25話 契約完了、晩餐への招待。
レナトゥス・オーダーの女性型は、まずは二体を半年、一体当たり中級使用人の給金ほどの値段で貸し出す事になった。
莫大ではないが、労せず継続的な収入が得られるようになったのはいい事だ。
この路線で商売を続けていくのも面白そうだが、あくまで副業としてやっていこう。
「これで、契約は成立だ。金は冒険者ギルド経由で毎月送金。半年後、こちらに返還の意思がなければ継続してさらに半年の契約を自動で更新する。今回の二体に関しては、貸出料は再契約含め返還まで今後一切の変更をしない。改めて、問題無いな」
「ええ、ありがとうございます。とても良い買い物をされたと、これから知ることになるでしょう。 ……そうそう、男性型でしたら在庫はまだありますので、追加が必要でしたらいつでもお呼び立てください。それと、賊の討伐依頼など、人間を相手にする機会があれば、相場の半額ほどでお受け致します。ぜひ我が『最適解』を、今後ともご贔屓に」
「……ああ、期待している。例の件も、任せたまえ。位は伯爵といえど、古くからの歴史ある家でな。顔は広いのだよ」
「感謝いたします、閣下」
契約は成立。
貴族とのパイプもできたし、商売もできた。
おもわぬ資源も手に入り、同郷にも会えた。
今回の「キノコ採集」から始まった一連の全てが、私にとても都合よく上手くいっている。
上手くいっている時は後が怖いと言うが、私に関しては「上手くいかせた」、とも言える。見落としが無いかだけ注視すれば、然程心配はいらないだろう。
日も沈む時間だということで、今夜は晩餐も共にし、館に部屋を用意してくれるという。
我々は寝なくても問題ないが、貴族のこういう善意は受けておかないと色々と面倒ではあるため、快く受け入れる。
たまには睡眠をして思考の整理のズレを直すのもいいだろうと、シエラとガストンには睡眠をとるように命令しておく。
「寝るのって久しぶりですね……」
「寝方おぼえてるかしら? うまく寝れるかな……」
「ふむ。まあ寝なくとも問題ありませんし、試すだけ試してみましょう」
「そうね、寝れなかったら魔法の事考えるわ!」
「寝坊だけしないように気をつけないと……」
ともかく、まずはご飯だ。
晩餐とは言ったが、豪華絢爛な食事、というわけではない。一般的な感覚でいえばとてつもないが、貴族の感覚であれば、少し豪華、くらいのものだ。
しかし今回は、素材が違う。
肉料理に使われるのは、ジャガーノートのモモ肉。
低温でじっくり熱を通された極厚の肉は、さながら和牛ローストビーフのような美しい赤としたたる脂を見せてくれる。
ソースも美味しい。ビネガーとオニオン、ガーリック、ペッパーが効いた、私の好みの味だ。ああ、私の分だけ、香辛料が三倍入っている。そうしてもらった。我儘を聞いてもらえて感謝している。
デザートには、魔の森から持ってきたデビルアップルのジェラート。
凍ったまま渡したのだが、凍ったものが出てきた。
他の材料とのバランスがとてもよく、デビルアップル本来の甘さに加え濃厚なミルクの甘さも交わり、しかしどこか爽やかで食べる手が止まらない。ああ、シエラは頭痛が起きないからと物凄い勢いで食べてたが。
ガストンは、出されたワインを上機嫌で飲んでいた。私とシエラは、ぶどうジュースだ。とても濃くて美味しかった。
「街に川が流れていただろう。アレの上流側では、農作が盛んなのだよ。いい水、いい土、そしていい気候。我が領地は全てを持っている。だからこそ、私は、私の子にこの地を受け継いでやりたいんだ」
「パパはね、私には婿はとらん!って言ってるの。どこにもやらんぞーって!」
「ふふ、ナディアはパパと結婚するんですものね?」
「うーん、ママともけっこんする!」
「あらあら、じゃあ三人で結婚しましょうか」
「うん!」
ふふ、微笑ましい家族、というものがここにはある。
たしかに、ナディアにとってはここが一番居心地がいいだろう。能力など、オマケでしかない。
ゼノス様が男児を欲する理由も、ナディアがここから離れたくない理由も、私には理解できた。
家族に愛されるというのは、良い事なのだ。私も、良く知っている。
しかし、ナディアは…… 子供のフリをするのが上手いな。
私とは大違いだ。王宮で周りに気味悪がられてたのは、そういう所もあるのだろうか。
ここまで読んで頂き有難うございます。
【ブックマークの登録】
【画面下↓の【☆☆☆☆☆】からのポイント評価】
是非宜しくお願いします!!




