プロローグ ピエロから始まる異世界召喚
初作品ですが、ご意見、ご感想、厳しめでお願いいたします。
大方の流れは出来ているので、ご意見に合わせての大幅な改変は致しません。
ご理解いただけると幸いです。
俺はピエロが好きだ。自分をどんなに貶めても、愚か者に仕立て上げられても、他人を笑顔にしようと尽力する道化が。
父親がサーカス団のピエロをやっていたこともあるかもしれない。見てくれはお世辞にも格好いいとは言えない父には、他人を幸せにしたいという芯があった。
それが道化師という仕事で、笑いで幸せにするだけだったのかもしれないが。
ある日の夕方、俺は高校から家に帰るところだった。
辺りは真っ赤だった。もっと詩的な表現をした方がいいんだろうけど、夕焼けだとしても真っ赤過ぎた。
道の先に人影が見えた。こちらに手を振っている?そんなはずないか。
いや、振っている。しかもあの馬鹿みたいに派手な格好、ピエロだ。そのピエロは俺と目が合うと、ただただ嬉しそうに笑った。目元の涙のメイクが印象的だった。
クラウンは俺を手招く。
世の中にはピエロ恐怖症というものがあるらしい。
その患者が俺だったなら逃げ出していただろう。
だが俺は違う。むしろ好きだ。
俺はピエロに駆け寄った。クラウンはうなずく。
クラウンはどこからかフラフープを取り出しジェスチャーをする。
「ん?くぐれって?」
ピエロはうなずく。
「わ、分かった。」
どうせ手品か大道芸だろう。
まず一歩踏み入れる。
足が「固定」される。動かない。何で?戻れない。
あれ?何でだ?動かない。動かない。動かない。足が動かない。動かない。動かない。動かない。
視界が真っ白になった。
<外山 陽助 称号 「越者」 固有能力「固定」 を獲得しました>
フラフープの手前、つまりこの世界の日本は真っ赤だった。
真っ赤な背景に一際映える衣装の道化は笑った。にっこり笑った。
「すぐにーーーーー」
道化は歩き出す。