27話 店主の治療、次の目的。
「おじいちゃん! こっちはいいから寝ときなよ!」
「お客さんならワシが出んと!!!!!!!! まっちょれ!!!!!!!」
声を出す度に店が揺れている。
杖が少し反応している。声に魔力が乗っているのか? なんでもいい、とにかく声がデカい。
奥から、杖をついて老人が出てきた。
……その杖、つく用じゃなくない? 杖は杖でも。
「そこの嬢ちゃんか!!!!!!!! 杖がほしいのは!!!!!!!!!」
声にびっくりして私の元に戻ってきた二人のうち、シエラを指さしてそういう。
私とシエラのどちらかを迷う事なく指さしたという事は、この老人も魔法使いかな。魔法使い同士は見たらわかる、らしい。
ちなみに私は魔法使いではない。人間属性は、魔法でありスキルである、よく分からない括りなのだ。ナディアの魔物支配も同じ括り。転生者の授かっている能力はみんなそうなのかはわからないが、特殊ではある。
「この子の杖を探しにきました。オススメはありますか?」
私が尋ねる。
老人は片眉をあげ、シエラを凝視する。
「……無くはない!!!!!! が、一生モノにできるレベルのモノは今はここにないぞ!!!!!!! オーダーメイドになる!!!!!!!」
「なるほど」
声でっか。
……つまり、そこそこの物で間に合わせるか、オーダーメイドで良い物を頼むかだ。
それはもちろん、一択である。
「オーダーメイド、頼めますか?」
「もちろん!!!!!! と言いたいところなんじゃが!!! ……今は杖をつくれん!!!! 腰をいわしててな!!!!!!」
確かに、椎間板ヘルニアもあれば脊椎管狭窄もある。腰だけじゃなくて手も腱鞘炎に、虫歯、白内障、その他もろもろ…… にしては声が元気だな。
「私が治す、と言ったら、どうします?」
「もちろん治してくれ!!!!!!!!!! なんぼでも出す!!!!!!!」
「ちょ、おじいちゃん! そういうのはもっと話ちゃんときいてから……!」
「では、対価はシエラの杖を作ること。いいですか?」
「請け負った!!!!!!」
「だから、おじいちゃん……!!」
「では、治しますね」
よし、シエラの杖は良い物を手に入れられそうだ。しかもタダ。私は運がいいな。
老人に近づき、腰に手をあてる。
……面倒だし、全部治すか。
よし、いろいろ治した。
治りすぎた老人をみて、店員さんが目を見張る。
やりすぎたか?
「……おじいちゃん?」
「おお、おお。キキちゃん。顔がようみえる。美人に育ったのう」
「おじいちゃん、顔が……腰が…… え、若いんだけど。ど、どういうこと……?」
店員さん……キキさんが混乱しているが、まあそのうち慣れるだろう。
あと何故か声が小さくなった。いや、普通になった。耳が遠かったから声がデカかったのだろう。
「面倒なのでいろいろ治しました。感覚の違いなどは自分でなんとかしてください。問題は無いですか?」
老人が、全身を動かし、確かめる。
うん、何も問題はないだろう。
「まるで若い頃のようだ。ありがとうな、嬢ちゃん。……さて、杖をつくってやりたいが」
「まだなにか?」
老人が困った顔をして、シエラをまた凝視する。
「嬢ちゃん、使える属性は、いくつある?」
「えっと…… 火、水、雷、風、土、毒、あとはそれの混合と、変化ね。付与はできないわ!」
「ほお、ほお。改めて『診て』みると、やはりとてつもない…… それなりのモノは作ってやれるが、最高のモノは材料が足りんな。うーむ、すまん…… 材料さえあれば、我が人生で最高の一杖を造れるのじゃが……」
つまり、材料さえあれば良いと。
次の目的は、それを集めることにしようか。
私の目的のための種は、芽吹くまでまだかかるだろうし。
少しだけ寄り道も良い。それに、シエラがさらに強力になるのは、私の目的の為にも必要だ。
……あと単純に、その材料が他の用途にも使えそうだから。一石二鳥、三鳥にもなりそうだ。
先に思考を読んでしまったが……必要な素材というのは。
「『ミスリル』と、『老魔樹の髄』、それと『エルダーリッチの魔石』か『古代ゴーレムのコア』が必要じゃ。老魔樹の髄だけはあるから、他のふたつじゃな」
「エルダーリッチと古代ゴーレム、どちらでもいいんですか?」
「エルダーリッチのほうだと、威力増幅値が高まる。古代ゴーレムのほうだと、魔法操作難度がとても下がる。どちらがいいかは、本人が決めるとよいぞ」
「なるほど。シエラはどっちがいいですか?」
「うー、うーん…… 両方捨てがたいわね…… もう少し悩んでもいいかしら?」
「もちろん。どちらにせよ、ドベルグに帰る事になりますし、それまでに決めてくださいね」
「うん、わかったわ!」
というわけで、次の目標はミスリル集めとコア集めだ。
ミスリルはとても綺麗なのでガストンの鎧にも使えるだろうし、貴族へのなにかしらにも使えるだろう。
そして、ミスリルはドベルグの鉱山地帯にある、『ドベルグ鉱山第二ダンジョン』の深部にあるのはわかっている。
「ダンジョン、楽しみですね」
ファンタジーと言えばダンジョン。
今からもう楽しみだ。
ここまで読んで頂き有難うございます。
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