12話 討伐報告、深層の王、ギルマスの受難。
「おいあれ、見ろよ。あの顔、『アシッドダガー』の三人、だよな?」
「あ? アシッドダガーがあんな背筋伸ばしてキビキビ歩くわけが…… いや、あの顔は、アシッドダガーだな……」
「ていうかなんだあの肉塊! あいつら、あんな力を隠し持ってたのか?」
「おいおいどうなってんだ? ……まあ、真面目になったってんならなんでもいいか……」
魔の森から、休息なく歩いて街に帰還。
ポーターの三人にティタノベアと変異種の肉塊を背負わせ、私たち三人は気配を操作して目立たないようにしてギルドへ向かう。
ポーターの三人には事前に洗脳を強化して、喜怒哀楽を表現できるように、普通の人間として対応できるように改造した。もう綻ぶ事はない。絶対に。
ギルドへ到着。
いつもの如く、ギルマスの応接室に通される。
ギルド内でも気配を操作しているので、第二第三のアシッドダガーは発生しない、はず。
……無法者を私が改造して、睡眠も休息も不要で傷付かず絶対に裏切らない人型兵器、として運用したり、貴族に売るという案もあるにはあるが。
それはまた、賊でも討伐する時に考えよう。
さて、応接室にはすでにギルマスのアメジストが待機していた。
「ああ、あなた方ですか。またなにか問題でも起こしましたか?」
はあ。この人の中で私たちはどのような扱いなのだろうか。……まあいい。
「前回も今回も、問題の方から向かってきているんですが。 ……ひとまず、ティタノベアを討伐し、無傷の毛皮を回収しました」
「……随分とはやいですね? というか、そんなことより、後ろの三人……アシッドダガーですよね。そいつらと、そいつらの背負ってるモノの説明をいただければ」
「ああ、この子たちは、森で私たちを襲って来たのでオハナシをしまして。今は忠誠を誓ってくれてます」
「わたしたちは、レティさまの、ちゅうじつなぽーたーです」
「……まあ、はい。わかりました。そのように処理しておきますね」
……言語系をもう少し強く弄り直す必要はあるかもしれないな。あとでやり直そう。
「それと、その肉はティタノベアのものです。少し食べましたが、およそ十頭分。それと、変異体の『ジャガーノート』のものですね。ああ、毛皮と、脂も持ち帰ってきたんですよ。この前の薬師に、ジャガーノートの脂から、美容オイルをつくるように依頼しておいてくれませんか?」
「……まて、まってください、わかりました、美容オイルですね、いいでしょう、それは。面倒ですが、手配しましょう。……そんな事より、ジャガーノート、ですって?」
心底焦ったような、面倒そうな顔で問うてくる。
嫌がっても答えは変わらないけどね。
「ジャガーノートはですね…… はあ。魔の森の『十王』なんですよ。……魔の森深層のナワバリのバランスを維持する、十体の変異種のうちの一体。特異種と言ってもいいでしょう。この前のシャドウリーパーとは格が違うはずなんですが……」
資料でみたときは、そんなことは書いていなかったが。古い資料だったから、今までにパワーバランスが変わったりもしているのだろうか。
まあなにを言われようが、ここにその毛皮と、肉と、魔物の内部に生成される『魔石』も回収してある。
「これが魔石です。間違いないか、検査でもしますか?」
「……はあ…………。本物ですね。はあ。もう。どうしましょうか……」
見ただけでわかるのか。鑑定とか、そういう魔法持ちか?
……そんなことはどうでもいい。
私の要求は、あとはこれらの買取だけだ。
「とにかく。ティタノベアの毛皮と肉と魔石を九匹分。買い取っていただけますね?」
「ああ、そうだね、うん。買い取りますよ…… ああ、深層が荒れるぞ…… 皆に説明もしないと…… 面倒だ……」
「面倒なら、次からは買取カウンターで対応してもらいましょうか?」
「…………いや、私が担当するよ、全て。うん。いつでも私を呼んでくれたまえ」
仕事が好きになるような意識操作でもしてやろうかと思ったが、今回は見逃してやろう。
ジャガーノートの魔石は、私が所持しておく。なにかに使えるかもしれないし。
そして肉は、ガストンに調理してもらうので全部確保だ。
ティタノベアより、ジャガーノートのほうが数段美味しかったので。
手土産としてアメジストとライラに肉を少しわけてやり、我々は借りている宿に帰る。
ポーターたちには小遣いをやり、酒場やらで情報収集をしてもらう。言語系も弄ったので、今度こそ完璧に普通の人間として対応できる。
宿の厨房はもはやガストンの第二の職場になっている。
ガストンとしては、家族のために金は稼げるだけ稼げたほうがいいだろうし。
私としても、ガストンのつくる料理が毎日食べられるのは、とても良い事だ。
疲労もしないので、働けるだけ働くのは理にかなっている。
「ガストン、今日はなんですか」
「そうですね、シチューと…… リクエストはありますか?」
「うーん…… たまにはハンバーグもいいですね。もちろん、香辛料は多めでお願いします」
「ガストン! わたしは薄くて食べやすい大きさのステーキがいい!」
「わかりました。ふたりとも、部屋に持っていくので待っててください」
ジャガーノートの肉をつかったハンバーグに、シチュー。
やるべき事をした日の食事としては、満点だろう。
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