Girlish<ガーリッシュ>
私の名前は有栖川 梨沙、今年高校に進学したばかりの16歳。先月家族4人で旅行へ行った帰りに、高速道路で事故に巻き込まれ両親が亡くなった。
久々に休みが取れたと言ったお父さんに、私が大阪のテーマパークへ遊びに行こうと言い出したのがキッカケで、計画された家族旅行。
いろんなアトラクションに堪能し、嫌がる絶叫マシンに家族4人で乗ったのが想い出に残っている。
その日はホテルに泊まり、翌朝からゆっくり寄り道をしながら東京へ帰ろうと高速に乗った。あれはどの辺りだっただろうか、たしか静岡に入ったぐらいで危険運転をしていた車が引き起こした、何台もの車を巻き込んだ大きな事故。
その事故に巻き込まれた一台が私たちが乗った車だった。
幸い私と妹の沙雪は怪我こそしたが、比較的軽傷ですんだ。だけどお父さんとお母さんは……。
現在事故を起こしたドライバーは何かと言い逃れをしているらしく、警察は事故の原因究明の途中らしい。
ただ、危険運転をしていた車に接触した訳ではないらしく、直接両親の死因を起こした訳ではないとの理由で、重い罪には問えないかもしれないと保険の人が言っていた。
両親を失った事で私たち姉妹はある状況に置かれてしまった。
お父さんには実家の祖父母を含め親戚や兄弟が何人もいるが、お母さんには親族と言える人が誰もいない。
この場合、当然父方の誰かに引き取られるのが普通なのかもしれないが、私たち姉妹の場合はそうもいかなかった。
両親が亡くなってから数日後、私たちの元にお父さんの姉という人が訪ねてきた。
そこで聞かされたのが妹を引き取ると言う話と、両親の血を引いていない私は施設に入ると言う話。
私は4歳の頃、今の両親に貰われた捨て子だった。
小さい頃だったから正直あまり記憶に残っていないが、とても暖かく迎えてくれた事だけは覚えている。
妹が生まれた時なんて本当に嬉しかった。姉妹仲良くなれるようにって私の漢字から一文字とって沙雪と名付けられた。
私と妹は両親の願い通り本当に仲良く育ったと思う。
私は妹の事を大事にしているし、沙雪も私の事を慕ってくれている。
妹の事を思うと父方に引き取られた方が幸せなのかもしれない、だけど小さい頃からずっと一緒に育った姉妹だもの、本音を言うと私だって離れたくない。
沙雪も私と離れたくないと泣きじゃくった為、叔母さんは日を改めると言って帰って行った。
そして数日後、再び私たちの前に現れた叔母さんはある条件を出してきた。
それはアルバイトでも何でもして、たった二人っきりで生活をする事。
もともと両親は、父方の中では邪魔者扱いをされていたらしい。
今回の件も身寄りがいないからといって仕方なく出てきたとの事で、できれば私たち姉妹には関わり合いたくないと言うのが本音だとか。
「二人で暮らしたければそれでいいけど、ただし生活に困ったからといって私たちには一切頼らないで。それにこのマンションは有栖川家が所有している持ち物だから、一ヶ月以内には出て行ってもわうわよ。」
私たち姉妹は話し合った結果、二人っきりで生活する道を選んだ。
幸い両親が残してくれたお金と保険金が幾らか入ってきており、私が高校を卒業出来るぐらいまでなら、贅沢さえしなければ生活出来ると判断したのだ。
だけど叔母さんは今まで無断でこのマンションを使用していた費用だと言って、ほとんどのお金を持って行ってしまった。
残ったお金で何とか安いアパートに引っ越す事はできたけど、未成年の私が簡単に契約できる訳もなく、3ヶ月以上家賃を滞納した場合、即刻アパートから追い出される事になっている。
取り急ぎ私にはお金を稼ぐ為にアルバイトをしなければならなくなったのだ。
「お姉ちゃん寒くなってきたね。」
「そうね、そろそろアパートにも暖房器具がほしいね。」
木枯らしが吹く中、買い物帰り妹と一緒に近くの公園に寄り道するのが最近の日課になっている。
服や身の回りのものは持ち出せたが、重い器具や取り付けられている暖房器具なんかは持って来る事が出来なかった。
今住んでいるボロアパートは隙間風が何処からともなく吹き込んでくる。これからの季節には何らかの暖房器具が必要になるだろう。
私も妹も別段今の貧乏生活に不満を言うつもりはない、だけど気持ちだけでは生きてはいけない、お金はどうしても必要なのだ。
「お、二人とも可愛じゃん。どう、これから何処か遊びにいかない?」
「俺ら、楽しい処知ってるから何処でも連れて行けるぜ。」
二人で公園を歩いていたら如何にも軽そうな二人組の男性が私たちに寄ってきた。
私たち姉妹はお互い似てはいないがそれなりの容姿だという自覚はある。中学時代に告白された回数は二本の手では収まらない。
ただ私はもともと引っ込み思案だから、男性とお付き合いとか、とても冷静にできる自信なんて全くない。
だから高校に入ってからは伊達眼鏡をかけ、髪型も目にかかるよう地味な感じに仕上げているのだけど、今日は土曜日って事もあってメガネをはずし髪をあげ、普段より可愛くおしゃれな格好をしてしまっていた。
「すみません、私たちは家に帰る途中なので。」
「いいじゃん、ちょっとだけだからさ。」
「そうそう、別に門限とかあるわけじゃないんでしょ?」
二人組の男性は行く手を遮るように私たちの前に立ちふさがる。
あまりこういう経験が無い妹はさっきから怯え続けている。私は妹を庇うよう後ろに隠すが、背中を通して震えているのが伝わって来る。
「お断りします。急いでいるので通してください。」
「なぁ、いいじゃんかよ。」
「ほら行こうぜ。」
「ちょっと、放して。痛い」
片方の男性が私の腕を掴んで強引に連れて行こうとする。
「ちょっと貴方達、その子が嫌がってるじゃない。放してあげなさいよ。」
「あん、なんだ?」
「おっ、よく見たら可愛いじゃん。どう? 俺らと一緒に遊びにいかない?」
人通りの少ない公園なんだけど、たまたま通りがかった私と同じ年ぐらいの女の子が助けに入ってくれた。
その子は髪を赤い帽子の中に纏め上げ、私が学校でつけているようなメガネをかけた、一見ボーイッシュな感じの女の子。おしゃれな服を着たら絶対可愛いんじゃないかなぁ。
「お断りよ、何でダッサイ男の相手をしなくちゃいけ無いのよ。一度自分で鏡でも見てみなさい。」
「なんだと!」
「お前、喧嘩売ってんのか!」
うわ、やばいって。助けてくれるのはいいんだけど、何もそんなに煽らなくったって。
男性の一人が女の子の肩に手を触れた瞬間。
「はい、正当防衛成立ね。」
「はぁ?」
ボコ! ガシ! ドーン!
パンパン。
しーーーん。
「へ?」
「大丈夫? 取り合えずここを離れよ。」
一瞬の間に二人組みの男性を叩きのめした女の子は、私と妹の手を引っ張ってこの場を離れた。
「あの、ありがとうございました。何か武術でもしているんですか?」
「ん? あぁ、さっきの? まぁちょっと囓っている程度よ。それより怪我は無い?」
いやぁ、とてもちょっと囓っている程度には見えなかったんだけど。
「はい、大丈夫です。妹も無事だし。」
「妹? まぁ何にせよ良かったわ。それにしてもここは綺麗な公園ね。」
近くに引っ越ししてきた時からこの公園は私も気に入っている。そこそこ手入れもされている割に人の数はそれほど多く無い。ここ行くると何だか時間が止まった感じがするんだ。
「私もここは好きなんです。」
池のほとりにある手すりに触れながら、雲ひとつ無い青空を見上げる。冷たい風が私の長い髪をなびかせるが、さっきまでの嫌な気分を吹き飛ばしてくれるようで何だか心地よい。
「へぇー、さっきも思ったけど、やっぱり可愛いわね。」
「……はいぃ?」
「あっ、別に私にそっちの趣味は無いわよ。ただ本当にそう思っただけよ。」
「はぁ。」
突然変な事を言われたので一瞬脳がフリーズしちゃったわよ。
そらぁガールズトークでお互い褒めあったりするけれど、会ったばかりの女の子で、それも私よりもきっと可愛い女の子に言われたら驚くに決まっているでしょ。
「あぁ、もうちょっと話していたけど、そろそろ待ち合わせの時間だ。」
「あ、そうなんですか? 何かお礼をしたかったんですが。」
女の子はスマホの時間を見て私に言ってきた。
「お礼なんて別にいいわよ……そうだ、明日のお昼頃って時間空いてる?」
「明日? 別に予定はないですけど。」
「じゃ、明日の11時頃にこの辺りに来てくれない? 私明日ここで仕事してるのよ。せっかくだから近くで一緒にお昼しようよ、私の仕事も見て欲しいし。」
「はぁ、まぁいいですけど。」
「それじゃまた明日ね。」
そう言って女の子は走って去っていった。
「あっ、名前聞くの忘れてた。」
まぁいいか。どうせ明日会う約束をしたんだし。
「お姉ちゃんそろそろ帰ら無いと夕食を作る時間が無くなるよ。」
「そうね、寒くなって来たし早く帰ろう。」
それにしても不思議な子だったなぁ。
翌朝、私は妹を連れて再びあの公園へと向かった。
成り行きとは言え約束してしまったものは仕方が無いし、何より昨日のお礼をすると言ってしまった手前、このまま無かった事にするのは抵抗があった。
お昼を一緒にって事だったけど出来ればあまり高くないお店の方助かる。だって今の私たちには生活がかかっているんだから仕方が無いじゃ無い。
両親が亡くなってからのこの一ヶ月は本当にバタバタだったのだ。軽傷とはいえ私と妹は数日間の入院と事故の事情聴取、それと並行しながら葬儀の準備し、退院してからようやく検死から戻ってきた両親を見送る事ができた。
そのあとは各種役所への手続きと保険会社への申請を済ませ、ようやく一息が付けたときに叔母の登場だ。
正直両親を亡くしたばかりで私も妹も一切何もやる気が出なかった。だけど時間が経てばお腹も減るし、これからどうやって生きていくかを考えなければならない。それに私はお姉ちゃんだ、血が繋がっていないとはいえ、可愛い妹に辛い思いはさせたくない。
結局引っ越しやら何やらで落ち着けたのがつい先日というわけ。後はなるべく早くアルバイトを探さなければならないのだけど、学校に通いながらだと中々都合の良い条件が見つからないのだ。
「お姉ちゃん、今日は日曜日なのにメガネは付けているの?」
歩きながら私が伊達眼鏡を付けている事を妹が訪ねてきた。
「昨日男の人に絡まれたでしょ? 昨日の今日だしちょっと目立たない方がいいかなって思って。」
私だって年頃の女の子なんだからオシャレはしたいけど、昨日のような経験はしたくない。だから今日は髪を後ろに束ね伊達眼鏡と帽子でちょっと地味感をだしている。
そろそろ約束の場所に着くかという時、近くで大人の人たちが騒いでいる様子が見えた。
「ちょっと来れないってどういう事? 風邪を引いた? じゃ代わり子は? あぁもういいわよ。」
「もう一人子は来れないんですか?」
「何か風邪を引いて寝込んでいるそうよ。」
「じゃミリィだけで撮っちゃいますか?」
何だか如何にも仕事が出来るって感じの女性の人を中心に、まわりの男性の人たちがせわしなく動き回っている。
「どうしたのお姉ちゃん?」
「ん? あぁ、あそこの人たちがちょっと気になって。何かトラブルでもあったみいね。」
まぁ何かのお仕事なんだろうけど、私たち学生には関係のない話だ。それより早く約束の場所にいかないと。
「霧華さんどしたんですか?」
「ごめんなさい美里、今日予定していた女の子が急に来れないって事務所から連絡があったのよ。今から代わりの子を寄越すって行ってきたんだけど、来るまで1時間以上掛かるって言ってきたから断ったわ。」
「代わりですか……私一人心当たりが……って、おーい昨日、えっと彼女!」
「ん?」
「お姉ちゃん誰が呼んでるみたいだけど。」
何か呼ばれた気がして振り向いたら物凄い勢いで私たちの方に走ってくる可愛い女の子がいた。
「あの、私たちに何かご用でしょうか?」
「何かご用って、わからない? ほら。」
女の子は私たちの前に来ると、髪を後ろで束ねて見せてきた。
「あっ、昨日の……」
「思い出した?」
うわぁ、昨日出会った時とはまるで別人だ。今日の彼女はオシャレな服装に、長い髪を後ろになびかせお化粧までしている。
女の子ってお化粧するとこんなに印象が変わるんだと改めて実感時てしまった。
私って未だにちゃんとお化粧ってした事がないんだよね。いちお毎日のお肌のお手入れはしているよ、でもそれは安い化粧水を使ったりするだけの簡単なものだ。本格的なスキンケアのやり方なんて正直知らない。
「ね、ちょっとこっちに来てくれない?」
「えっ?」
彼女は私の返事を待たずして手を引っ張って連れていく。そこは先ほどまで私たちが見ていたトラブルがあったと思われる現場。
「美里、何よいきなり話している途中で走って行っちゃって。」
「ごめんごめん。ね、霧華さんこの子どう?」
「この子?」
「ほら、これでどう?」
「えっ? ちょ、ちょっと。」
彼女、美里さん? が突然私の伊達眼鏡をとって髪をかき上げてくる。
「あら、可愛いわね。」
「でしょ? 昨日友達になった……えっと自己紹介ってまだだっけ?」
「あっ、はい。有栖川 梨沙です。こっちが妹の沙雪。」
私が自分の名前を名乗ってから次に妹を紹介すると、沙雪はそれに合わせてお辞儀をしてくれる。
「梨沙に沙雪ね、私は一ノ瀬 美里、美里でいいわよ。で、こっちが私のマネージャーの霧華さん。」
「はぁ。」
マネージャー? 部活のマネージャーなんてボケはしないわよ。美里ってもしかして芸能人なの?
「梨沙ちゃん、いきなりで悪いんだけどモデルのピンチヒッターをしてくれない? 梨沙ちゃんぐらい可愛かったらこちらも助かるのよ。」
「…………はいぃ?」
モデル? この私が!?
「いやいや、無理ですって。そんなのやった事も見た事もないですから。」
無理だってば、何いきなり無茶振りを言って来るんだこの人は。
「大丈夫、大丈夫。私も一緒に撮るんだからさ、もっと気楽に考えればいいのよ。」
「そうよ、プリクラとかインスタを撮ったりするでしょ? それと同じよ。それにちゃんとバイト代も出すから。」
「バイト代!?」
うっ、思わずバイトに反応してしまった。
「そうね……取り合えずこれぐらいでどう?」
霧華さんがサッと手帳に書き出した金額を見て私の心が大きく揺らいでしまった。
提示された金額は3万円。たった一度の撮影のお手伝いでアパートの家賃一ヶ月分の約半分が稼げるとは、恐るべし芸能人(違うけど)。
「どう? 私としては昨日助けたのお礼ついでに、梨沙が手伝ってくれたらうれしいなぁって思うんだけど。」
うっ、ここでそれを持ち出すか、美里って結構腹黒いのかも。
でも正直バイト代には心が惹かれてしまう。時給800円ほどのバイトだと3万円を稼ごうとおもったら一体何日かかるだろう。学校に通いながらだと一日5時間として……4日と半分……それがたった一日で……。
「……わ、私でもできるんでしょうか?」
言ってしまったぁーーーー! 仕方がないじゃない生活が掛かっているんだから!
「もちろん大丈夫よ。それじゃ準備しましょ、さっこちよ。」
私の言葉を了承したと理解したのか連れて行かれたのは一台の車、そこで着替えとお化粧をしてもらうんだそうだ。
私が準備をしてもらっている間、美里は一人用の撮影を始めており、妹は特別に用意された場所で撮影の見学をしていた。
「お肌プニプニね、お化粧のノリもいいし若いっていいわね。」
私のお化粧をしてくださっている女性の人がいろいろ褒めながら仕上げていってくれる。
みるみる変わっていく自分がまるで別人のように思えて仕方がない。つけまってこんなに印象が変わるんだとか、アイシャドーすげーとか、もうお化粧の凄さにびっくりだよ。今まではグロスやチークを100円ショップで買って、遊びで程度で使った事しかなかった。当然ここまで本格的にお化粧をやった事なんて一度もない。
すっかり見違えた自分の姿に、なんだかちょっぴり自信が持てる気がしてくるんだから、お化粧って本当に不思議だ。
美里の撮影が一段落ついた頃にようやく私の準備が整った。
車から出てきた私を見て、美里も霧華さんも妹も驚いた顔をしている。
うぅ、そんなにガン見されると流石にはずかしいんですが。
「いいじゃない、これは良い子をみつけたわ。」
「霧華さん、私が先に見つけたんですからね。」
「じゃ早速二人の撮影を始めちゃおうか。」
カメラマンとおぼしき人の掛け声でアシスタントの人たちが準備に取り掛かかる。
「お姉ちゃんすごくかわいい。撮影がんばってね。」
くぅー、可愛い妹にそんな事を言われたら照れるじゃないの。
「じゃミリィちゃんと梨沙ちゃんスタンバイして。」
「ミリィちゃん?」
アシスタントさんの指示で池のほとりに向う途中、カメラマンさんが美里を呼ぶ名前に思はず反応してしまった。
「あぁ、私の芸名よ。美里の里って『り』って読めるでしょ? だからミリィ。」
「あぁ、なるほど。でも芸名ってすごいね。」
パシャ、パシャ。
「そうぉ? 梨沙だと、そうね……リーザって名前はどう?」
「プッ、何よそれ。」
パシャ、パシャ。
「えー、可愛いしいいと思うんだけどな。」
「ちょっと安直すぎない?」
パシャ、パシャ。
「それぐらいが良いのよ。梨沙は可愛いんだから。」
「そ、そんな事ないってば、美里の方が可愛いって。」
パシャ、パシャ。
「もう、可愛い事言うわね、えい。」
「きゃ、いきなり抱きつかないでよ。」
パシャ、パシャ。
「いいじゃない、女の子同士なんだから。ほら」
「もう、ちょっと、くすぐったいって、あははは。」
パシャ、パシャ。
「はい、いいの撮れたよ。」
「…………へ?」
美里がずっと話しかけてくるから撮影していたの忘れてたよ……。
その後、何度かの場所替えと衣装チェンジで撮影を繰り返し、終わった頃にはもう日が沈みかけていた。
結局あの後も、美里が私にいろいろ話しかけたり抱きついたりしてくるから、全然撮影しているって気がしなかったよ。
お昼は私が心配していた事もなく、用意してくださっていたお弁当を頂いたし、霧華さんやカメラマンさんからもすごく良かったって褒められた。
美里とはすっかり仲良くなったし、私が一人用の撮影の時は妹の面倒も見てくれていた。
「皆んなすごくいい人だったね。」
「美里お姉ちゃんがシュシュをくれたんだよ。」
沙雪もすっかり美里と仲良しになったみたいだ。
バイト代は後日連絡をくれるって事で、あとは待っていれば大丈夫だろう。
たった一度だけのお仕事だったけど、終わってみれば結構楽しかったと思う。
美里とは連絡交換はしたけど、もう会う事も無いんじゃないかなぁって思うとちょっぴり寂しい気分がした。
そして一週間後、私が初めて映ったファッション雑誌Girlsが発売され、瞬く間に世間を賑わす事になる、だが当の本人が気づくのはまだ先の出来事であった。
これは両親を亡くした少女と、一流のトップモデルを目指す少女が、アイドル歌手『ガーリッシュ』として活躍するまでの物語。




