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いよいよ遊園地へ行く日を明後日に控えた金曜日の昼休み。
俺は今日も四条と……オマケの君島、滝川、優奈と一緒に昼メシを食っていた。
「……つか、毎日うちのクラスに昼メシ食いに来てるけど、君島はマジでクラスに友達いないのか?」
「クク……僕の高尚な会話について来れるのは、同志と四条同志、それに滝川同志だけだからね」
「そ、そうか……」
あー……とうとう滝川も同志認定されたなー……。
しかも、最近は君島の奴がやたらと『甘エン』シリーズのブルーレイボックスを押し付けやがるもんだから、滝川の魂が抜けかかってるし。
でも。
「う、うん! ウチも『甘エン』の話ができて、た、楽しいし!」
「おお! さすがは将来有望な『甘エン』マエストロ! 僕もこんな同志が新たに加わって嬉しいよ!」
「はううっ!」
うむ、興奮した君島に手を握られ、滝川が顔を真っ赤にしてフリーズしたな。
これだけの役得があるんだ。滝川よ、『甘エン』に関しては甘んじて受け入れるんだな。
「あ、そうだ」
優奈が思い出したかのように呟くと、俺へと視線を向ける。
「明後日の遊園地の件だけど、益村くんが……「断る」……ええー、まだ何も言ってないじゃん」
や、益村の名前が出た時点で分かるだろ。
俺達と一緒に行きたいってんだろ? そんなのダメに決まってんじゃん。
「つか、優奈。何で益村の奴が、俺達が遊園地に遊びに行くこと知ってんだよ」
「え? あ、えーと……」
俺が詰め寄ると、優奈は視線を泳がせた。
コイツ……益村に言いふらしやがったな……。
「とにかく、益村は入れないでこの五人で行くから。これは決定事項だ」
「むー……ていうか、何でかっちゃんは益村くんを仲間外れにするの?」
優奈は口を尖らせながらそんなことを言うが、そんなの決まってんだろ。
益村が、四条の敵だからだ。
「まあまあ優奈、今回はこの五人で行こうよ。ね?」
「う、うん……」
滝川が苦笑しながら宥めると、優奈も渋々了承した。
うむ、ナイスアシストだ。
「クク……同志に認められたければ、少なくとも『甘エン』シリーズはフルコンプしないといけないからね。まあ、その資格があるのはこの僕くらいなものだよ」
や、そんな条件設定ないから。
「ふふ……その条件でしたら、倉本さんはボッチまっしぐらですわね」
四条がニヤニヤしながらそんなことを言いやがった。
つか、ボッチの四条にそんなこと言われたくねーぞ。
「ま、それでも優しく構ってあげてるウチ達に感謝するんだね」
「ふふ、そうですわね」
「「ねー!」」
ムム……滝川の奴、俺がセッティングしてやった恩を忘れやがって。
しかも、いつの間に四条と仲良くなってやがるんだよ。
とはいえ。
「ハハ」
俺は、四条が楽しそうに滝川と話す姿を見て、どうしてもにやけてしまう。
だって、タイムリープ前には見ることができなかった光景だから。
「四条同志。そういえば、ずっと気になっていたんだけど……」
「? 何ですの?」
「四条同志のその話し方は、ひょっとしてサファイアエンジェルになる前の敵幹部、“リージュ”をオマージュしているのかい?」
「っ!?」
あー……君島よ、それ聞いちまうんだ。
せっかく俺が触れないようにしてたのに。
「ちちち、違いますわよ! 私の言葉遣いは生まれつきですの!」
や、生まれたての赤ちゃんが喋れる訳ねーだろ。
「へえー、まさかとは思ったけど、その悪役令嬢チックな喋り方って『甘エン』からきてたんだねー」
会話に乗っかって来た滝川が、ニヨニヨしながら揶揄うように四条に話しかけた。
「そ、そうじゃないですから!」
「ええー、必死なところが怪しい」
「も、もう! 滝川さんったら!」
「アハハ! ゴメンゴメン!」
顔を真っ赤にして怒りながら、四条が滝川の肩をポカポカと叩く。
滝川も滝川で、そんな四条とのじゃれ合いを楽しんでいるようだ。
「ふーん……アニメのキャラなんだー」
「? 優奈?」
少し含みのある呟きを不思議に思い、俺は優奈に声を掛けた。
「別にー、何でもないよ」
「?」
何だか優奈の奴、あまり機嫌がよろしくなさそうだな……。
その時。
――キーンコーン。
「お、昼休みも終わりかー」
「そうだね」
「ホラホラ! 皆さん机を片づけてくださいませ!」
四条がパンパン、と手を叩きながら俺達に促す。
「「「はーい」」」
俺達はいそいそと机を片づけると、自分達の席へと戻って行った。
でも。
「…………………………」
優奈は四条を眺めてから、プイ、と顔を背けて自分の席へと戻る。
俺は、そんな優奈の様子がしばらく頭から離れなかった。
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次回は明日の夜更新!
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