第十二話
これにて完結。
またもや書きたいものを書いていたらとんでもない方向へ行ってしまった、ってな感じのお話ですね♪
俺のヒレが相手の面にぶち込まれる瞬間、奴は身動き一つしなかった。
俺はいつものように自分の最強の一撃が当たることを確信し、振り抜いたはずだってのに……、その直後倒れたのは俺の方だった。
「ぐっ、てめぇ何しやがった!?」
「なに、別に大したことはありませんよ。
ただ伏兵を脇に忍ばせていただけです」
気づかなかった……いや、俺にすら気配を悟らせない強者を伏兵として忍ばせているあたり、このヤクザ者の本気がうかがえる。
「さて、では私は丸子さんを連れて帰るのであなたは死んでいてください」
二度目の攻撃が俺に向けて放たれる。
今度は間一髪で避けたが、間違いなく敵は俺を殺しに来ている。
姿を現した伏兵が手に持つのは銛。
どうやら最初に俺を吹き飛ばしたのはこいつってことか。
「……随分と頑丈なのだな。
魚類とは思えん鱗だ」
「へっ、これでも喧嘩無敗で通ってるんでね。
勝つたびに鱗は強化されていって、今じゃ龍の鱗とまで言われてるぜ」
「……哀れだな。
半端に強いと余計に地獄を見ることになるだろうに」
「俺にとっての地獄は丸子がいない世界のことだ。
俺から丸子奪っておいて、今更ただで済むと思ってるんじゃねぇよなあ!?」
今度はこちらの攻撃。
最速で最強の力を込めた俺の一撃だが、奴は軽いステップで避け、さらに銛による反撃まで繰り返してくる。
「……やはり哀れだな。
お前の噂は私も聞いているが弱すぎる。
女一人に入れ込んだがために弱くなったのではないか?」
「黙れ! 丸子が俺を弱くしただと!?
丸子がいたから俺は強くなれた!
その思いを否定するってんなら、てめぇ生きて帰れると思うなよ!!」
「……ふっ、口でなら何とも言える。
私に一撃も加えられないお前が何を言ったところで口だけにしか思えないぞ」
確かに奴の言うとおり、単純に強さで言えば奴はこれまで戦ってきた誰よりも強ぇ。
俺よりもずっと強ぇ。
けどなぁ、引けねぇ戦いってのが男にはあんだよ!
「その通りだ荒井君。君は何一つ間違っていない!」
俺にとどめを刺そうとしていた敵の一撃は別の声の主によって止められた。
「なんせ僕が間に合ったんだからね」
「……川中」
突然すぎる展開ってのは誰でも驚くもんだが、俺を助けに川中が来るってのはどういうこった?
「それは君が一人じゃないってことさ。
僕も丸子さんに惚れた男として、君と目的は同じってだけなんだがね」
おいおい、顔を赤らめて言うだなんてツンデレか? おい。
男のツンデレってのは重要ねえんだぞ?
……でも悪かねぇかもな。
「男のツンデレというのも経験してみると悪いものではないと思うよ。
なんせ僕は君と手合せする度に憎しみや怒り以外の感情を君に持つようになったんだからね」
「川中……」
「荒井くん……」
何だかんだで俺とこいつの関係もけっこう長いんだよな。
俺が唯一倒せない男が奴で、奴が唯一倒せない男が俺だ。
もしかしてこれが……恋?
◆ ◆ ◆
……な~んて、こんなこと現実にはないわよね~。
「おーい、丸子。何やってんだ?」
「あ、鯉黒。私はいつもの趣味の小説執筆をしてただけよ」
夕焼け空に照らされながら、学校の教室で一人机に向かっていたあたしに声をかけるのは幼なじみの鯉黒。
「お前も好きだなぁ~、将来は小説家にでもなんのか?」
「それもアリね。
これでもこの間、新人賞取れたからあっちこっちから執筆依頼来てるし」
本当の夢は鯉黒のお嫁さんだけど、鯉黒があたしに惚れるだなんてなさそうだしなぁ~。
それに最近では自分の中で、鯉黒と川中くんとの絡みを妄想するだけで満足してきているし。
「それよりも帰ろうぜ?
もう下校時間はとっくに過ぎてらぁ」
「……そうね。
それじゃ続きは帰ってから、かな♪」
早く続きが書きたいなぁ~。
鯉黒もだけど、川中君も小さい割にいい身体してるしホント妄想のし甲斐があるんだもん♪
「(ちっ、まったく俺の気持ちも知らないで呑気なもんだぜ)」
「ん?何か言った鯉黒?」
「なんでもねーよ」
一瞬、鯉黒があたしに惚れてるんじゃないか? って思っちゃったけど、そんなことないよね。
あたしたち二人はずっと友達でそれは変わらないんだろうし。
「(ったく、折角人がこんだけアピッてるっつーのに呑気なもんだぜ。
でもまっ、俺は丸子のそう言うところに惚れてるんだよな)」
こうして、あたしの日常は鯉黒の存在によって楽しく成り立っているのであった。
うん、こういう小説もありかもね。やっぱり鯉黒は幼なじみとしても小説の題材にも良いわね♪
~おわり~
と、言うことでどちらも鈍いからこそすれ違う訳でして、この先鯉黒くんと丸子ちゃんの恋の行方はどうなることやら、ってなラストとなりました。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
本当は二万文字程度なら短編でも良かったんですが、いっぺんに誤字脱字の修正を加えるのが面倒という理由から連載作品となり、連載期間は短くなりましたが、書いている間は本当に楽しかったです♪
こんな話でさえ、小説となり、また楽しく思えるのですから小説を書く楽しさと読んでもらえる楽しさが読者の皆さま方にも伝われば、と思います。
にじファン閉鎖でサイトから活気が消えた気もしますが、それでも楽しいものは楽しい!
これを読んだ皆様にも、少しでも楽しいひと時を過ごしてもらえれば私もさらに楽しい思いになれます。
次回作に関しましては、活動報告に「祝・13作目完結」と共に何か書くのでそちらをご覧ください。




