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stop!

作者: 夏井三毛子
掲載日:2016/12/21


「突然、べらべら話してた友人が黙り込んだらどう思う?」

 唐揚げを一口サイズに引き裂こうとしていた箸の動きを止めて、彼女はそう問いかけてきた。わたしはたった今、目の前に運ばれてきたバジルソースのパスタを写真に収めようとしていたところだったので、一旦無視した。

「ねえ。どう思う?」

「今日は珍しくしつこいじゃない、ミーコ」

 相手が忙しいとわかったら、命に関わることでない限り引っ込むことが多いのに、らしくない。

 わたしは満足のいく写真をスマホに収めると、カゴの中からフォークとスプーンを取り出した。ソースが緩いから、スプーンの上でくるくるしたいと思ったからだ。

「どういう状況で誰に黙られたの」

「名前と場所は伏せとくね」

「そう。ところでミーコ、今度の日曜日なんだけどね」

「やる気だしてよぅ」

 そう言われましても。

「わかった。ちゃんと聞く」

「ありがと。あのね、あたしとその人で荷物を運びながら会話してたら、急に何も言わなくなって、どうしたのって問いかけても真っ赤な顔で首を振るの」

「へーぇ」

「それで、……どれくらいだろう。1分……いや、50秒くらいそのままで、あたしがまあいっか、ってなった頃に復活したのよ」

「ふうん」

「会話がすっごく不自然な途切れ方をしたから気になってね。あ、でも、その前からちょっと苦しそうだったかも」

「食事中はそうでもなかったんだ?」

「そうそう、食事中は普通だったよ。……なんで一緒にご飯食べたのを知ってるのよ?」

 ミーコは唐揚げから顔を上げ、わたしをじっと見た。その目には純粋な驚きの色が見られて、少し満足する。

「その人は男の人でしょう」

「なんで知ってるの!」

 ちょろすぎる。少し不安だ。

「あんたとその人は一緒にご飯を食べる仲なんでしょ。あ、もしかしてもう告白された?」

 ミーコの顔が真っ赤に染まった。

「ちょっと!」

「ごめん。で、続きなんだけど」

「もういいから、どうして黙ったのかだけ教えてよ」

 今度はわたしが驚く番だった。

「まだわかんないの? おめでたいわね」

「なによそれ!」

 一言多い! とわめく彼女を、なんだか微笑ましく思った。ついでに、彼女に想いを寄せるいじらしい男にも。

「好きな女の子の前だったら、しゃっくりを早く止めたいって思うのも仕方がないと思わない?」


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