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第三話

 この物語は虫と魚が川の中で繰り広げる恋愛作品……って設定ですが、別に人間でやっても良かったのでは? というツッコミには、私が書きたかったからと答えます。


 別に虫と魚でやってもいいじゃん♪


 

 目を開けると、そこは異世界でした……な~んてこたぁねーが、窓から見える空は茜色に染まっており、見事に本日の授業が終わるまで爆睡しまくっていたようだ。


 うん、流石は俺だ。寝ながらでも黒板の板書はノートに書き写しているな。



「まったくもう。

 あんたってば、あたしに『授業が終わったら起こしてくれ~』とか言っときながら、ちゃんと自分で起きれるんじゃないの。

 ……あたしが起こしてあげたかったのに(ボソッ)」



「あん? 後半聞こえなかったが何か言ったか?」



「な、何でもないわよ!」



 おぉ、恐い恐い。丸子の奴、こんなおっかねぇんじゃ男も寄りつかねーよな。


 他の女子はキャッキャウフフムーチョムーチョと色恋沙汰にうつつを抜かしてるってのに。


 まっ、そこが可愛かったりするし、誰かいい男でも見つけて、いつかはいい嫁さんになるんだろうな。家事も料理も完璧だし。


 ほんじゃ、当初の予定通り放課後は、こいつとぶらりとすっかねぇ~。



「そういや丸子は何か欲しいもんあるか?

 俺、この間バイト代出たばっかだし金持ってんだぜ♪」



 学校からの帰り道。そのまま商店街をうろつきながら話しかける。


 弁当のお礼なんだし、たまにはなんかプレゼントでも贈ってやるのも悪かねーだろ。



「そ、それなら……さ。

 新しく出来た喫茶店あるじゃない?

 あそこってカップルのみ注文できるっていう特別パフェがあるんだけど……良かったらそれに付き合ってくれない?」



「カップル限定……って、近頃の喫茶店はそんな客を差別するようなメニューがあんのかよ……」



「あ、でも限定とは言っても差別とかじゃないわよ!

 一人行っても頼めるけど、周りがカップルで注文してるのに自分だけ一人でそんなの頼むだなんて恥ずかしいから、さ」



 な~るほどね、いくら男っ気がないと言ってもマルコも女だ。


 その辺は気にしてんだなぁ~。



「いいぜ。俺で良かったら付き合ってやるよ。

 それに俺も甘いもん好きだし」



「ホント!? ありがとう鯉黒♪」



 ……やっぱこいつ、笑うと可愛いな。


 普段からこんな風に可愛くしてりゃあ、もうちっとモテるだろうに勿体ない奴だぜ。


 そんなことを考えながら歩いているうちに目的の喫茶店に着いた。


 頼む物が物なだけに、二人用のテーブルに向かい合って座る。


 確かにメニューの品名には「恋人限定パフェ」と書かれているが、端の方に「一人でも頼める」と小さく書かれている。


 こいつは確かに一人で頼むのは恥ずかしいわな。


 早速、店員さんを呼んで丸子が注文をする。



「こ、恋人限定パフェ……ひ、一つお願いしましゅ」



「はい、かしこまりました。

 お似合いのカップルですね♪」



「!!!」



 あらら、丸子の奴、固まってやがる。


 俺みたいな幼なじみと恋人扱いされただけで固まるなんて、本当に彼氏が出来たらどうするつもりなのかねぇ~。



「ええ、まだ付き合ったばかりなんすけど、俺とこいつは恋人同士っすよ」



 正面に座る丸子の手を握って店員さんに答えると、先ほど以上に顔を赤らめて俯いてしまう丸子。


 いやぁ、こいつホントにからかい甲斐があるわ♪


 店員さんもカップルの客なんざ見慣れてんだろうに、丸子があまりにも恥ずかしそうにするもんだから微笑ましげな視線まで送られちまったしよー。


 まっ、それはさておき、注文してすぐに出てきた「恋人限定パフェ」……うぅむ、デカイな。



「丸子、このパフェなんかデカくないか?

 メニューの写真で見るよりずっとデカいけどもしかしてサービスのつもりだろうか?」



「あたしと、鯉黒が恋人……ふふふふふ♪」



「おいってば」



「ひっ!! な、なによ!?」



「いや、『ひっ!!』じゃねーよ。

 パフェが予想以上にデカイからさっさと食っちまおうぜ。

 溶けたら勿体ないだろ?」



 先ほどから俯いたまま独り言をぼそぼそと呟く丸子だが、心なしか嬉しそうに見えるんだが、そんなにパフェが食いたかったのか?



「あ、ああ、そうね。

 それじゃ食べましょうか」



「そんじゃ、俺は天辺のチョコレートもーらい♪」



「あぁ~!」



 男は頂点を求めるもんなのさ、丸子。


 パフェの写真を見た時から思っていたが、一番上にのっている星型のチョコレートは俺がとる気だったのだ。


 うん、うまいうまい♪



「ったく、あんたは……。

 高校に入っても相変わらず甘いもの好きで子どもっぽいわね」



「お前だって甘いもん好きだろ?」



「そりゃそうだけどさ。

 女の子は大きくなっても甘い物が好きな身体的構造になってるんだからね」



「ならば男にもそういう身体的構造な奴がいても不思議はないだろ?

 俺は甘い物食うと力が湧いてくるのさ!

 なんかこー、例えるならガソリン入れたばっかのバイクは用もないのにカッ飛ばしたくなる感じ?」



「まぁ、ガソリン少ないのにカッ飛ばす馬鹿はいないでしょ」



「いやいや、俺この間、夜中に無性にバイクで走りたくなって、ガソリン少ないのにカッ飛ばして帰りに押して帰る羽目になったぞ?

 夜中だったし、ガソリンスタンドもいつも入れてるところが閉まってたからな」



「あんたってばホントに馬鹿ね~」



 どうでもいい会話かもしれないが、話すのと同時に手と口を動かすの忘れていない。


 山盛りだったパフェは気がついたら食べ終わっていたらしく、突き出したスプーンが器に触れて高い音を鳴らす。



「ありゃ、もう食っちまったか。

 意外と少なかったのかもしんねーな」



「あたしよりも沢山食べといてまだ食べれるの?

 こっちはもうお腹いっぱいよ」



 甘い物好きは女子の特権だ、みたいなこと言っといて、もう腹いっぱいなのか。


 俺なんかけっこう食ったが、まだまだイケるぜ?



「そういや鯉黒。

 今日あんたの家、誰もいなくて一人なんでしょ?

 良かったら晩御飯はうちで食べてかない?」



「あー……、親父はバカンスだとかで海まで行ってるからな~。

 そんじゃ、お言葉に甘えて今日は丸子んで夕飯でもいただこうかな」



「うん、今日はあたしも晩御飯のお手伝いするから期待してよね♪」



「お、そいつは楽しみだな。

 丸子の作る飯はマジで美味いからな♪」



 こんな平凡な日常も、俺の物語の一ページなんだろうな。


 と、何やら日記のような感じで考える俺なのであった。


 というか、パフェのおかわりしよっかな……。

 私のバイクのタコメーターは動くけどひび割れちゃってるんですよねぇ~。


 初めて買うバイクは絶対にこかすから、という理由で値段のあんまり高くないそこそこのを買ったんですが、傷が増えていく度に愛着も湧くんですよね♪

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