stop!
「突然、べらべら話してた友人が黙り込んだらどう思う?」
唐揚げを一口サイズに引き裂こうとしていた箸の動きを止めて、彼女はそう問いかけてきた。わたしはたった今、目の前に運ばれてきたバジルソースのパスタを写真に収めようとしていたところだったので、一旦無視した。
「ねえ。どう思う?」
「今日は珍しくしつこいじゃない、ミーコ」
相手が忙しいとわかったら、命に関わることでない限り引っ込むことが多いのに、らしくない。
わたしは満足のいく写真をスマホに収めると、カゴの中からフォークとスプーンを取り出した。ソースが緩いから、スプーンの上でくるくるしたいと思ったからだ。
「どういう状況で誰に黙られたの」
「名前と場所は伏せとくね」
「そう。ところでミーコ、今度の日曜日なんだけどね」
「やる気だしてよぅ」
そう言われましても。
「わかった。ちゃんと聞く」
「ありがと。あのね、あたしとその人で荷物を運びながら会話してたら、急に何も言わなくなって、どうしたのって問いかけても真っ赤な顔で首を振るの」
「へーぇ」
「それで、……どれくらいだろう。1分……いや、50秒くらいそのままで、あたしがまあいっか、ってなった頃に復活したのよ」
「ふうん」
「会話がすっごく不自然な途切れ方をしたから気になってね。あ、でも、その前からちょっと苦しそうだったかも」
「食事中はそうでもなかったんだ?」
「そうそう、食事中は普通だったよ。……なんで一緒にご飯食べたのを知ってるのよ?」
ミーコは唐揚げから顔を上げ、わたしをじっと見た。その目には純粋な驚きの色が見られて、少し満足する。
「その人は男の人でしょう」
「なんで知ってるの!」
ちょろすぎる。少し不安だ。
「あんたとその人は一緒にご飯を食べる仲なんでしょ。あ、もしかしてもう告白された?」
ミーコの顔が真っ赤に染まった。
「ちょっと!」
「ごめん。で、続きなんだけど」
「もういいから、どうして黙ったのかだけ教えてよ」
今度はわたしが驚く番だった。
「まだわかんないの? おめでたいわね」
「なによそれ!」
一言多い! とわめく彼女を、なんだか微笑ましく思った。ついでに、彼女に想いを寄せるいじらしい男にも。
「好きな女の子の前だったら、しゃっくりを早く止めたいって思うのも仕方がないと思わない?」




