13話 成果物受け取り、荷物問題、いざ出発。
「では、こちらが『ジャガーノート』の脂を使用した美容オイルです。……魔力含有量が一般人には危険なほど高いですが、伯爵夫人であればむしろ有効でしょう。そしてこちらが、ジャガーノートとティタノベアの毛皮です。簡易な処理しかしてないので、その旨は先方に伝えてください。では、ゼノス様によろしく伝えておいてくださいね」
「忙しい中ありがとうございます。先方にはしっかりとお伝えしておきますね。……ところで、ジャガーノートの肉は美味しかったですか?」
「……アレは凄いですね。もう食べられないのが残念でなりません。個人的に、ジャガーノートより味が劣るとしても、ティタノベアの変異種の討伐を依頼したいくらいです」
「ふふ、また何かあれば、お土産としてお持ちしますよ」
ジャガーノートを討伐して、帰還してから数日後。
ギルドマスター、アメジストから、今回の成果物を渡してもらった。
これで、ゼノス伯爵に依頼として渡す『無傷のティタノベア(と、ジャガーノート)の毛皮』と、ゼノス伯爵の夫人に手土産として渡す『美容オイル』が手元に揃った。
あとは伯爵のお嬢様に、深層で拾ったリンゴのような果実をシエラに瞬間冷凍してもらったものを数個。
伯爵家の皆に、ジャガーノートの肉を同じく瞬間冷凍してもらったものを数キロほど、用意した。
「さて、では明日にでも街を経ちましょう。手段はどうしましょうか」
「バルトフェルト伯爵領までは、定期馬車があったはずです。……でも時間がかかるし、荷物と人数が多い俺たちだと金がかかりますね」
「私たちであれば、不眠不休で走っていけば良いのでは? 私の能力で、一時的に走るのに特化した体に改造してもいいですし」
「伯爵様への手土産を、背負袋でもっていくのはかっこわるくない? 馬車を借りるのはどうかしら? 人数から考えると、そっちのほうが安いかも」
ううん、確かにそうだ。
貴族というものは、見栄、プライドを大事にする。
背負袋を寄越すのはさすがに、か。
とはいえ定期馬車は無駄すぎる。
「馬車を借りるのはいい案ですね。しかし、私は馬はいじれないので…… 箱だけ借りて、ポーターの三人に引かせる、というのはどうでしょうか。馬の分も安くしてもらえるでしょうし」
「……レティ、本気で言ってる?」
「レティさん、衛兵に止められて終わりですよ……?」
ううむ、そうか…… いい案だと思ったんだけどなあ……。
結局、『手押し車』を二つ買って、それをポーターに押させる事にした。
これなら誰も文句はないだろう。
手押し車の車輪の強度が心許ないのであまりスピードは出せないが……。
そういえば、ギルドの資料に『空間拡張収納鞄』、というものがあったのを思い出した。
遺跡から出土する魔導遺物のひとつで、見た目の数倍、数十倍の容量をもつ、魔法のカバン。
それさえあれば、荷物問題は解決なんだけど…… 貴族向けオークションか、上位冒険者から譲ってもらうか、自分で取りに行くかしか得る方法が無い。
奪う……いや、買うには資金もコネクションも足りない。いずれまた考えよう。
翌日。
ドベルグの街の正面門前。
私たち六人は、この街にしばし別れを告げる。
「ふふ、初めての長旅。楽しみですね」
「何事も起こらなければいいんですがね……」
「私も旅は初めて! レティと一緒なら、全部が楽しいわ!」
いざ、南東のバルトフェルト伯爵領へ。
ここまで読んで頂き有難うございます。
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