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異世界投資家~異世界転移した引きこもり投資家は、ファンタジー世界でも株を続けます~  作者: 青樹空良


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40 お役立ち現代スキル

 そこからは忙しかった。一応、検討はしていたものの考えていただけなのと実際やるのとは違う。

 まずは、ホームページを作る。何をしている会社なのかわかってもらうためだ。とりあえずは、前の世界での知識を駆使して自分で作ってみた。


「うん、よし」


 ふう、と一息吐いてユウトは自作のホームページを見る。


(引きこもりだったけど、工業高校は出ておいてよかった。しかも、そっちの勉強しといてよかった! 我ながらそれなりのものにはなったな! こんなところでスキルが役立つとは……。作り方も向こうの世界とほぼ同じでよかったー! チート知識とまではいかないけど俺スゲー。それにしても、クリスタルタブレットがパソコンみたいな使い方も出来て助かった。これ、小型のパソコンっぽくもあるんだよな。ありがたい。ま、でも、それも俺のスキルあってのことだよな)


 星屑電池の開発に成功したときのエレノアほどではないが、この世界でホームページを見事に完成させた自分に酔ってしまう。


「え、このページ、ユウト兄が作ったの?」


 クリスタルタブレットを貸してくれたエリオも、ユウトが作ったホームページを見て目を丸くしている。

 ホームページはエレノアに聞いた情報を元に、サラの宿に戻ってきてから作った。今は、サラに借りている部屋でエリオと二人、クリスタルタブレットをのぞき込んでいる。


「まあな」


 あまりおごった態度を取るのも自慢しているようで嫌なので、ユウトはあえて何でもないことのように答える。もちろん、心の中では自慢したい気持ちでいっぱいだが、そこはそれだ。


「スゲー、ユウト兄スゲー!」


 エリオは目を輝かせて、ホームページを見ている。


「いや、そんなにすごくはないんだけど、まあ、うん」


 ちょっと知識があれば出来ることだとはいえ、そこまで感激されると、思わずにやけてしまうのは仕方ない。それに前の世界ならもっと見やすいホームページはたくさんあった。それに比べれば初心者の作ったものなのだが、褒められて嬉しくないわけがない。


「とりあえず、なにをしている会社かはこれでわかるよな?」

「うん! わかりやすい!」

「それが一番だからな」

「それに、明るい感じなのがいいよね。なんかこの会社に希望が持てるって気がする!」


 一番聞きたい感想が聞けて、ユウトは頷いた。見やすくて、なにをしている会社なのか、この会社なら投資してもいいと思ってくれるか、それが一番大事だ。エリオが元々事業内容を知っていて、見ているものがプラスに映っているとしても素直な反応が嬉しい。エリオが嘘をつける性格ではないことは、もうよく知っている。


「けど、これだけだと公開したとしても見てくれる人がいないと株を買ってくれるかどうかだよな」

「うーん」


 いくらいいことがホームページに書いてあったとしても、信用してくれるとは限らない。ユウトたちはもうそれが本物だと知っているが、実際に信じてもらうことができるかどうかわからない。


「確かに、おいらだっていきなりこんなのクリスタルタブレットで情報が流れてきても買わないかもしれないよ」

「だよな」

「でも……」

「ん?」

「ユウト兄は見せてもらったんでしょ?」

「なにをだ?」

「星屑電池だよ。本当にそれで電球が光ったって言ってたじゃないか」

「ああ、あの実験のことか」

「おいら、まだ見てないから見てみたいんだよ」


 興味津々な様子でエリオが言う。そして、続けた。


「ってことは、他の投資家だって実際に見てみたいって思うんじゃないかな」

「あ」


 ネットの中でだけ情報を公開することばかり考えていてユウトは失念していた。


「確かに」

「だから、実際に見てもらえばいいじゃない? そうしたら、すごいって思った人たちが株を買ってくれるんじゃないかな。だって、魔力電池じゃなくても電気がつくんだよ? スゲーってなるよ!」

「そう、だな。うん。確かにそうだ。すごいな、エリオ」

「おいらも見てみたいって思ったから、みんなもそうだって思っただけだよ」


 えへへ、とエリオがはにかむように笑う。


「そういう意見は助かる。一人で考えていても出ないことがあるからな」

「おいらだって共同経営者なんだからね!」

「そうだったな」


 褒めてもらいそうな顔に思わず頭を撫でそうになったが、子ども扱いされるのを嫌がることを思い出して手を止めた。


「ありがとう」


 代わりに感謝の言葉を口にする。


「うん。でも、本当にいいアイデアだな。エレノアさんにも相談しよう。あの人、人前に出るのってどうなんだろう? いつもあの格好だしな……。作業着で出てもらうか? 他の人にやってもらう……。いや、実験を見せてもらうならエレノアさんが自分でやるって言い出しそうだしな。触ると危ないとか言われるし」


(でも、そういえば眼鏡を取るとめちゃくちゃ美人なんだよな。大勢の前で取るとも思えないけど)


「エレノアさん、やってくれないかな?」


 ユウトが考え込んでいるのを見て、エリオが心配そうに呟いた。


「いや、頼んでみよう。エレノアさんだって量産のためには資金調達がいるって言ってたんだ。言い出した本人なんだから断ることはないと思うんだけどな」

「そうだね」

「実験の方はエレノアさんに見せてもらうとして、説明は俺がなんとかした方がいいかな。エレノアさん、話し出すと止まらなくなりそうだからな。投資家たちを困惑させそうだ。でも、俺も人前で話すの苦手なんだよな……」

「それならおいらが話そうか?」

「うーん、いや、俺が頑張るよ」

「そう? ユウト兄なら大丈夫だよ」


 ユウトが引き受けようとした意図に気付かず、エリオは慰めるように言ってくれる。


(説明会をするとして、エリオが壇上で話し始めたら、子どもが出てきたと思ってどんな会社なんだって思われるといけないからな。本人には悪いが、最初の印象で舐められないようにしないといけない。要するに株主総会みたいなやつをやれるってことだよな。引きこもりだったから実際には出たことなくて配信で見たことあるだけだけど。いや、まだ俺たち以外株主はいないから最初の説明会みたいなもんか。どっちにしてもやるとなれば緊張するな……)


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