24話 強力な協力、実力の証明。
「パパ、私、この子たちが欲しい!」
「ナディア…… 愛する娘の願いとはいえ、倫理的には……」
「ご安心ください。これらは元は山賊。私が手にしていなければ、処刑されてこの世を去るだけの者たちです」
「うーむ…… しかしだな……」
「絶対に裏切らず、絶対に傷付かず、睡眠も不要。維持費は一体あたり人間一、二人分の食料のみ。力も強い上に、礼儀作法までインストール…… いえ、仕込んであります。お嬢様と、ご夫人の護衛としてこれほど強力なモノはありません」
「パパ! 私、そろそろ王都の貴族学園に入学するのよね? つよーい護衛、必要じゃない? ねえパパ?」
「うむ、うむ…… わかった! わかった! そのモノらを買おう! しかし、条件だ。条件が要る」
「もちろん、伯爵閣下ご本人が納得いただけるのであれば」
「修練所へ向かおうぞ。私がそれらと戦い、私が負けを認めれば、だ。いいな?」
「ふふ、もちろんですとも」
ナディアを連れ、伯爵の元へ向かい。
レナトゥス・オーダーの女性型二体の売り込みをした。
ナディアは最初、オーダーの状態に少し引き気味だったが、実際にオーダーがなにをしてもなんの反発もしないのをいろいろな方法で確認して…… ええ、まあ、反対しなくなった。詳しくは言わない。私には関係のない性癖だ。
それで、伯爵への売り込みの手伝いにも熱が籠っている。助かるからなんでもいい。本当に。
所変わって、伯爵家の修練所。
今は夕方、日が落ち始めたころ。騎士たちはまだ街や館での勤務中で、修練中の者はいまは一人もいなかった。
「さて、では私は修練用の剣でやらせてもらおう。そちらも、好きな武器をとれ」
「いえ、伯爵閣下本来の武器でも構いません。もちろん、刃毀れが困るというのなら、他の武器でも問題ありませんが。オーダーは素手でやらせてもらいます。『オーダー、伯爵様の攻撃を全て受けろ。極力、自分の着ている服を傷つけるな』」
「……舐められたものだ。これでも、それなりの実力はあるのだぞ?」
「存じておりますよ、閣下。しかし、私の力はそれ以上である、と自負してますから」
人間では、私には勝てない。
これは自負であり、事実である。
「そうか…… 商品に傷を付けてしまっても、文句を言うなよ。では、参る!」
プロレス体型、と称した伯爵様だが、そのスピード、力強さ、そして剣の巧さは想像以上だった。
知覚を全く強化していなければ、剣筋を見ることはできなかっただろう。
確実に、オーダーの喉、目、腿、腋を狙って剣が振られる。
元賊、と言ったから、殺してしまっても問題ないと思っているのだろう。容赦がない。
が、相対するのは、私のつくった『レナトゥス・オーダー』だ。
全ての剣を、手刀で受ける。
息を乱さず、瞬きもせず、髪の一本すら切らせない。
全てを『肌』で受ける。直立不動で。傷一つ付かないのだと、見せつけるように。
「……はぁ、はぁ。ああ、久しぶりに全力を出した。認めよう、コレは私にとって有用だ。……値段の交渉に入ろう」
「ありがとうございます、閣下。最初のお客様です、モニター料金として、お安くさせていただきますよ」
「それはありがたい」
疲労していれば、貴族であろうと実力者であろうと、『人間属性』の効きは良くなる。
オーダーへの忌避感、裏切りへの疑念を、娘の為だという感情で塗り潰してあげた。
当然、裏切らせることなどありえない。そんなことをしても得られるものが何一つないからだ。当然だろう。
「最良の買い物であったと思える日が、必ず来るでしょう」
ここまで読んで頂き有難うございます。
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