17話 テスト、深呼吸、シエラの答え。
「さて、シエラ。テストしてあげましょう」
「なぁに、レティ?」
「この先のアジト、賊が二十七人、賊ではない者が五人。それと馬や豚などが数頭います。さて、これらすべてを、無傷で、殺さずに、一瞬で無力化してください。できますね?」
「む、むむむ…………。着くまでに考えるわね……!」
森の中、細く踏み固められているアジトへの道中。
シエラには思考加速の改造もしているので、色々と思考させて、あとどれほどの改造を積めるかを観察しておきたい。
人間の脳は成長するが、個体差はあるので、こうやって限界まで酷使させた状態で得るデータが使いやすくて良いのだ。
「ガストン、あなたがシエラと同じ力を持っているとしたら、どう考えますか?」
「俺ですか? ……うーん、水、は一瞬じゃないですし…… 雷だと、加減次第では無力化出来ないか、死んじまうか…… 即効性の毒で昏倒、とかですかね?」
「まあ、不可能ではありませんね。しかし、即効性の毒で、さらに死ぬほどでは無いものの知識は、ガストンにもシエラにも無いでしょう?」
たとえば筋弛緩を起こすものや、強力な麻痺を起こすものであれば、一瞬での無力化はできるだろう。
しかし雷属性と同じで、加減を間違えれば……という事もある。
「毒……水………… っ!! レティ、わかったわ!これなら完璧よ!」
「あら、思ったより早かったですね? ふふ、アジトについたら、披露してもらいますからね」
「うんっ、わたしに任せて!」
さすが私のパーティメンバー。私の予想以上に思考整理が早かった。
これなら、アジトの一件が終わったら、思考回りにもう一段階の改造をしてもいいだろう。
「賊は全員、レナトゥス・オーダーとして迎え入れるとして。捕虜なのかなんなのか、残りの五人はどうすればいいのでしょう?」
「一応、賊から助け出された者は、各街の騎士団が責任を持ってその後の案内を請け負ってくれるらしいですけど……」
「うーむ。まあ、善良な民は善良な騎士に任せてしまいましょうか。手間の割に旨みがなさそうですし」
「……なにを考えてたんでしょうね」
使い道の無いものはどうでもいい。
それより、賊だ。
なんと、二十七人のうち、二人も女性がいるではないか。
これなら、レナトゥス・オーダーに求めるモノのうちひとつは直ぐにお披露目できそうだ。
そんなこんなで、元賊の案内によって、アジト目前まで到着。
あとはこれらを片付けるだけだ。
ふふ、それなりに立派な集落という様子だ。期待できそう。
「じゃ、シエラ。私に、あなたの答えを見せてくれるかしら?」
「うん、まかせて!! ……私の毒よ、充満せよ……『ポイズンミスト』!!」
前方の超広範囲に、シエラの放った霧が放たれる。
こちらに気づかないうちに、見える範囲の賊はそれを浴びて倒れていく。
少し遠くで、こちらに気づいて周りに声をかけようとしていた、ほかの賊より一回りだけ強そうな人間も、霧を吸って白目を剥いた。
これは素晴らしい。
「なるほど、霧に魔力毒と麻痺毒を溶かしているんですね。微量の毒でも、体表だけでなく粘膜や体内にも触れるのなら効果は絶大。シエラ、これは合格です」
「やった! えへへ、二人とのお話のおかげよ? 深呼吸すると、頭が冴えて、体が元気になる。それなら、頭が冴えないような、体が元気にならないようなモノを吸わせれば、って! ……上手くいってよかったわ!」
魔力毒で、この世界の人間なら誰しもがもっている魔力回路をショートさせ、さらに麻痺毒で、全身の神経を体の内外から麻痺させ、意識を保っていられないようにする。
効率が良く、損耗が少なく、シエラの多重属性が活きる、とても良い魔法だ。
万が一、毒の後遺症などがあったとしても、他の手段よりは圧倒的に修理コストが低い。
とても気に入った。
「ふふ、さすがは私の傑作。今回も期待通りです」
「えへへ、レティのためなら、わたし、なんだってできるわよ?」
「もちろん、なんでもしてもらいますよ」
「うへぇ……」
「なんですか、ガストン?」
「あ、いえ、なんでも。霧も晴らしてくれしたし、ポーターたちと賊を一纏めにしてきますね」
「それは助かります。ガストン、データが欲しいのでレナトゥス・オーダーも使用してください」
「あー……わかりました。では」
『シエラの魔法もとんでもねぇが、レティさんの容赦のなさもやっぱ怖えわ……』って心の声、私には全て筒抜けなんだけどね。
ここまで読んで頂き有難うございます。
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