2話 冒険者登録、薬草採取、運命(?)の出会い。
本日2話目の投稿です。前話をお読みになられていない方は、前話からお読みいただけますようお願いします。
「さて、薬草採取。冒険者の初めての依頼。ワクワクしますね」
冒険者登録を済ませ、初のクエストのため街の外へ。
受付の人、優しかったな。ちょっといじったけど、必要なかったかも? 周りの冒険者は面倒臭そうだったから眠らせて正解だったかな。
魔の森の浅瀬にて、地面にしゃがみこみ、草を見る。
……数は確かに多くはないが、そこそこわかりやすい形をしているので、見間違える事はない。
何本か集め、何本かは残して次のスポットへ。そうしろと言われたのでそうしている。前世のキノコ採取もこんな感じの決まりがあったような。
「おや?」
数箇所の採取を終え、もう少しだけ森に踏み込もうとした時。
人間属性の魔法のうち、私がパッシブで発動させている、広域の人間探査魔法、所謂ソナーが捉えていたいくつかの鼓動が、一瞬でみっつ、よっつほど消えたのを感知した。
この森の浅い所には、石頭のストーンラビット、武器を持たないウィークゴブリンなどの雑魚しかいないはず。たまにいる野生のイノシシのほうが強い程度だから、人間が一瞬で何人もロストする理由がわからない。
それと、それらの中、微弱ながらまだ鼓動のあるひとつの命も、感知していた。
「興味深いですね。向かってみますか」
消えたバイタルの強さを考えると、決して弱くは無い人間たちだった。
能力をつかえば死にはしなくても、もしかすると危険な目にあうかもしれないが…… そんなことより、生き残った人間。
私のパーティに使えるかもしれない、と感じた。
鼻歌交じりに森を進む。
自分の人間としての気配をいじり、魔物に見つからないように。十分ほど歩いたところ、それらはあった。
「おお、凄惨」
森の中に不自然にポッカリとあいた広場。
そこにばら撒かれた、人だったであろうなにか。
とてつもないバケモノが通ったのは明らかだった。
そしてその中にひとつ、バラバラではないが…… 鎧がへこみ、盾が真っ二つに裂け、関節という関節が間違った方向に曲がりまくっている、死んでないとおかしいくらいの状態の大男が、転がっていた。
「かあ……さん…… くす、り、の…………まだ……」
なんと、まだ声が出せるようだ。素晴らしくタフだが…… まあもうすぐに死んでしまうだろう。危なかった。
まず心臓をとめて仮死状態にし、鎧をなんとかかんとか剥がし、出血をとめ、関節を戻し、肉をあつめ……
「肉体強制健全化。……ふう、ギリギリ生きててよかったです」
なんとかギリギリ、「完全な状態」に戻す事ができた。
……戻したのではなく改造したのでは? いやいや、私が正しいと言ったらそれが正しいのだ。
「……っ!? う、がっ!?」
大男が目を覚ます。というか目を覚まさせる。
ガバッと起き上がり、息を吐いて、目を見開いた。
自分の体を触りだし、……震え、自分を抱きしめるように丸くなった。
「お、俺、死んで…… 生きてて…… 俺の、体じゃない……? 肌が……腹の肉は……?」
どうやら混乱しているようだ。可哀想に。
「おはようございます。ガストンさん、ですよね? 気分は如何ですか?」
「っ!?? あ、あなたは……?」
私の存在にいま気付いたようだ。相当混乱しているらしい。
私は慈愛に満ちた笑顔で、説明をしてあげる。
「あなたは私が治しました。完全に、完璧に。少し見た目が良くなりましたか? 無駄な部分も完全に除去しましたからね。ふふ、あの状態で死んでないなんて、とても頑丈ですね。私の能力との相性も良さそう。素晴らしいパーティになりそうです。ワクワクしますね? そうそう、死にかけのあなたは、うわ言で母さん、母さんと言ってましたね。お母様の治療が必要なんでしょう? お金が必要なんでしょう? 私なら、どちらもなんとかできますよ。私の属性は治療が得意なんです。私とパーティを組めば報酬は折半です。ああ、少しくらいなら色をつけても構いません、働き次第ですが。ふふ、どうでしょうか? 悪い話ではないでしょう?」
……おっと、喋りすぎたかもしれない。まあいい、理解して欲しいのは、返事が欲しいのはひとつだけだから。
私の話を完全に理解してくれなくても、答えさえ引き出せたらそれでいいのだから。……喋りすぎの言い訳じゃないよ?
混乱した顔をしていたが、母さん、という言葉を聞いた瞬間から、真面目な顔になったのを私は見逃さなかった。
「母さんを、助けてくれるんですよね」
「ええ、あなたが、私とパーティを組んでくれたなら、ですが」
「報酬は、ちゃんと貰えるんですね」
「あなたが私の『駒』として、十全に働いてくれるなら。大丈夫、私の能力があれば、あなたは傷一つ付かない最強の盾となれます。まさに、不壊の城砦のように」
「……母さんを助けられるなら、俺は、なんでもします。……これから、よろしくお願いします」
「ふふ、よろしくお願いしますね。大丈夫、全て任せてください。私の考える最適解に、あなたの夢も加えましょう」
不安そうな顔だが、覚悟の決まった顔でもある。
私もわかるよ、母を大事に思う気持ち。私は慈愛に満ちているから、あなたの母も救ってあげよう。
ふふ、これで、魔物を引き寄せてくれる駒…… もとい、優秀なタンクを得られた。
私だけだと、攻撃によるダメージは実質無効化できても、吹き飛んだり装備が損傷したりで効率が悪いからね。
これからはガストンを使って、討伐依頼なんかも受けてみよう。
幸先がいい。やっぱり私は運がいいんだな。
……ああ、もう夕方だ。そろそろ街へ戻ろうか。
ふふ、明日からの活動も楽しみ。
「ああそうだ、ガストンさん。これを」
「な、なんですかその布?」
「あなた今、全裸だから…… さすがにそれで街には入れないでしょう?」
「……!!!!!!」
ここまで読んで頂き有難うございます。
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