第七話
朝食は朝が弱い丸子に代わり、恵おばさんが作ってくれたけど、流石は丸子のおふくろさんと言うべきか。
どの料理も丸子の一段上を行くものであった。
というか丸子の奴も、朝が弱いのにしょっちゅう俺の弁当まで作ってくれたりするもんだよな。
「ふふっ、鯉黒くん。
丸子が朝早くに起きて鯉黒くんのためにお弁当を作ったりするのは、すべて鯉黒くんへの愛の賜物よ♪」
「ちょっ、お母さん変なこと言わないでよ!」
「へぇ~(ズズッ……)」
茶をすすりながらのおばさんと丸子の、いつものコントを聞く。
愛……ねぇ。
どちらかと言えば、喧嘩と勉強以外はずぼらな俺のことを見ていられないから、とかの方が納得がいくんだがな。
「鯉黒も! お母さんの言うことなんて信じちゃ駄目なんだからね!」
「分かった分かった。
それよりも朝飯の途中なんだからもう少し静かに食わせろよ」
いつでもどこでも即行動。
それは丸子の長所でもあるが、食事の最中にいきなり胸倉つかまれて揺すられるのは勘弁だぜ。
「がはははは。早速尻に敷かれてるな鯉黒くん。
うちの丸子は、親である俺達よりも鯉黒くんの方が詳しいだろうが、じゃじゃ馬だからな。
苦労させられるぞ?」
あーあー、親父さんも懲りないねぇ~。
んな事行ったら丸子がまた……あ、やっぱり。
「お父さんなんて『信者A』!」
「ま、待て丸子! 父さんが悪かった!!」
丸子は腕っ節はかなりのものだ。だが親父さんは幾多の修羅場をくぐり抜けてきた喧嘩のプロ。
そして源五郎――甲虫特有のスペックとして固い甲殻による防御力に丸子の攻撃は歯が立たない。
が、そんな親父さんに効果的な攻撃を丸子はしたのだった。
「そーれそれそれそーれ♪」
「うぉぉぉぉぉぉーーー!!
ソース嫌いの父さんの目玉焼きにソースを掛けるとは……ガハッ!」
哀れ長助親分。毎度のことなのに懲りずに丸子を茶化すからだな。
俺も人のこと言えねぇんだが、……何故か手加減してもらえているから大丈夫なんだよ。
目玉焼きも醤油派だが、「ソースだろうと醤油だろうとお前が作ってくれたものなら何でも食える」と言ってからは食い物関係で仕返ししてくることはなくなったしな。
うむ、ここらで一杯、お茶が美味い♪




