表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

 6、「レベルアップ」

「んーってやって、はぁああああああっ!」

 ネコミミ教官の教え通り、気合を込めて魔法を発動させる。

 訓練場では結局、壁を壊しそうでまともに放てなかったけれど、迷宮内なら基本的に床も壁も破壊不可能だ。仮に壊れることがあったとしても復元するらしいから、遠慮はいらないよなっ!

『あらあら。レベル1には見えないわね』

 マリちゃん先生もちょっと驚いたようで、目をぱちくりとさせている。

「えいっ」

 指先に生まれた炎の塊を先生に向けて。

「……って、これ飛んで行かないのか?」

 よく考えたら【着火】って指先に火を灯す魔法だし。いくら威力が炎系最強の【炎獄波】レベルだったとしても、敵に向かって射出する部分が呪文コードには記載されてねぇのか。

 しょうがないので石を投げるみたいに振りかぶって。

「うりゃーっ」

 先生に向かって投げつける。

 しかし。

 投げつけた火炎球は、マリちゃん先生に、ひょい、と軽く指でつまみ上げられてしまった。

『ふむふむ。ほうほう。面白いじゃないの』

「あー。流石マリちゃん先生だわ……」

 威力がすごいだけじゃあ、実戦じゃ役に立たないってことかね。

 正直、もうちょっとイケるんじゃないかと思ってただけにへこむ。

『ちょ、これ術式コードが【着火】なんだけど。どうやって出力限界こえてんのよっ。え、待って待って、これ、どこにつながってんのっ!?』

 急に慌てたように先生が摘まんだ火炎球を両手で握りつぶした。

『……煉獄の炎? 地獄とつながってるのかしら』

 ちょっと痛そうに、ひらひらと手を振って、マリちゃん先生がオレをうろんげな眼差しで見つめて来た。

『うーん。確かにレベルは1だし、偽装もされてないっぽいけど。あなたステータスがなんかいろいろバグってない?』

「あー。転職した時からこんな感じです」

 まあ、しっかり寝てすっきりした頭で考えてみると。

 オレ、なんかおかしな転職してるよな?

 年齢は通常とは逆に若返ってるし。魔法使いになったはずなのに。魔女とかなってなかったっけ。女の魔法使いだから魔女であってるかなーって気にしてなかったけど。

『うーん。よくわからないけれど、確かにちょっと、見てあげないと危なすぎるわね。いいわ。ちょっと採算度外視でみっちり教えてあげる』

「よろしくお願いしまっす」



 マリちゃん先生の授業は死ぬほど厳しかった。

『ほらほら、まだ出せるでしょぉ?』

「先生無理ですって! もうこれ以上ムリっ!?」

 MP666あるけど、なんか燃費悪いんだよっ。

 そんな無理矢理連発させられたら、あっというまに空になっちゃうって。あっ。

『んー。ほら。もっかい、もっかい! 若いんだからぁ。もっと出せるって』

「あ、出る、でちゃうっ、ってエナジードレインで無理矢理吸い出すのやめてくださいよっ!?」

『うふふ。レベル上がってるしちょっとくらいいいじゃない』

 MPの代わりにHP減ってる気がするんだけどっ!? ってか魂けづられりゅっ。

「あ、あっーー!?」

 ちょっと気持ちいいいとこが癖になりそうでヤバイっ。

『うふ。いい声で鳴くじゃない。自分の限界は知っておきなさい。ほら、あと3回』

「もう無理ーっ!?」

『これだけ絞りだせば大丈夫かな。ほら、じゃあ、もう一度アレやってみて』

「もう、煙も出ねーっす……」

「いいからさっさとやる!」

「ふぇえええっ」

 なんか筋肉の鎧無くなってから、涙腺ゆるくなった気がする。

 泣きながら、言われるままになんとか絞り出そうと。

 もう、んーってやってはぁぁあどころか、出せって言われてももう出すもんがねぇから。

 絞りに絞り切って、かすかに残ったカスを。すかしっ屁でもこくみたいにして。


「……あ。……出ちゃった」


 オレの指先に、ちんまりとしたロウソクの程度の炎が。

『よし、ようやく出来たわねっ。あんた力入り過ぎなのよ。出力高めなのに常に全力とかアホよアホ。加減とちょうどいい力の入れ具合を覚えなさい。ほんと誰に魔法習ったんだか』

「あー……。訓練場のネコミミ教官っす」

『なるほど。あのにゃんこかー。あの子はあんたとは逆で、獣人だし魔法の才能低めだから。常に全力で絞り出さないとまともに魔法が発動しないのよね』

「あー。そうなんすか」

 感覚的にはわかりやすかったんだが。種族的な差異で力の入れ方が悪かったんか。

『よし、今の感覚忘れないうちに、ラス3回っ!』

「いや、もう無理ですって!?」

『努力と根性と気合で世の中何とかなるもんよっ! あたしだって気合で400年ゆーれいやってんだから』

「タスケテ……」




 マリちゃん先生はものすごく高レベルのゴーストらしいので、ほんのちょっぴり魔法がかすっただけでも結構経験値が入る。

 ……はずなのだけれど。

 先生は呪文無効化95%持ちなので20発魔法を撃って、ようやく1回当るか当らないか。

 そんでもってようやくかすってレベルが上がっても。授業料とばかりに先生にエナジードレインでちゅうちゅう吸われてしまうので、結局のところレベルは大して上がらなかった。

 そのかわり、魔法関係のスキルはちょっと上がった。


 魔??女 Lv7 種族:人間? 年齢:??


 HP:1692

 MP:7777


 筋力 :14

 知力 :18

 信仰心: 8

 体力 :14

 敏捷性:11

 運  : 8


 魔法: 40

 詠唱: 40

 

 杖 :  0

 棍 :255

 格闘:255

 命中:255

 回避:255


 ちゅーかやっぱオレ戦士の方が向いてるんじゃね?

 レベル上がるごとに筋力と体力上がってんだが。

 でも不思議なことに、全然筋肉はついてないんだよな。二の腕ぷにぷにだし。

 ……MPがアホみたいに上がってるのはマリちゃん先生のしごきのせいに違いない。

 こんだけMPあれば、加減を覚えたオレなら足りなくなることねーんじゃないかな。


 とりあえず、魔法の使い方にもちょっとは自信ついたし。

 次は30階くらいまで一気に下りて、レベル上げだなっ!

 あれですよ、ダイ大の大地斬のノリで! 今新アニメとかやってるらしいし!


★一言メモ★


アル「ちゅーか先生はなんでわざわざオレにキスしてエナジードレインすんだよ……。しかもなんか首筋とか、口の端とか結構際どいとこにしてくるし。前はオレの筋肉ぺたぺた触ってくるだけだったのになー」


真理「……なんかこの子の精気に覚えがあるわね。【鑑定】っと、あら?」


★設定殴り書き★


【ステータスに関する補足】:

 某外伝シリーズ準拠で種族特性値+10が最大。HPとMPはノリで増やしている。

 各スキルは1レベルが10まで、以降レベル1ごとに+5上がる設定で、転職でレベル下がっても制限は受けない。スキルは主に命中に影響し、武器の場合は10、30、60、120、250でWS(ウエポンスキル)を修得。魔法はスキル関係なく通常は奇数レベルごとに魔法を覚える。また魔法の場合、スキル10レベルごとに詠唱中断率と詠唱スピードにボーナスが付く。


【魔法に関する補足】:

 呪文には基本消費MPがあるが、消費MPを増やすことで威力や対象範囲を増やすことが出来る。しかし呪文コード(プログラムみたいなもの)のロジックにより、制限や限界は存在する。

 ちなみに術式コードというのは呪文コードから生成された、実際に魔法を発生させる情報のことで微妙に意味合いが異なる。


 以上なんちゃって設定。

 ベースは某Wizですが、わたしの好きなゲームをいろいろちゃんぽんにしてる感じなのデス……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ