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「大丈夫」そう言ってしまったら君は居なくなってしまいそうで。
高校生、2年目。
色んなことがわかるようになって、色んな価値観がそこらから生まれて、自分の力量と顔も知らない誰かと見比べる。そんなこと意味なんてないのに。
多田秋人は普通だ。偏差値もそこそこの高校で、成績もそこそこ。
気の知れた友人も居る。
全てうちあける友人は居ない。
容姿だって中の上だろう。
普通だ。
部活は1年で辞めた。よくある話だろう。その事に秋人は何も感じなかった。
なんとなくやり始めて、何となく続けて、部の雰囲気が最悪すぎて辞める。
実力もそこそこ、熱量微熱。
つまらない青春の1幕は冬休みと同時に終わった。そして、部屋の隅、ひっそりと過ごす少女と出会う。