ホタル舞う、夏の夕闇に
夏の夕闇に
風の静けさ
目の前を
光がひらり またひらり
二匹の蛍が
呼び合うように瞬いて
君が迷うときは
自分の光を探して
自分が落ち込みそうなときは
君の光を頼りに進むから
やさしくあたたかな
光をたたえて
夜に染まりゆく
空に向かって
光がひらり またひらり
それはきっと
まだ叶わない
夢の煌めきと
もうずっと逢えない
誰かへの想い
たとえはかないと
分かっていても
決して色あせることのない
光をたたえて
夏の夕闇に
風の清けさ
進むあぜ道を
光がひらり またひらり
二匹の蛍は
寄り添うように瞬いて
その身を焦がして輝き
思い焦がれて
舞いながら
黄昏の中へと
飛び立っていく
夏の夕闇は
美しくも切なく
はかなくも優しく
透き通るようでいて深い
だから
光を求めて
太陽ほど眩しくなく
月ほど遠くなく
花火のように消えることもなく
街灯のように無機質でなく
炎のように激しくはなく
けれど蝋燭のようにゆらめくこともなく
蛍のように
やさしくやわらかな
君の光が
好きだから
ただずっと
その光を、見ていられたら。