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儚げ少女は元不良様  作者: いとみ
エピローグ
29/31

おまけ

二話連続投稿です。

最新話からお越しの方は前話からどうぞ。

 プロレス技を自分の兄にかける、好きな女を呆然と眺める。

 手慣れていて、アクロバットで、とても華麗だ。

 だけど全く楽しめないし、笑えない。むしろ若干引いている。

 田原兄のシスコン度合の凄さ以上に、小町の桁外れの格闘センスにも。


「あははははっ。わかったか、クソ兄貴。ガタガタ気持ち悪ぃこと言ってんじゃ……」


 勝利の雄叫びを上げる彼女と目が合った。顔にしまったと書いてあるのが丸わかりだ。

 気まずい。何と言えばいいのか戸惑っていると、沢村がこちらへやって来た。


「進藤先生、大丈夫ですか?」

「ああ」


 沢村に手を差し伸べられ、立ち上がる。視線を小町に向けたままポカンとしていると、沢村に腕を引かれる。


「ああなったら長いんで、中でお茶でも」

「えっ。いや……」

「大丈夫ですよ。誰もいませんから」


 そうか。親御さんは不在か。少し安心して、連れられるまま家の中にお邪魔した。





「ささ、冷めないうちにどうぞ」

「ありがとう」


 お茶を一口飲み、ホッと身体の力を抜いた。

 通されたリビングで、俺はなぜか沢村と対峙している。沢村は田原家に頻繁に出入りしているのか、もてなしもかなり手慣れている。

 外で騒ぐ小町達の声は聞こえない。


「あの二人、放っておいて大丈夫なのか?」

「いつものことですから」

「近所迷惑だろう」

「そうなんですけど、もう十何年こんな感じなんで。『今日も田原さんの兄妹は仲がいいわね』って。静かだと逆に心配されるみたいですよ」

「そ、そうか」


 会話が途切れ静まり返る。

 ふと、これだけは言っておかなければと言うことを思い出して口を開く。


「沢村、さっきのことは忘れてくれ」

「さっき?」

「えっと、その……」 

「ああ、小町にキスを強請ったり羞恥で赤くなっていたりした、ものすっごくかわいい先生のことですか?」


 ズバッと指摘され、羞恥で縮こまる。


「即刻記憶から消してくれ。頼むから」


 あのときの俺はどうかしていたんだ。すでに黒歴史化したんだ。


「……かわいかったのに」

「やめてくれ」

「ま、いいですけど。それより先生、小町と付き合うんですか?」

「そのつもりだ」

「あんなに凶暴ですけど、大丈夫ですか?」

「た、多分……」


 強いのはわかっていた。けど、あれはなぁ。いや、好きな気持ちは変わらないけど。


「大丈夫だと思いますけどね。あんなに無茶苦茶やるのは頑丈な光相手だけだと思うし。もし先生が浮気とかしたらあれより酷いかもしれないけど」

「浮気は、しない」


 あいつは恋愛面で潔癖なところがあるから、浮気などしたらその瞬間に俺を見限るだろう。ここまで来るのにどれだけ大変だったか。そんな馬鹿なことをしてあいつを手放してたまるか。


「その方が賢明です。しかし驚いたな。小町の相手が先生だったなんて」

「お前は反対とかしないのか」

「僕が? どうして。だって小町が選んだ人じゃないですか」


 沢村が小町の兄貴だったらよかったのに。あの兄では先が思いやられる。


「光はきっとこれから邪魔するし先生に冷たく当たるかもしれませんが、許してやってください」

「沢村は田原光の保護者みたいだな」

「やめてくださいよ。親とか冗談じゃない」


 嫌そうな顔をした後、沢村は爆弾発言をした。


「付き合っているんですよ、僕と光」


 えぇええええっ、と心の中で叫ぶ。口に出さなくてよかった。

 沢村は絶叫を我慢したのに気づいたのかどうなのかはわからないが、驚いている俺を見て苦笑した。


「驚きました?」

「……まぁな」

「でも内緒にしてくださいね。僕達のこと、小町を含め数人しか知りませんから」

「わかった」


 沢村はスッと笑みを消し、目を伏せる。


「突然こんなこと言ってすみません。でも小町の恋人には知ってほしかったんです。……大丈夫ですか? 気持ち悪くないですか?」

「どうしてだ。性的嗜好も個性の内だろう」


 むしろ俺の方がロリコン認定されそうなんだ。男同士でどうこう言える立場じゃない。


「ふふっ、進藤先生も寛大ですね。小町と一緒だ」


 沢村はどこか嬉しそうに、遠くを見つめる。


「小町もね、光に言ったんですよ。『おめでとう。光がホモでもゲイでも馬鹿でも構わない』って。僕にも『本当にあのバカ兄貴でいいの?』って。嫌悪されるのも仕方ないって思っていたのに。ほんと、心広過ぎ」


 やっぱり身近な人に認めてもらうのは嬉しいんだな。沢村を見ていてそう思う。


「沢村、悩みがあったら遠慮なく言えよ。話ぐらいいつでも聞くから」


 沢村は目を見張り、そして笑顔で頷いた。


「進藤先生も大変でしょうけど、僕は二人の味方ですから」





 その後、田原兄妹の喧嘩が終わるまで沢村と話し、家の中に入って来たボロボロの田原兄に噛みつかれて、それに小町が食いついて再び大喧嘩。そうこうしているうちに親御さんが帰宅して、結局交際宣言することになる。

 その際三つの条件(①手を出すのは二十歳を超えてから、②デキ婚禁止、③もし結婚するなら小町の大学卒業後)を約束させられ、交際は認めて貰えたものの、初デートはおあずけとなってしまった。




これにて本編は完結です。

長々と引っ張りお待たせして申し訳ありませんでした。

今後、数話のスピンオフを予定してます。

またお時間があるときにでもチラ見してくださるとうれしいです。

どうもありがとうございました☆

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