頭を使った後の糖分が、一番美味しい。
それでも私は、多量の香辛料と肉の脂で脳を刺激するほうが好きだけども。
ここまで読んで頂き有難うございます。
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