Dear Dad チガツナガッテイルダケノアナタヘ
自分のことしか見ていない奴が嫌いだ。誰の為と嘯いて、結局のところは自分が満足したいだけ。相手が喜ぶかどうかなんて、本当はどうでもいい。そんな奴が嫌いだ。
命を粗末にする奴が嫌いだ。子供には粗末にするなと叱っておいて、自分は動物も食べ物も、当然のように粗末に扱う。
宗教に依存する奴が嫌いだ。祈っているだけ。教えを諳んじるだけ。自分の言動は省みず、改めず、そうしていれば幸せになれると、本気で信じている、考えることを放棄した奴が嫌いだ。
貴方もとんでもない奴だと思うのでしょうね。そんな奴は碌でもないと。
まさか貴方のことを書いているのだとは、あなたは冗談でも考えないのでしょうね。
だから私は、貴方のことを、親だなどとは思いたくないのです。
自分を省みない貴方は、謝ることも、感謝の言葉も口にすることはありませんでしたね。
姉が貴方と口を利かなくなったときも、母に、もう夫婦の関係を解消した後で、とんでもない額の借金の処理をさせたときも、貴方は自分に非があるなどとは夢にも思わなかったのでしょう。
思うのです。悪口しか聞いたことのない男の血を引いた、男の子を母親は心から愛せるだろうかと。正しく女になれない心と体で、考えるのです。
どれだけ分けて考えようとしても、きっと子供の顔に、嫌いな男の影を見ることでしょう。
心の底から愛することは、きっと私には出来ないでしょう。
思うのです。私は生まれてくるべきではなかったと。
そう思うことでしか、心の平穏を保てないのです。