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異世界投資家~異世界転移した引きこもり投資家は、ファンタジー世界でも株を続けます~  作者: 青樹空良


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39 マッドサイエンティスト・エレノア

「いるか、ユウト君!」


 ユウトがクッキーを食べ終わって、ミオの家でくつろいでいるとエレノアが急に玄関のドアを開けて入ってきた。


「ノックもせずにどうした」


 通常はノックくらいするのがこの世界でも常識なようでミオが驚いたようにエレノアを見ている。実際、あまりの勢いでドアが開いたのでユウトも飲んでいたお茶を吹き出しそうだった。


「おお、まだいたね。さ、来てくれ」


 エレノアがユウトを手招きする。


「もしかして……」

「うむ!」


 どうやら、星屑電池の開発が進展したのだとそれだけでユウトにもわかった。眼鏡越しでもエレノアの目が輝いているであることが雰囲気でわかる。


「早く早く!」

「は、はい!」


 エレノアに急かされてユウトは立ち上がる。そして、エレノアが研究に使っている小屋へと向かう。エレノアの様子が気になったのか、ミオも後ろからついてくる。


「さ、見ておくれ!」


 研究小屋に入ると、エレノアは得意満面な様子で胸を張った。

 と、言われても、


「ええと、出来たんですか?」


 机の上を見ても、ユウトには一体なにが出来ているのか全くわからない。星屑石らしき石が何かの溶液につけられて入っているビーカー。そこに金属の板のようなものが入っていて、板に繋がって伸びているコード。


(そういえば、学校の理科の実験でこういうのやったっけ?)


 ぼんやりとそんなことを思い出す。とにかく、研究のことはユウトにはわからないので、全てエレノアに任せていて机の上のものがなんなのかすら聞いたことはなかった。


「さ、見ておくれ」


 ビーカーから出ているコードには豆電球が付いている。


(やっぱりこれ、理科の実験で見たことあるな……)


 ユウトがそう思っていると、ごそごそと金属の板をもう一枚エレノアがビーカーの液体の中に入れる。すると、予想通りというか理科の実験で以前見たとおり豆電球に光が灯った。が、


「うお! 眩しい!」

「!?」


 思ったよりも光が強くて、驚きの声が出てしまう。ミオはそもそもこの実験を見たことがなかったのか、驚いた顔をしていた。


「すごいエネルギーだろう?」

「すごい。星屑石にこんな力があったんだな……。魔力がなくても光るなんて……」


 ミオはぽかんとしている。


「ま、これは目に見えるようにわかりやすく示しただけなんだがね」


 が、エレノアは当たり前のように言って、さっさと金属板をビーカーから取り出した。豆電球の光はスッと消える。


「で、だ。このエネルギーを魔力電池と同じように小さな電池にすることに成功したんだ。もちろん、ミオ君の言ったとおり魔力無しでね。魔力電池の開発に携わっていた私には簡単なことだったよ」


 ふふふふふ、とエレノアは自分に酔ったように笑っている。


(やっぱり、マッドサイエンティスト感あるな、この人……)


 心中で呟くユウトだったが口に出すのは、やめておいた。


「ま、ということで。これだ」


 エレノアが指さしたのは机の上に置かれた電池のようなものだった。だが、製品と言うにはほど遠く、テープのようなものでぐるぐる巻きにされた子どもの工作のようなものだ。


「これが……」


(どう見ても電池には見えない……。大丈夫だろうか?)


 あまりに粗末なものなのでユウトは顔をしかめてしまう。


「これが、星屑電池なのか?」


 ミオも同じように思っているようで、疑わしそうに電池っぽいものを見ている。


「失礼だな、君たち。これが本当に星屑電池なのか疑っているのかい? 見た目が悪いのは仕方ないじゃないか。まだ試作品なんだ。もちろん、製品化するときには魔力電池のようにきっちりとした形にするに決まっているよ。中身はかなりいい出来なんだからな」

「なる、ほど」

「そうか」

「見た目で判断してすみません」

「うむ!」


 ユウトが素直に頭を下げると、エレノアが誇らしげに胸を張った。


「私もすまない」


 ミオも頭を下げている。


「ミオ君、これが出来たのは君の美味しい差し入れのお陰でもあるからね。あれは本当に助かった」

「そんな、私は……」

「えっと、俺は……」

「そうだそうだ。ユウト君にはこれから頑張ってもらわないとね」

「これから……」

「そうだとも。開発の目処がついたんだ。これを商品化しようと思ったら量産しなければいけないからね」

「確かに、そうですね。ここでは、ちょっと」


 ユウトは狭い小屋の中を見回す。エレノアは星屑電池が世界を変えるようなエネルギー源になると言っていた。開発くらいはこの場所でできても、量産となるとまた変わってくる。ユウトは魔力電池の工房を思い浮かべた。


「確かに、魔力電池を作っている工房はもっと大きかったですね」

「そうなんだよ。まだ、あそこまで大きくなくてもいいんだがね。量産する体制さえ整えばいいんだよ。上手くいったら段々と大きくしていってもいいと思うんだ」

「なるほど、段々大きく……」

「前にも言ったと思うんだけれど、魔力電池にとって変わるようなエネルギー源だからね。もっと大きな工房になるかもしれないよ」

「もっと大きな……。ガルドの工房よりも?」

「もちろんだよ」


 自信満々な様子でエレノアは頷く。そして、当たり前のように言った。


「うんうん。だから、資金を調達してくれるかな? その為に株式会社とやらを作ってくれたのだろう?」

「あ、はい。もちろんです。それが俺の仕事なので」


 ユウトも頷いた。

 やったことと言えば、まだ会社を立ち上げただけで手続きくらいしかしていない。元々、エレノアの進捗状況に合わせて進めていくつもりだった。

 ここからが本番だ。


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